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捕食者

俺は、あの人鬼との戦いで気を失ってからこちらのケーナの世界に来た。

「さぁ、エル。ここに座って話そうか。」

ケーナは何もないところを指して、座ろうと言い出した。まぁ、見た感じでは、地平線の彼方まで真っ白で綺麗で殺風景ない場所だ。そう思って、俺は、地面に座った。「あぁ、エル。それじゃ、落ち着かないしょ。今、出すから待って。」

待ってって。近くに何もないじゃないか。

ケーナが指を鳴らすと地面からテーブルとイスが出てきた。「へへっ!どうだい。ここは、私の世界だからね。思ったことは大体出来るよ。そうだ!紅茶とお菓子も出そう。」

ケーナは楽しそうにお菓子やら飲み物を出してくれた。俺は、イスに腰をかけ、出された飲み物を口にして、本題に入った。

「なぁ、ケーナ。そろそろ話してもいいか?俺にも聞きたいことがあるんだ。」

ケーナの楽しそうな雰囲気を壊すのは気が引けるが、俺もここにいつまでも居られない。

「あぁ、そうだったね。ごめんごめん。何せ、何百年ぶりの主人だから、嬉しくって。」そう言って、ケーナはイスに座った。

「じゃあ、早速だけどケーナ。君は一体何者なんだ。」

ケーナには、自分の力だ。としか、言われなかったがやはり良くは分からない。

「そうだね。やっぱり気になるよね。でもね、私の口から言えるのには限度があって、話せないこともあるんだ。」

なるほど。あれだけの力だ。何かしらの制限があっても不思議じゃないな。

「ちなみに今の質問は、答えられるのか?」

一番気になるところだ。出来れば聞いておきたいが。

「あぁ、それなら答えられるよ。」ケーナはあっさり答えられると言った。

結構重要な事だと思っていたけど、案外、いろいろ聞けるかもしれない。と俺は思った。

「そうだね。前、エルが来たときは突然で時間がなかったから力なんてよくわからない事言ったんだけど。まぁ、それもあながち間違っていない。私たちは、エルたちのいる世界とは別の世界軸からこちらの世界に干渉しているんだよ。だから、君は今、異世界にいるって言う事になるね。魔族の特別な因子には、そういう変わった力があるんだ。」

なんだか、予想よりスケールがデカすぎる話になったな。

「なるほど。じゃあ、今俺がいる、ここはケーナが住む世界ってことか。」

「そういう事。だから、魔の力を使える君がこちらの世界に干渉出来るのは、不思議な事じゃないよ。私と君は一心同体なんだ。君が死んじゃったら私も死んでしまう。そういう契約なんだ。」

さっきから契約ってなんだ。誰との契約だ。

「なぁ、ケーナ。契約ってなんだ。それも聞きたい。」

ケーナは契約については話してくれなかった。代わりに呪詛について聞くことができた。

「呪詛っていうのはね、元々、魔の者。君達の世界での魔族しか使うことの出来ない力だよ。普通は人間や神族は使うことができない。ただ、例外がある。君のようにね。大昔の三族による戦争で神族を倒す為に魔族と手を組んだ人族がいたんだ。その人たちの末裔の中にこの呪詛を使うことが出来たり、私のような異世界人と干渉出来るんだ。そして、呪詛使いにおいて、最も重要で最大の力が捕食者。前にも話したけどこの戦争で十人の人間が魔族と手を組んだ。その人間達には、呪詛が扱え、十種類の捕食術が行き渡ったんだ。もちろん、一つは君の中にある。」

呪詛についてケーナは丁寧に話してくれるが俺には理解が難しかった。知識が著しく足りていない。

「えぇと。捕食術って何?」

「エル。捕食術も分からないのかい。勉強不足過ぎるよ。」

ケーナは大きなため息をついてしまった。

「いや、多分。習ってない。俺の世界では、本にも載っていないと思う。」

「うーん。そうか。魔族の魔法なんて、本に載せないよな。えぇとね。捕食術って言うのはそれぞれに個性がある魔法なんだ。一つずつ、違う能力があるってことだね。名前の通り、何かを喰う魔法だよ。炎やら水だとかの自然系は勿論、武器や魂。あるいは魔法を喰う奴だっている。」

俺は話を聞いて、少し怖くなった。そんなすごい力が自分の中にいる。それだけなのになぜか、今はものすごく自分が人でない何かに感じてきた。

そんな俺には気も触れずケーナは辺りを見回していた。

「どうした?何かいるのか?」

「いやいや、違うよ。ただ、もう時間みたいだ。君は向こうの世界に戻らなくちゃいけない時間さ。」

「もうか?まだ話を聞かなくちゃいけないのに。俺はこの力で何をすればいいんだよ。」

ケーナはやっと俺の自分の力に対する恐怖を悟ったらしく、「大丈夫。その力は君のものだよ。君が困ったときは助けてくれるはずだ。使うときは私も見えないけど側にいる。君の内側から話しかけるから何も心配しないで。」

その言葉を最後に俺は元の世界に戻った。

目を覚ますと、そこは病室みたいだ。俺はベットの上にいた。

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