似顔絵を描こう!
自己紹介が終わったものの何をすればいいかわからないでいると、言ノ葉が話しかけてきた。
「ねえ、私たちの似顔絵描いてよ!」
「ええ?」
戸惑ったが、することもないし今の時点では1番親しいであろう乙葉から描く。あえて漫画っぽい絵を描いた。描いて見ると改めてやはり乙葉は端正な顔立ちをしていると思う。この美術部の面々は元の顔立ちが整っているので変に美化しなくていい。
「あーうまい。」
「なんか照れるな。」
言ノ葉と乙葉がコメントする。その際、乙葉葉が描いたイラストも見せてもらったが、乙葉はアニメのキャラクターを描いていた。やはりうまいなぁと思う。絵に対する愛情が伝わってくる。
次に目があった未来橋から描く。未来橋は猫のような目をしていて、それを強調して描いた。
未来橋は恥ずかしそうにしていた。
言ノ葉が
「やっぱりうまいなー。睦都実と違って。」
と言って、ほぼ無理やり、未来橋が描いた絵を俺に見せてきた。
「ちょっと!」
未来橋が怒る。俺はぶふっと吹き出してしまった。人物画を描いているみたいだが、まるで土偶だ。
「な、何この絵。」
俺が思わず言うと、言ノ葉が
「土偶?ってか、睦都実は本当に画伯だよねー?」
と言った。未来橋は頰を膨らませ分かりやすく拗ねた。
「じゃー次俺描いてくださいよー!」
そう言ってきたのは林だった。って言うか、こいつ一人称俺なのな。林を描くと案外目がキラキラしてることが分かった。
「林はどんな絵、描いてるの?」
「あ、これっす。」
聞くとあっさり絵を見せてくれる。乙葉と同じようなアニメキャラでやはり絵はうまかった。
その流れで里田をなんとなく描く。里田は正統派美少女なので、特徴が捉えにくかったがあどけない表情を重視して描いた。里田は何かのマスコットキャラクターを描いていた。
そして、春野先輩を描く。するとそれを見た、乙葉と言ノ葉が騒いだ。
「う、うま!」
「日向君、実は春野先輩が好きだったりして...。」
内心動揺したが、俺はポーカーフェイスを保った。春野先輩は穏やかに微笑んでいる。
最後に言ノ葉の絵を描いた。せっかくの巨乳ロリなので、その豊満な胸も描かせて頂く。
しかし、当の本人は不満そうだ。胸について、何か言われると思ったが、言ノ葉が気にした部分は違った。
「夜、こんなに目、キラキラしてないよ。」
「え、そんなことは...。」
否定しようとしたが、確かに言ノ葉の目は濁っていた。
ちなみに言ノ葉は肌色の多い官能的な絵を描いていた。
「え、エロい。」
と俺は言ってしまった。窓を見ると、もう夕方で似顔絵を描いているうちに初めての美術部が終わってしまったことを俺は悟った。
帰り道、俺は前に歩く人にぶつかってしまった。
「うわ、すみません。」
「えっいや、あ。」
「って未来橋!?」
それはさっきまで美術部で一緒にいた未来橋だった。
「あ、日向君こっちなんだ。じゃあ...一緒に帰る?」
「えっ。」
こうして、未来橋の提案で一緒に帰ることになった。
しかし、話題がない。
「日向君、乙葉ちゃんの家に行ったんだって?」
気を使ったのか、未来橋が話題を振ってきた。
「あ、ああ。あいつの兄貴とも仲良いしな。未来橋は乙葉と仲良いの?」
「どうだろう。同じ学年だし、話すこともあるけど、夜ちゃんもそうだけど、あの2人、アニメとか好きじゃん?話が合わないんだよね...。」
「へぇ、言ノ葉もアニメとか好きなんだ。」
「うん。だから後輩の里田さんと話すことが多いかな。あの子もあんまりアニメとか好きじゃないみたいで。ただ、やっぱり同じ学年の林さんと話してる時の方が楽しそうかな。」
「ふーん。」
女子の関係は案外複雑である。
「それにうちの美術部、可愛い子多いじゃない?なんか、気後れしちゃって...。」
「未来橋も可愛いと思うけどな。」
単なる事実なのでさらりと言う。
そうすると、未来橋の顔が赤くなった。
「は!?そ、そんなこと言っても何も出ないし、そんなお世辞、真に受けないんだからね!?」
未来橋のその発言を聞き、ああ、この子は本当にアニメとか見ないんだろうなと思った。アニメとか見る子はこんな分かりやすいツンデレ発言しない。