TIPs 騎士様の一目惚れ
突然の視点変更申し訳ねぇ。
俺は相川芳樹。青海川来夢の親友だ。
突然だが、俺は今おかしくなってしまっている。今というのも春休み終盤で、別に高校が楽しみで頭がおかしくなったとかそういうんじゃない。原因はわかっているのだ
春休みの中盤、親友の来夢が通り魔に襲われた。元々中性的な顔立ちだったことから、女性ばかりを狙った通り魔に襲われたらしい。で、問題はその後だ。
急いで病院に行ったら、来夢が何故か絶世の美少女になっていた。それについては原因不明。初めは戸惑った。小学校から7年以上付き合いのある親友来夢が突然女の子になったのだ。しかもその姿はもろタイプだった。
綺麗な長い茶髪に長い睫毛、小顔で、大きな目、可愛い声、シミひとつない肌、すらっとした体型、割と大きな胸、そしてミステリアスな雰囲気。
それでもってとても接しやすいと来たもんだ。正直イチコロだった。一目惚れ…というやつだ。
元々俺は結構モテる。それなりに告白を受けたし、今までに3人くらい付き合った。女子の友達も多い。だけど、今までに見た子の中で、来夢は断トツに可愛かった。あの気怠げな様子とか無表情っぷりとか守ってあげたい感が凄くてな…
『ありがとう、芳樹は優しいな…』
なんて、夕日に照らされてはにかむその姿は、逆に惚れるなという方が無理だと思う。
『うわ、また死んだ。芳樹〜回復遅すぎ…』
『悪い、まだ操作慣れなくて…てか来夢が早すぎるんだよ』
『へへーん♬この攻略ブックを読破してますからな〜。100円で貸してしんぜようじゃないか!』
『金取るのか……親友の馴染みでさぁ、頼むよ』
『うぇーやだよ高かったし』
『わぁったよ100円払う』
『まいどー』
来夢がごろーんとカーペットに寝そべる。全くそんな意識が本人にはないので…
『お、おい、来夢………その、』
『んー?』
『し、下着……見えてる……』
『な!?何故見るし!?』
おお素早い上体起こし…
『おいおい芳樹くんよぉ、ラッキースケベもいい加減にしないとガチのラノベ主人公になっちゃうよ?』
『お、お前が無防備なのがいけないだろ!ちょっとは自覚しろよ!!』
『はぇ?何が?いつもどーりでいいし、めんどくさい』
『おま、恥じらいってものをだな…』
襲われても知らんぞ?まぁ、信頼してくれてる証拠なんだけどな……
『な、なぁ、来夢は、、今好きなやつとかいるか?』
な、何を聞いてるんだおれは!!聞かずにいられないからといって…
『は?なにが?あぁ、もしかして…』
ギクッ……
『好きな人できたん!?教えたらただで攻略ブック貸すよ?』
『ち、ちげぇよ!その、気になってな』
『チェッ、絵梨といい感じになったのかと思ったのに、つまんな』ボソッ
『なんか言ったか?』
『なんでも、別に僕今好きな人いないし。よしきのコイバナ聞きたいな〜的な?』
『そ、そうか。でも、いつか好きな人出来るといいな…』
『僕ってどっちを好きになればいいのかな?やっぱ男を好きにならないといけないのかな?』
『…………わかんねぇな。でも、それでもいんじゃないか?』
『遠慮しとこうかな〜やっぱ男を恋愛対象としては見れないかも……まぁ独身でも人生楽しいですよ多分』
『………』
そう、来夢の心はやはり男の心だ。俺から好きだなんて告白を受けた暁には、気持ち悪いとでも思うかもしれない。でも、好きなんだ。心がもうその感情を抑えきれない。ダメなのはわかっている。だからせめて
『俺がお前を護ってやる』ボソッ
『ふぇ?』
『いや、なんでもない。俺はお前の親友なんだから、何かあったら頼れよ?』
『う、うん!流石イケメンだ!お言葉に甘えてバンバン頼る!』
その笑顔を見ていたいから…
片思いくらいの騎士であることは許してくれよ?お姫様