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4話テンプレその2 女の子レッスンについて

退院は思ったより早かった。検査はすぐに済んで、早めに退院することが許可された。まぁ四月から高校生なんで、なるべく早い方が助かる。春休み遊びたいし?


さて家に帰る時の服だが、母さんがなんか家から姉のお下がりを持って来たらしく、現在葛藤中である。


『ねぇ、これ本当に着なきゃだめ?』


『なに言ってるのよ、これからも着るのよ?こんなんでへばっててどうするの!?』


『いや、まず下着も辛かったけど、このスカートなんかスースーする…』


『大丈夫!この後すぐにお買い物に行くから!』


え、いや、無理……嘘やろ?今だって完全に母さんと妹と姉の着せ替え人形だったし、あの3人の連携怖すぎ……


白のブラウスに黒いスカート。下は姉の黒のやつ。姉の履いてる時点でもう僕変態や…


『ほら!できた!髪の毛もバッチリ!サイドテールシュシュは正義ね!!もうほんと可愛い!!』


姉の伊奈、妹の香澄、そして母さんと共々惚れ惚れとこちらを見ている。そういうこちらは正直じろじろ見られることに慣れてないから恥ずかしくて仕方ない。


『ほらほら芳樹くん!どうどう?うちの子可愛いでしょ?』


『やめなさい母さん、変な自慢をするんじゃない…』


そういう父さんもなんだかんだ僕のことをじーっと見て顔をほころばせている。芳樹をなぜ敵対視しているのか全然わかんないです…


『…その、えと…』


『無理すんな芳樹…僕も不本意だ……』


『いや、そうじゃなくて…』


『さあ、買い物に行くわよ!!来夢をめいっぱい可愛くしなきゃ!!』


ええええええ……早い早いまず休ませて!!なんていう間も無く僕たちは第一回目のお買い物イベントへと進む羽目になる。


……………………


…………………………………


…………………………………………………


買い物は正直地獄だった。ただただ恥辱の限りを尽くしたショッピング。ウインドショッピングでよかったのに早速ランジェリーショップからスタート……


『母さん…』


『ん?何かしら来夢?』


『帰りたい』


『さぁ下着を選ぶわよ〜』


『聞けや!!!』


ランジェリーショップは当然ながら女性ばかり。その女の人たちがこっちをじろじろ見ているのでなんとも落ち着かない。やっぱ変でしょ野郎がこんなとこにいるのは…


『大丈夫よ来夢は今可愛い女の子。誰が見ても超絶美少女よ!!』


『帰りたい』


『みんな来夢があまりにも可愛くて見てるのよ。モデルとか芸能人かと思ってるのかしらね〜』


『帰りたい』


『これなんかどう?今の来夢だと、Cくらいだからこの下着がちょうどいいし可愛らしいし!来夢はどれが好み?』


『帰りたい』


『うーん、ピンクはあざとすぎるかしら』


『聞く気ゼロかい…』


『あのね来夢。女の子には必要なことなのよ。だからちゃんと選びましょう?』


まぁ一理というか百里あるな。正しいのは分かってるし………


『………わかった。んじゃこれとこれとこれ』


と言ってあんまり派手じゃない無難なものを選んだ。てかファッションセンターでいいのにさ…


『えええぇ、地味よこんなの。ほら、これとこれとこれも買いましょう!!下着は女の武器、男の目の薬よ!!』


『だれの言葉?』


『私よ!』


『母さん嫌いです…』


『ほら試着試着!』


うぅ、いやだな。てかこのブラジャー派手……なに?女子高生ってこんなんつけてんの?いやもっと地味なやつだろ普通。つまり僕異端説…


カーテンを閉めて試着室に一瞬の静寂が訪れる。このままずっとここにいていいすかね?


『付けたー?開けるわよー?』


『ちょ!早い早い!分かっててやってるでしょ!』



……………


…………………


………………………



下着姿の自分を鏡の前でまじまじと見ると、それはもう絵に描いたような美少女であった。シミひとつない綺麗な肌に、揺れる茶色の髪。大きな茶色の目はまるで外国人。恥ずかしそうな表情の女の子はその手を胸に当て、自分に見惚れている。


『これは………カワイイ……やばいやばいやばい…自分じゃなかったら余裕で惚れてる』


『開けるわよー』


『うわぁぁぁぁ待ってって!!ひゃぁ!!』


驚いて床に尻餅をついてしまう。それでも胸はちゃんと隠します。


『あらぁ♡何今の可愛い声!』


『あ、つい、その、素で……』


『可愛いいわ!!やっぱ似合ってる!それにしましょう!!』


『お姉ちゃんの恥ずかしげな表情が素敵だよぅ〜はううぅ可愛すぎて襲っちゃいそう!』


『うん、いいんじゃないかい?帰ったらメイクもしてあげたいね。芸能事務所に写真送ったら一発で通りそうな美少女だ』


姉さん、やるなよ?写真とかほんとやめれ…





その後もショッピングは続く。つらたんフィーバー……

『うん、これ可愛い!来夢〜試着ぅ!』


かれこれ服だけで三万くらい使ってんじゃないの?あとは化粧品と小物とかを買って相当な金額。うちの家計簿大丈夫?


『パンケーキ食べましょう?お腹すいたでしょ?』


『なんで思考が都会女子なの?時間帯的にはおやつだけどさ…』


『でもあそこのパンケーキ有名なのよ?ほら、女子力アップの為にも!』


『女子力って言葉がもう古いわ』


まぁ確かにパンケーキは好きだし、なんなら男の時はなかなか食べにいく機会がないから有難いといえば有難い。これも女子の特権だろうか?そういう店に行くときに構えなくていいというのもなかなか楽なものかもしれない。うん、そう考えると女子最高かも


………


……………


………………………


『美味しい〜♡ナニコレなにこれ!?こんな美味しいパンケーキ初めて食べたかも!!』


今多分自分でも驚くほどの満面の笑みでパンケーキを味わっていると思う。だって美味しいし?こういうところでは寧ろ可愛いを前面に押し出して言った方がその雰囲気に合ってて良いだろう。


『やばっ!香澄見て見て!中めっちゃ可愛い!!はい、一口』


『お、お姉ちゃんどしたの!?いや、食べるけど………ふむふむ、美味しい!』


『いや、来夢、お前キャラが変わって…』


『いやいや普通の来夢ちゃんですよ〜なに言ってんのさお姉ちゃん!』


『お、お姉ちゃん!?いや、その、え!?あ、まさか!』


『伊奈、多分あれよ、ここにくる前のラムレーズンのアイスが悪かったのよ。まさか来夢ラムレーズンで酔っちゃうなんて…』


『えへへ〜♬パンケーキ最高!』


あれ?頭がクラクラしてきた…なんでだろ?あとなんか周りからの視線を感じる…


『来夢が可愛くパンケーキを頬張る姿が愛らしくてみんな見てるのよ。我が妹ながら、あざとい!!』


『ら、来夢姉!とりあえずお水お水』


あ、ダメだ、ばたんきゅー


『ら、来夢ぅ!?』



酔いが覚めたのは帰宅してからで合ったという。

こうして第一回目のお買い物は幕を閉じた


--------------------------------------------

さて帰宅してみてびっくり、僕の部屋どこここ状態。なんでも入院中既に大改造ビフォーアフターが行われたらしく、女子女子したお部屋になっておりました。うわ僕の漫画どこ?


『さぁ、30分後家族会議をするからね!』


母さん……あんたの体力はどこから来てるんだ。こちとらばたんきゅーしたばかりだというのに


休まらんなぁ…


そう、休まなくては何も思い出せない。というのも、刺されてから何があってこうなったのか記憶がないのだ。


刺された直後、何かがあったことはわかる。でもそれを思い出そうとするとノイズが発生し記憶の再生を拒んでくる。故に目下の目標は女子力の向上ではなく記憶の回復なのだが、


『ねぇ、メイクってしなきゃダメな訳?』


『ちょっとチークとか軽くしてさ、っとほら出来た!鏡見てみ?』


姉に勧められて鏡を見る。其処にはメイクされてさらに美しくなった少女の姿が写っている。


『か、可愛い………』


『自分でしょうが……ほらメイクってすごいでしょ?』


『メイクは魔法というが…こういうことか』


『うん、お姉ちゃんメイク勉強した甲斐があったよ』


そう言って頭をなでられる。撫でられるのも意外と悪くないと思い始めたこの頃。すっぴんで可愛い子はメイクすると化け物級に可愛くなるなぁ…


『さ、そろっと家族会議だし、行こ?』


『うえぇ嫌すぎる…』


家族会議って、僕なんか悪いことしたみたいじゃん…



……


……………



………………………


『まず、今後の方針なんだけど…』


と、母さんが切り出す。不安と眠気でいっぱいの家族会議のはじまりはじまり


『来夢は予定通りひまりヶ丘高校に通ってもらうわ。制服ももう頼んであるから』


『うーいりょーかい………ってうわまじか…』


『それから来夢にはこれから女の子レッスンを受けてもらいます!私たち家族はきっちりと来夢を女の子として育てる義務があるわ』


はい出た!!そういうやつ!!TSテンプレその1 『女の子レッスン』TSした主人公を内面から女の子に変えていくという一種の洗脳効果を誇る物騒なレッスン。どっかの軍で使われてたりとか……ないな、うん。


だが、それを言おうと言うまいとどうせやるだろうし、まぁ洗脳とまでは行かなくとも元に戻る術がない以上、ある程度の生活知識が必要となってくる。まぁ限度を超えない限りで必要なことだろう。


『そしてここが重大なのだけど、来夢が女の子になったことはあまり言わないこと』


『んー、ありがたいけど、その心は?』


『あのね、落ち着いて聞いてほしいの』


『???』


これには母さん以外の家族全員首をかしげる。


なんか嫌な予感がする……それでも、母さんはその続きを言う。聞きたくない、その続きを



『おじいちゃんもおばあちゃんも、親戚のみんなも、なんなら来夢の友達もなんだけど、みんな来夢がはじめから女の子だって思ってるのよ………戸籍の件も含めて…それがなんでなのか、来夢…心当たり、ない?』



やはり、僕は何かを思い出さなくてはならない…らしい


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