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3話 TS娘の親友はそういう奴だ


自分の胸に手を押し当てる。男の時にはなかった謎の弾力。そして下に何かが足りない…


『え、あ、あれ??ふぅえ!?』


病室の鏡に写っているのは幽霊でも見たかのような驚いた表情の美少女。明るい茶色の髪を伸ばし、胸の大きな可愛らしい女の子が目の前に写っていた…


『ああああああああああああ!!?!?何これ何これ何これぇ!?!?』


『あら!!起きたのね来夢!!』


『母さん!??てか、こ、これ、どうしよぅ!!あの、僕!!』


『まぁ可愛くなっちゃって〜うちも美人三姉妹で豪華になるわねぇ〜』


『は!?いや全然それどころじゃないでしょう!!医者は!?てか何この状況、うっわぁ家族勢ぞろい!!?』



『来夢がこんな可愛い女の子になって目を覚まして良かったわ、、お母さんもお祈りした甲斐があったわね!』


『ねぇ今なんか聞き捨てならない台詞が…』


『お兄ちゃん……いや、今は来夢お姉ちゃん』


『やめて、お兄ちゃんって呼んで!!』

妹の『青海川 香澄』はシスコンな妹である。こんな姿になった以上、自分は対象内だ


『おや、目が覚めましたか来夢くん』


『あ、えと、お医者さん?あの、これは?』


『見ての通りです。貴方は事故の後



謎の性転換を遂げたようなのです…』



泡吹いた…


--------------------------------------------

僕が病院に運ばれた訳、それも実際のところよくわからない。原因は腹部をナイフで刺されたことによる出血。暗い街路を歩いていたら誰かとぶつかって、気づいたら血を流して倒れていたそうだが、この姿で発見された時にはほぼ完治していて腹の傷がわずかに残っているばかりであった。



さてこの手の話ではよく主人公の戸籍が変更になっているものである。よくTSモノで突然女になってたけど、母さんが戸籍何とかして高校通うことになったよ☆母さんSUGEEEEE!!!!!って展開があるけど、そんなこと現実には不可能だから!一般家庭の女性にそんな権限は一切ないから!


『あのさ、取り敢えずなんで芳樹がいるか説明してもらっていい?』


『お、お前……本当に来夢か?』


『う、うん、こんな姿でも、一応僕だよ?』


いや、本当なんでいるの?ねぇ


『あらぁ?将来のお婿さんがいるのよ?少し喜んだら?』


『ん?母さん今なんだって?そういう耐性がなくても発言がドン引きなんだけど』


『いい?来夢。貴方は今女の子になってしまったわ。となると、貴方は女の子として幸せにならなければいけないのよ!!つまり、それにはお婿さんが必要です!……芳樹くんでどう?』


『すごい、今まで見たTSモノの母親の中で一番気が早い、行動が早い』


授業参観等で美人で清楚な母親と言われ、少し誇らしかった母さんの株が今日だけで大暴落している。


『もー冗談よぉ〜。ああ、来夢可愛いわ!』


ぎゅーってされると少し落ち着くけど、なんか恥ずかしい。でも、刺されて直ぐなのでやっぱり安心する。自分が守られてる感覚がとても心地よい。多分母さんにそんな気は無かっただろうけれど、僕は安心して涙が溢れてきた…


『………うぅ、ごめん、、涙……止まんない…』


『ええ!?ちょ、来夢どしたのよ!どこか痛いの!?』


『ちが、違う!!………安心してその、こ、怖かった………死んじゃうかと…思った』


『…………うん、もう大丈夫よ来夢。貴方は私の子。もともと女の子みたいだったのに本当に可愛くなっちゃって……それでも貴方は私の子よ?』


僕は、泣き止むまで母さんに抱きついていた


--------------------------------------------

『落ち着いた?』


『うん、ごめん。いやでもこの姿は落ち着かない…』


『な、なぁ!』


『あ、芳樹!ごめん完全に存在を忘れてた。なに?』


『いや、大丈夫なのかなと思って…』


『大丈夫ではないな。あとなんかお腹空いた…』


『わかった、なんか買ってくる』


そう言って走り去った芳樹と入れ違いに、お医者さんと看護婦さんが再び病室に入ってきた。いや、芳樹パシリにしようとは思ってなかったんだけど……


『落ち着いたようだね。私は君の担当医の宮浦拓人(みやうらたくと)だ。こっちは看護婦の関屋水穂(せきやみずほ)。ヨロシクね』


『関屋よ……ってキャァァアなにこの子可愛い!!本当に元男の子なんですか!?』


『関屋くん、患者さんの前ですよ』


『ああ、失礼しました。改めまして、関屋です。同性だから、困ったこととかあったらいつでも聞いてね?』


『は、はい、宜しくお願いします!』


『か、可愛い!!』


『ええ、うちの娘は可愛いんです!!』


やめてくれ恥ずかしいから…あ、やめてギュってしないで!


『ただいま〜ってうわ、なにしてんだ!!』


『うぅ、ちょうど良いたいみんぐ!芳樹、引き剥がして…』


『あら、芳樹くんも混ざっていいのよ?』


『うぉ、まじすか?ではお言葉に甘えて…』


『甘えんなやめろやめろ!!』


芳樹のキャラも壊れてきた気がする…


…………………


…………………………





さて今度こそ落ち着いたところで


『芳樹、飯は?』


『いや、ただ忘れ物とりに来ただけで…』


『なるほど道理で早いわけだ。さぁ行け冒険者よ』


『へいへい』


『あら、私買ってくるから芳樹くんは来夢の側に居てあげて…お願いね』


『ま、任せてください!』


『いや僕別になんともないんだけど…』


『芳樹くんはいい子だから来夢のこと任せられるわ…だから来夢も大人しくしててね』


『うん、いやそれはいいんだけど、飯を買いに行くだけで大げさな…』


あ、行っちゃった…


『とりあえず、寝たらどうだ?身体も疲れてんだろ?』


『…でも………』


『ん?どした?』


『ごめん、また誰かに刺されたらって思うと…怖くて…………側に居てもらってもいい?ってははは、気持ち悪いかなこの言い方……』


なんだそりゃホモかって言われそうなセリフだけど、今は本当に不安で仕方ないのだ。もうあんな痛い思いはしたくなかったから………ん?芳樹さん芳樹さん?なんでそんな顔を赤らめてるんですか?お熱ですか?


『も、勿論!!俺はお前の親友だ!それは今も変わんねぇ!だから、俺が側に居て守ってやる!!だから、心配すんな…』


『……ん、ありがと。信頼してる……おやすみ』


なんだかんだいい奴なんだ。本当僕には勿体無いくらいの親友だよ。だからその、



そんなに見られると恥ずかしいんですけど…

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