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『………だよ、……きて』
ユサユサと揺さぶられる感覚。眠い。もう少しだけ寝ていたい。
『だよ、……だよってば!』
段々強くなるユサユサ攻撃。痛い。なんか肩がすごい力で握られている。されど眠気には勝てない。
『朝だよ!芳樹!!起きってゆってるでしょっ!!』
『……わかった、わかったから…よっと!』
まず背伸びして一息。そして寝る……
『もうっ!起きなさいっ!置いてっちゃうからね!?遅刻したって知らないんだから!』
…それは困る。それじゃぁそろそろ起きるか。
『んぁぁぁ、悪いなぁ絵梨。昨日遅くて………って、なんだこの柔らかい感触………あ…』
起き上がろうと腕を前に伸ばした時、柔らかいモノを掴んだ。寝ぼけ眼を擦って、それが何なのか確認しようとした瞬間……
『あ、、あ、』
??
『朝っぱらからどこ触ってんのよぅっ!!』
バッコーーーンっと凄まじい音がして、強烈な一撃にベッドが揺れる。ついでに俺が掴んでいた絵梨の胸も揺れた……あと、俺の視界も…
……
…………
…………………
村上 絵梨とは俺こと、相川芳樹の幼馴染の女の子だ。長い黒髪に白い花の髪飾り、目は緑色。これについては、俺の周りには赤髪やらピンク髪やらがいるため、特に何も言及しない。毎朝起こしにきてくれるのはありがたいが、もうちょっと暴力に頼らない方向でな…
『芳樹が変なとこ触ったのがいけないのよっ!』
『なんで心読まれた!?』
エスパー絵梨…
『ていうか、私はおじさまとおばさまから芳樹のことを任されているんだから、世話をするのは当たり前よ!』
絵梨が台所でぱぱっと朝食をつくる。俺の両親は海外出張で当分帰ってこない。超自由放任主義な人たちだ。たまに海外からいろんな珍しいものが送られてくる。もう置く場所がない
『おにーちゃん……しぃニンジン嫌い…』
超自由放任主義な両親は俺と、小3の妹を残しての海外出張だ。食卓でにんじんを皿の端に避けているこの子が妹、相川椎名。なぜ銀髪か、はまぁ気にしないでくれ。俺の金髪については地毛でなく染めたものだが。
『しぃ、ニンジン食べないと大きくなれないぞー?』
『おにーちゃんはぴーまん嫌いなのに?しぃのこと怒るの?』
『うぐっ!!』
『ちょっと何やってるのよー!ってそっか、しぃちゃんはニンジン嫌いだったよね、ごめんごめん!』
『エーちゃん、さいてい…』
『小学3年生の「最低」は響くわね……』
……
…………
…………………
登校はいつも2人だ。俺にはもう1人、青海川 来夢という幼馴染がいるが、そいつは自転車登校でちゃっちゃか登校してしまう。曰く、『芳樹といると、周りの女子たちのせいで登校がスムーズにいかないからやだっ!』らしい。俺としては一緒に登校したいのだが………まぁ夏頃からは俺も自転車登校にしよう。
この来夢だが、春休みのとある一件で大きな変化を遂げた。元々女顔…と言ったら殴られるだろうが、その来夢が本当に女の子になってしまったのだ。元の面影を残したまま、茶色の髪は長く伸び、胸は膨らみ、顔も大分というか、凄い少女のソレになった。正直可愛すぎる。中学の時も、密かに男子たちの間で「男の娘」として人気のあった来夢だが、ここに来て学年中の評判はものすごい。まだ同学年で告白を仕掛けたやつはいないらしいが、これから出てくるだろう。
そしてこの俺も、そんな来夢のことをかなり意識している。だって仕方ない、好みのタイプなんだ本当に!なんだあの笑顔、反則だろバッキャロー!!
不可解なことはいくつかある。そのうちの1つは、絵梨を含め、柳中学校出身の奴らはみんな来夢のことを初めから女の子だと思い込んでいることだ。妹も、そう思い込んでいる。どうして俺だけ違うのだろう?
『あーあー、来夢も一緒に登校すればいいのにね…』
『1組の奴らと面識ないからやりずらいんだろうな。今度紹介してやりたいけど』
来夢がいない代わりに、登校時は1組の友達で登校する。その1人がこちら
『相川芳樹!!またボタンが外れているぞっ!全くっ!貴様というやつは!』
『あ、ああ。いつも悪い。でもわざわざ留めて貰わなくても………その、近くて…』
こいつは名立 春香。長い紫じみた黒髪を後ろで結んで、眼鏡をかけてと、見た目通り真面目な奴で、1組の委員長を担当している。生徒会会員として、先輩への注意も臆さない。ただ若干ドジっ子である。
『む、むぅ、背が高くて届かな……きゃぁっ!』
『お、おい!大丈夫か??』
コケそうになる春香を抱きとめる。春香は顔を赤くするが、これは毎度のことだ。何故なのだろう?
『おっ、やってるねえぇ!アタイが来る前からお熱いことで〜〜』
踏切で合流するのが赤髪の少女:赤泊 夏乃だ。一人称が夏乃サマやらアタイやら安定しないこいつはアホの子である。
『アタァ!!遮断機のバカ野郎っ!!ううぅ、痛い……アタイのノウサイボウが……』
『夏乃、脳細胞って何か知ってるか?』
『……うん?頭の中の作戦司令室だろっ!こう、ガシンッ、ガシーンッって……あたっ!!』
チョップ………。なんども言おう、夏乃はアホだ。なんで入学できたのか本当にわからない。だけど、とってもいい奴だ。
『ほいっ、芳樹、飴やるぞっ!心して食えっ』
『おっ、パイン味っ!俺これ好きなんだよ。ありがとな、夏乃っ』
『え、えへへ、照れるな、なんか』
学校近くの公園で合流するのが、金髪ツインテールの少女:水原 秋葉だ。
『ちょっと芳樹っ!!あたしの下僕ならちゃんと早く来なさいよこのバカッ!!』
脳を溶かすような甘い声を持つこいつは、俺を下僕呼ばわりして来る暴君だ。でも、ふとした時に見せる笑顔や、優しい顔がとても可愛らしい。なんだかんだでいい奴だ。
『な、何よっその顔はっ!!』
『いや、今日も元気だな、って思ってな。ていうか下僕言うな』
『うるさいうるさいうるさーいっ!!あんたは黙ってあたしに従えばいいのよっ!こっち来なさいっ!』
そういって、腕を掴んで身体を密着させて来る。彼女の慎ましい胸が触れると、俺だって流石に顔が赤くなっていく。
『……なによ…』
『う、は、話してくれねえか?動きづらくて…』
『いやよ、離したくないんだから…』
『……はぁ、わかったよ。じゃあ手をつなごう』
『は、はぁ!?ばばばばば、馬鹿なんじゃないの!?あた、あたしがそんな、そんな真似っ!』
『悪い悪い、ジョーダンだよ』
からかい甲斐はある笑
教室では、焦げ茶色のボブヘアーのロリ風少女、六日町 真冬が先について、煮干しを貪っていた。
『真冬、また煮干しかよ……』
『ん…………真冬早く成長したいもん…真冬のおっぱい、小さいから……』
『あ、ああ、そ、そうか……』
『??芳樹、、見る?真冬のおっぱい』
そういってロリ体型の少女が制服を脱ごうとするので、それを春香が全力で止める。色々引っかかりそうなので……
『今日も遅かったな!なにちんたら歩いてんだよ芳樹!』
この、濃い赤髪をオールバックにしたイケメンは栃尾 藁踏。ちょっと前に春香と秋葉が不良たちに捕まった時、一緒に救出に来てくれた俺の相棒だ。色んなことで気があうため、いつもこいつと行動している。
『悪い、寝坊しちまってな…』
『もうっ、起こすの大変だったんだからね…』
これが俺の朝の風景だ。他にもとってもキャラの濃いメンツが多いのが1-1だ。さらにここに色んなメンツが登場する。
『芳樹くんいるかしら?』
教室にやってきた黒髪ロングで巨乳の先輩、彼女は生徒会長:刈羽 梅雨。身長が高く、青い瞳をもつ彼女はその美しさからファンクラブがつくほどのスーパー3年生だ。俺は今、生徒会でこの人の下で働いている。1年生としては俺と春香、秋葉、真冬、絵梨、そして2組の吉田 苺が生徒会会員だ。藁踏は帰宅部、夏乃は剣道部である。
『会長!なんか用ですか?』
『えぇ、芳樹くんに会いにきたの。今日、生徒会室で一緒にお昼食べない?勿論、わたしの手作りよ』
妖艶な声と仕草に、かなりドキッとさせられる。耳元で囁くあのボイスは破壊力抜群だ。
『あ、えと、その…』
『ちょっ、ダメです会長!!今日は私がお弁当作ってきたんですからっ!』
すかさず絵梨が声を上げる。何故か顔は真っ赤だ。そんなにお弁当が好きなのか??
『あら、残念♪じゃあわたしもコチラにお邪魔して食べようかしら。また後でね、芳樹くん♪』
本当に嵐のような人だ。全くやれやれだ。あのスタイルの良さから、一部の男子たちからは「あの人自身が風紀を乱してやがるぜ」とか言われていることも多分知っててやっているのだろう。恐ろしや……。来夢は確かあの会長が苦手だった気がする。良い人なんだけどな。
……
…………
…………………
林間学校、又の名を自然教室というが、それが終わればクラスの雰囲気はより明るくなる。そろそろカップル誕生なんてイベントがありそうなものを、1組には全くその予兆がない。みんな草食系なのだろうか?
「お前のせいだよぅっ!!!」
って前に言われたけどまったく意味がわからなかった。俺なんかやったかな?
『うわー、自覚ないのか。1組の奴らマジで可哀想…』
10分休みの廊下で、茶髪の美少女がメロンパンを貪っている。こいつが来夢。俺の親友の青海川 来夢だ。来夢はなぜか1組に入ることを躊躇していて、大体は俺から会いに行かないと2組から出てこない。なんか寂しい。
『てか、来夢はなんでメロンパン食ってんだ?』
『ん?これほら、購買のやつ。ひまりヶ丘高校って食堂も購買もあるんだよね〜。で、これが伝説の「ひまわりメロンパン」!数量限定!手持ちの部分がひまわりの茎をモチーフにしてるんだってさ〜、まじオシャンティー』
目をキラキラさせながらメロンパンにかぶりつく来夢。こいつはいつも怠そうで、猫みたいなやつだから、たまにこういう笑顔を見るとレアなものを見た気持ちになる。一言で表すとむっちゃ可愛い。
『ん、芳樹も食う??凄い物欲しそうな顔してるけど?』
『なっ!?いや、お前、だって、、それ口つけてるだろ……』
『は?』
来夢はとても不思議そうに首をかしげる。それのどこに問題が?みたいな顔でみるので、本当に男として意識されてないのがわかる。いや、まぁ、1ヶ月前まで普通に男同士の親友だったわけだから当たり前といえば当たり前なのだが。
キーンコーン♪カーンコーン♪
『ん、鳴った。じゃあね芳樹、ナンパもほどほどに』
『し、しねぇよっ!!』
『あはははっ、ムキになりすぎウケるっ!ってうわぁぁぁ!アリア!それ僕の落書きノートだからやめてぇぇぇ!!』
と、慌ただしく2組に駆け込んで行った来夢。てか、スカート短くないか??みえ、そうなんだけど、大丈夫なのか?心配になってくる。
ってそんな心配してる場合じゃないっ!教科書取りに行ってねえ!!
と、まずは先生の説教から、三限の授業はスタートした。
1組の奴らは、取り敢えずこんなのがいるのなって思う感じでオッケーです




