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素直な心

 




 ゴーレムを倒した凛花達は避難した住民達を探した。どうやら被害の無かった大聖堂に皆避難しているようであった。怪我人が多かった。中には亡くなってる人もいて凛花は悲しくなった。


 ーーずび。泣いてばかりではいけません。まだ助かる人がいる。その治療に専念しないと!


 聖剣の能力で治療を進める凛花であった。建物の半壊により下敷きになった人を助けるべく動ける凛花以外の男は救助作業を行なっている。重傷患者はざっと見て20名。


 ーーゴールドが足りません! 私の精神力でもつでしょうか?


 凛花の頭の上に乗ってる金貨姿のアーサーはマーリンに呼びかけた。マーリンは薬草で傷薬を作っていた。


『マーリン。金貨を出してやれ全部』


「アーサーのへそくりを使って良いのか」


『ああ。俺も焼きが回ったようだ』


 マーリンが手を振ると異空間からジャラジャラと金貨が出てきた。凛花は驚いた。


 ーー100枚どころじゃない! 1000枚以上ある!? アーサーさん貴方って人は……。


『呆れて泣くなよ』


「うっずびっ。ずいまぜんっ。アーサーさんは優しい人だったんだと思うと嬉しくて同時に悲しくて泣いてしまいました」


『なんじゃそりゃ。おいお前が泣いてちゃ治療が進まないだろう。泣くなよ』


 ーーこんなに優しいのに、婚約者は浮気して、誘拐されて、金貨になって、可哀想です。最後のは私のせいでした。


 治療を進めながら、凛花は今後の自分の方向性を考えた。


 ーー私は身体をアーサーさんに返さないといけませんね。その為にはどうすればいいのでしょうか。そもそもアーサーさんは婚約者が好きなのでしょうか?


「アーサーさんは姫のことは好きですか?」


『……好きだった』


 凛花の胸がズキンと痛む。


 ーーこれはきっとアーサーさんが可哀想だから胸が痛むのですよね。


『だった……』


 愕然としたアーサーの呟きに凛花はまた泣きそうになったが堪えた。


 患者は待ってくれない。次の長い黒髪の女性が弱々しく手を伸ばしてきた見たところ外傷はない。見えない場所に怪我があるかもと聖剣で調べたら 魔女 という情報が私の頭に入った。


 ーー魔女?


 女性は伸ばしていた手を私の喉に伸ばした。咄嗟にその手を叩く。だが、魔女は逆の手を私の首へ伸ばして締めた。腕が私の首に回り締めてくる。金貨がぽてっと落ちた。


『リンカ!?』


「そこにいましたか勇者。捜しましたよ」


 ぎぎぎぎ


 ーー首に締める力が強い! 本当に女性ですか!?


 マーリンがすぐさま反応し、魔法を発動させようとしたが、凛花を人質に取られては下手に攻撃できない。


「モルガン!? 何度罪を重ねれば気が済む!?」


「その姿もしや人間からの魔女への心証を良くする為の小細工か? 御苦労な事だな」


「ああ。そうだ。貴様のせいで魔女の扱いが酷い。貴様のせいだ!」


 モルガンが高笑いしながら私の首を締める力を強めた。


「勇者。困るのですよ。魔王様が貴方の絶望する姿を見たがってるのに最近は、全然じゃないですか? グウィネヴィアの事を忘れたのですか?」


『やめろ!! そいつに手を出すな!! 俺を直接狙えば良いだろう!? 』


「あははははははは!! 必死ですねーっ!! そうじゃないと面白くないんです!! 魔王様は喜びますよ!!」


 ーー悪趣味な魔女がっ!!


 凛花はプチっとキレた。師匠に教えてもらったケツアタックを実行した。


 ドスン


「なっ!? 馬鹿な首が絞まってた筈!?」


 首に巻かれた腕が外れてスッキリした。


 ーー師匠! 私はやりました!


 イメージのトリストラムがグッと親指を立てる姿を想像した。よくやったな。


 私は魔女の腕と自分の首の間に指を一本入れてたのだ。だから、首は締まらなかった。


 モルガンはよろよろと入り口に走る。扉を開けた瞬間に銀色の残像が魔女の脇をすり抜けた。パタリと倒れるモルガン。ランスロットが鞘に収まった剣を持っていた。どうやら、気絶させたようだ。マーリンが確認しに走った。


「ふむ。御苦労じゃったなランスロット」


「いえ。この指輪が気付かせてくれたのです」と白く光る指輪をランスロットは撫でた。





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