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幕間

 零くんに勧められたこともあり、ギリシャ神話について調べてみたけど、想像以上に面白い話が多かった。そもそもギリシャ神話の中の人物って、愛嬌があるというか、どこか人間くささがあってそこがクスリとくる。後、その神話の中の話が私たちが使っている言葉の語源とかになったりしてて驚くこともあった。

 もちろん、そんなことだけのために零くんが勧めたわけではない。オカルト的な話として、こういった神話などが元になった霊現象というものが往々にしてあるからだという。

「お待たせしました、光さん」

「零くん……。ううん、待ってないよ。心ちゃんは?」

 私は腰掛けていたベンチから立ち上がるとともに、わかりやすく描かれたギリシャ神話の本を閉じる。こういった本にとってのあるあるなのか、やや分厚く持ち運びにくいのが難点である。

「心ももう少しで来ると思います。ユウの準備に手間取ったとかで。お待たせするのも心苦しいので私だけ先に参りました」

「ユウの存在については今更だからスルーするけど、幽霊って準備とかあるの?」

「えぇ。うっかり昇天してしまってはいけませんからね」

「私たちって昇天させる側の人間だよね?」

 幽霊って、普通にいていいものなのだろうか。なんとなくのイメージだが、幽霊といった超常的存在はすぐに昇天させてあげるべきな気もする。ユウの存在は訳のわからなさでいえば一、二を争う。クロネコの非常識さは今に始まったことではないとはいえ……。うぅん。

「まぁ、いっか」

「あまり深く思考に入りすぎると心が弱くなってしまいますからね」

「心が弱く、ね」

 誰がそうさせているのだ、という言葉は飲み込んだ。ただでさえ幽霊に取り憑かれやすいのだというのに。

 本日は黒猫は定休日。忘れがちだけど零くんたちは私より年下の高校生だし、どこかに遊びに行きたいよね。その遊びに私も、何のけなしに乗ったけども今考えれば少しばかり早計だったようにも感じる。零くんや心ちゃんの言う遊びが本当に普通の遊びなのかとい強い疑問を感じる。

「私は聞いてないんだけど、今日はどこに行くの?」

「ボウリングですよ」

「あっ、案外普通だった」

「何を想像していらっしゃったんですか」

 逆に苦笑いをされる。うん、そういう反応もわかるけど、私が疑うようになったのは誰のせいなのかということを考えていただきたい。

「では、どこの工事現場に行って地質調査を行いましょうか」

「地質調査……ボーリングって土木調査のほう!?」

「冗談です」

「だよね……」

 たちの悪い冗談だ。なんでボール転がしが土地転がしにならなきゃならない。いや、別に上手くいったつもりはない。

「おや、ちょうどやってきましたね」

「心ちゃん! こっち」

 ちょいちょいと手をふって自分の存在を示す。心ちゃんは特別急ぐ様子もみせずに、ぬぼーとそのまま歩いてくる。

「……お待たせ」

 やってきた心ちゃんは確かに動きやすい服装をしている。私も基本的にはそこまで着飾ってないし大丈夫だと思う。靴はピンヒールだけども、ピンヒールのままボウリングをするわけじゃないし。 

「というか、二人とも荷物重そうだね?」

 私もハードカバーを持ってきているとはいえ、二人の荷物はそれ以上に見える。

「私たちはそれぞれマイボール、マイシューズを持ってますから」

「ガチ勢だ!?」

「……ボールは穴の大きさとか重さとかあるから大切。それにボウリングのシューズはハウスシューズだと両方とも滑るし」

「マイシューズだと……、違うの?」

「……踏み込めるように、片方は床を蹴れるものになってる」

「へー、そうなんだ」

 やっぱりボウリングにもプロ用と貸し出し用と違うんだ。なんとなくボールは指の形とか大きさが十人十色であるように、自分ぴったりなものがあるというのは知ってたけど、シューズまで違うというのは初耳だった。

「では、地質調査へと向かいましょうか」

「また、ボーリング!?」

「……何のこと?」

 後から遅れてきた心ちゃんは首をかしげて意味がわからないといった様子だった。

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