表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/27

勇者への認識

ブックマークありがとうございます!

 

 ランスロットは私に問いかけた。


「リンカさん。この村は疫病で困っています。私たちはその原因を調べないといけません。協力してほしいのですが……。大丈夫でしょうか?」


 ーー疫病ですか!? 感染したらどうしよう!?


 だらだらと汗をかくアーサーの身体の私。


 ーーどうしましょう!? 念願の人助けのチャンスなのに!?


 髪をぐしゃっと搔きふさふさの髪に驚いた。


 はたっと気づく。


 ーー……私の身体じゃなかったですね。きっと大丈夫ですよね。


「はい。協力させて下さい!」


 ランスロットは「よろしくお願いしますね」と優しく微笑んだ。


 ーー頑張ります!!


「ふむ。協力してくれるのはいいが、奇跡を起こせるか確認したい。聖剣(エクスカリバー)を握ってみてくれないか?」


 マーリンが手を振ると何も無い場所から聖剣をぽわーと光を放ちながら出現させた。


「マーリン様は神様ですか?」


 ーー転生だって気づいたし、私が少女だって暴いたし、空間操って剣出せるし神様ですか?


 正座しながら真面目な表情で訊いてみた。マーリン様は「おぬし面白いな」とケラケラ笑った。


「儂は夢魔(ナイトメア)と人間との合いの子じゃ。それ故に魔法が使える。ほれさっさと握れ」


 ーー夢魔ですか! 不思議で素敵ですね!


 私は言われた通りに聖剣の柄を握った。すると頭に情報が一気に入ってきた。


 職業・聖職者獲得。

 光属性(聖)獲得。奇跡が追加されました。


 光属性(金)

 奇跡

 ・お金で万事解決(ゴールドサルヴ) (ゴールドを消費します)


 光属性(聖)

 奇跡

 ・祈り (神への信仰度により傷や病を治す。精神力が消費されます)


 職業・勇者・盗賊・聖職者


 ーーこ、これは何ですか!?


 私の驚く様子にマーリンはにやりと笑う。


「どうやら大丈夫そうだな。というか聖剣のオーラが変わったな。ギラついてたのが神々しくなった」


 聖剣は光り輝いていたが、マーリンの言ってる変化はよく分からなかった。


「奇跡が追加されたそうですが、何か関係ありますか?」


 マーリンは目を輝かせた。


「ほお! 誠か! それでどういった奇跡なのじゃ?」


「えっと、傷や病を治すそうです」


「今の状況にうってつけではないか! よくやった!」


 マーリンは上機嫌だった。ランスロットは「良かった」と微笑み、トラストラムは静かに頷いた。


 そして、4人ともアーサーの中身(魂) の事をすっかり忘れていたのであった。


 * * * *


 私が横になっていた場所は村長の家の客室だったようだ。


 外に出ると、大勢の村人達が私達を待ち構えていた。空は赤く染まっている。夕飯時だったのにも関わらず集まっている村人。私を見るその目から安堵と落胆を感じた。


「ゆ、勇者様ご無事で良かった!」


「本当にあ、安心しましたよ」


「雷に打たれた時はざまあーうえっほん! 心配しましたよ!」


 ーー皆様。目が泳いでますよ。何気にざまあと言いましたか? もしや、あの痒いシーツはわざとかしら? この勇者は一体何をやらかしたの?


 マーリン達と話し合った結果、中身が凛花であることは秘密にする事にした。多分信じないし、説明が面倒くさいからだ。


 私は当たり障りのないようにニッコリと笑った。


「ご心配をおかけしました。この通り私は無事です。疫病にかかった方の様子を見たいのですがよろしいでしょうか?」


 ザワ


 村人達はアーサーの一変した態度にどういう事かと戸惑った。

 ーー誰だこいつ?

 ーーえ? 敬語?

 ーー雷に打たれて性格が矯正された?


 村人達の様子に狼狽えた凛花。


 ーー何か間違えましたのでしょうか?


 マーリンがちょいちょいと私の服の裾を引っ張る。


「?」


 こそっと「アーサーはもっと怠そうに喋る」と教えてくれた。


 ーーああ! なるほど! やってみます!


 私は頷いた。村人に向き直り口を開く。


「面倒だが、折角村に来たんだ。とっとと用事を済ましたい。案内してくれ。あー怠い」


 ーーどうでしょうか?


 怠そうにしながら内心ドキドキした。


 村人はやっぱりなと微妙な表情をした。マーリンはグッドと親指を立てた。


 ーーえ。今のでいいの? 酷い性格を演じたのですが……。


「わかりました! では俺の家からお願いします!」

「ずっ狡いぞ! 僕のところからだ!」

「お、俺のところだ!」


 我先にと手を挙げる村人達。勢いに圧倒された凛花は後ずさる。


 ーーひえーー! 怖いですー!


 ランスロットが(アーサーの身体の) 凛花を庇うように前に立つ。夕日の色に染まったさらさらの銀髪が美しい。


「皆落ち着きなさい。必ず皆のところに行きますので、症状が酷い方からお願いします」


 冷静に優しく村人を諭す姿にドキッとときめいた。凛花は年頃の乙女なのだ。……姿は男だが。


 村人達は「騎士様がそう言うなら……」と渋々頷いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ