パワフルな顧問と青木の妹
次の日、俺は入部したい旨を伝えた。
顧問は茶髪のショートカットのパワフルな女性だった。
年は20代後半でこの人も美人だったが、俺はまた女性か...とも思った。
「美術部に入るというのは素晴らしい。もちろん歓迎するわ。でも、もう少し他の場を見学してからでも良いと思う。」
顧問である下田摩耶のいうこともその通りだったので俺はうなづいた。
そうして青木、オススメの卓球部などの見学をして、放課後を過ごした。
そんな日々を過ごして3日、俺に話しかけて来た女子がいた。
その女子はクラスメイトで、そして美術部の一員だった。
「うち青木乙葉って言うんだけど、美術部に入ることになりそう?」
「あ、多分。て言うか、青木?」
「あーそれうちの妹。」
「えっ双子!?」
「まあな。」
乙葉は色白メガネのショートカットで端正な顔立ちをしていた。
青木は坊主頭で眼鏡もかけてないし、平凡な顔立ちなのだが、言われてみると似ているような気もする。
乙葉はうなづく。
「青木っていうと兄貴とかぶるから、乙葉って呼んでくれて構わないよ。ねぇ、どうしてこの時期に転校して来たの?」
それは青木にも聞かれて、なんとなく、答えれずにいたことだった。
「おい…。」
青木が止めるようなそぶりを見せたが、俺は首を振った。
「いいよ、青木。俺が転校してきたのは両親の離婚だ。」
これまで優しく接してきてくれた青木とその妹だと言う乙葉になら話してもいい気がした。
「離婚…。」
乙葉が驚いたようにつぶやいた。青木も少し驚いたような顔をした。
「まあ、よくある話だけどな。父さんが単身赴任であまりうまくいっていなくて、俺は父さんのとこに来たわけだけど。」
「ふーん。苦労してるんだな。」
乙葉はうなづいた。双子の兄がいるためか、乙葉は男口調のようだ。
「なあ、今日暇?よかったらうちに来ない?」
乙葉はそう言った。
「えっいいの?」
俺は青木と乙葉を交互に見た。
「今日美術部休みになっちゃって暇だし。兄貴も卓球部でいないでしょ?」
「ああ。まあ、もしかしたら、参加してから、家に帰るから、日向とはまた会うかもだけど。」
「あ、ああ。」
こうして俺は多分初めて女子の家に行くことになったのだった。
青木乙葉 青木の妹。イラストを描くのが上手い。オタク。日向ともすぐ打ち解ける。一見、サバサバした性格だが…?
下田摩耶美術部顧問。明るいアラサー