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26話 自然教室4 正しい道って大事よね

『はぁ、そんで超びびったままみんな大部屋で固まって寝た………と』

『大変だったんだよ?僕部屋に戻ろうとしたら、「殺されるよ!!!」って全力で引き止められたんだから』

『逆にお前はなんでそんな落ち着いてんだよ…』

『東夜ならビビるの?』

『………それは、、場合によりけりだな…』


朝食の時間30分前になったと言うのに、女子たちはまだ布団から出てこない。この分だと全員起きてから集団行動で食べに行く!とかいいだしかねないので、一人でさっさと食堂に来たところ、入り口でメニューを選んでいる東夜とばったり会ったのだ。というかまだ開いてないのか…

『んで、その、、なんつーか、なんでそのパーカー?』

東夜の目線が横にそれる。おっと?これは芳樹と同レベルで面白いリアクションをとってくれる方ゲットか?

『ん?あぁ、これね。ふふ、どぉ?可愛い?』

ブカブカの袖を握ってにやけ顔でからかってみる。無反応………とか頂けないな

『…………青海川、お前そういうのは相川だけにやった方がいいんじゃねぇの?』

『ん?なんで芳樹?』

『……いや、だって、、おまえら付き合ってるんじゃねぇの?』

絶句…………。おまえもかブルータス!!

『そろそろ怒るよ?付き合ってないことを証明するためにあと僕がやるべき事は何よ』

『まじか。じゃあ付き合ってもない奴とかにもそんなあざと可愛い行為をしてんのか……』

『ビッチみたいな言い方しないでよ………ってあざと可愛い!?』

驚く僕を見て東夜は珍しく少し微笑む。あまりに珍しくて思わず見惚れてしまう。芳樹とはまた違ったタイプの美形で、何故彼が昨日のクラス男子順位に浮上しなかったのかが不思議でならない。クールというか、ぼっちだからか?いや、小国翠花と仲良いしボッチと呼ぶのはもう的確ではなかろうが。

『………んだよ』

『や、なんか、、綺麗だなぁって思って』

『……からかいビッチ』

『からかってないしビッチでもないもん』

『そういう言動が数多くの男子をバッドエンドに引きずり込むんだよ。お前が相川に取られた日にゃ、学年の男子は何人か飛び降りしそうで怖い……』

『東夜も?』

『なんで俺も死ぬことになってんだ…』

なんで、東夜もそうなのかと尋ねたのか。完全に揶揄いである。

『ううん。そういえば東夜ってカノジョとかいるの?』

『年齢=カノジョいない歴って言葉便利だよなぁ』

『あ、失礼いたしました(察し』

『やめろそんな目を向けるな。俺は西蘭(いもうと)さえいればそれで……………またキモがられるな…』

『シスコンも大概にね…』


『ふ、ふふふ』

気づけば後ろには我らが男の娘:小国翠花様。女子によるクラスの男子格付けでは堂々のトップに躍り出てました。因みにお相手は芳樹とのカップリングらしいです。冬コミのネタは決まったな。

『あはは、ごめんごめん。なんか、東夜も来夢さんも仲良いなぁって…。それにさ、、昨日の可愛い女子投票みたいなのでね、東夜は、来夢さんに……もごっ!もごごご!!』

すかさず東夜によるATフィールド。

『余計なことは喋らんでいいっての………なぁ、青海川パイセン?なんで顔赤くなってるんすか?』

え、あ、嘘……。いや、なってないなってない!!

『な、なってないし!て、ていうかそんなことしてたの?僕が言うのもなんだけど、男子ってしょうもないな…』

女子も同じことしてたから人のことは言えないんだけどね

……


……………


……………………

その後は朝食をとって色々準備したのち、予定通り河原でスプーン作りをスタート。そして待ちに待ったカレー作り。まぁ定番中の定番だ。

『達矢はなんというか……不器用だね…』

『……つか、食べる専門みたいな顔してるからな』

『ふ、2人とも失礼だよ!ぼくも料理、最初は苦手だったし…』

ピーラーでどうやって指を切るんだよ!って感じで、うちの料理班班長:川西達矢は速攻で待機班になりました。川西達矢 小国翠花 出雲崎東夜 阿賀吾郎の男子班と、僕たち4人の女子班は今回とこの後のオリエンテーションで合同班です。うちの女子班目立つから男子の合同班決めは熾烈を極めていたけど、委員長:川西達矢の鶴の一声の影響はかなり大きく、ある程度上手くまとまったのだ。その委員長様は今このザマである。適材適所とはよく言ったものでして。因みに阿賀吾郎くんはあまりでこの班に入ってます。東夜が仲間を見つけたような目になってました。

『来夢は料理がお上手なんですのね』

『うん、お母さんが教えてくれたからね。あ、ヨダレはしまって欲しい……』

『……なんちゅう顔してんだ』

アリアの口元は最早お嬢様と呼んでいいのか微妙な状況だった。なるほど食い意地キャラはここで生きるのか。いや、手伝おうよ。

『と、東夜だって!!特に何もしていないじゃありませんの!!そんなさっきから蟻ばかり観察して!』

『いや、、ここに溶かしたアルミ流し込みたくて…』

『さ、最低ですわこの人!!』

仮にもこれからカレー食べるんだから土汚れを持ち込まんといてくれます?取り敢えず東夜とアリアには薪割りの指示を出して、野菜切りは翠花や真知、汽笛に手伝ってもらうことになった。真知と汽笛は料理部だから流石だ。翠花もなかなか負けていない。なんでこの子こんなに嫁力高いんだろう…

『ふふ、研ぎ澄まし刃。手に馴染むな、相棒…』

『誰よ汽笛に菜切包丁もたせた奴……』

あそこで包丁振ってる汽笛は、料理部に入って更生してくれることを祈る。


……


…………


…………………

オリエンテーションとは自然散策みたいなものである。正規のルートを通ってチェックポイントを通過すると、そこにスタンプが置かれていて、それぞれの班によって違う目標ルートを達成して戻ってくれば終了。一位〜三位には豪華特典がつくとか。大抵市販のチョコレートと言う名の豪華商品 (爆笑)。ところが今回は珍しく、2000円分の食券という本物の豪華商品が飛び出てきたため、男子のやる気は最高潮になった。昨日の怪談話の舞台というのも相まって、女子たちもキャアキャアはしゃいでいる。そんな意気揚々とした出発から約2時間後……


『迷ったな……』

『迷っちゃったねぇ…』

『………虫に食われた』

『迷子なう』

『ですわ…』

『我お腹空いたぞ』

『汽笛さっき食べわよね?』


チェックポイント後一つ…と言うところで盛大な迷子だ。お前に昨日のフラグなのか、天候まで悪くなってきた。心なしか霧まで出てきた気がする。


『うちのクラスの女子たちも、あんなに怪談話で怖がってたのに、結構猛スピードでゴールしてるしなぁ』

『霧も濃くなって来ましたわね。時間もあれですし、諦めて戻りませんこと?多分普通にビリですわよ?』

『汽笛の迷子と達矢の怪我さえなければもう少し早く進めてたけどな……』

『本人たちも反省しているのであまり悪く言わないであげてほしいですわ』

何があったかは割愛しよう。迷子の挙句に蜂に追われて泣きじゃくっていた汽笛と、池に落ちて放心状態だった達矢の名誉のためにも。


『いや、やるなら最後までやろう!多分、チェックポイントはもうすぐだ!!』

『達矢、てめぇは怪我の心配をしろ』

『はははっ!大丈夫さ東夜!この通り元気元気!』

呑気ですなぁ…。下着までぐちょぐちょのはずだけど、本当に大丈夫なのかな?




霧はますます濃くなり、いよいよ引き返してゴールに戻ろうという空気が強まる中、東夜が不意に呟いた。

『………なんか声しねぇか?』

突然東夜が立ち止まる。声?そんなものは周囲から聞こえてこないが………

『わ、我もなんか聞こえた!ふふ、我は周囲100メートルの音を聞き分け……ひいぃん!』

『うわわ、汽笛!抱きつかないでよう!でもなんか低い音が聞こえるわね……』

汽笛や真知まで同じようなことを言い出す。昨日の怪談話でビビりすぎじゃない?




『ら、来夢…………あ、あそこ、木の近く………』

『へ?』

アリアが突然ガクガク怯え出す。霧が濃くてよく見えないのだが、、何かいるのか?

『いえ、ですからその、、なんか白いのが…』

『は、はぁ?いや、何もいない………』




その瞬間、突然大きな白いナニカが木のそばから飛び出してきた。低い声をあげ、唸っているそのナニカは………髪の長い………女??


タスケテ……


タスケテェ………



『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』








『ゆ、幽霊いぃぃ!!!』

『ギャァァァァァァァ!!』

『ちょ、汽笛逃げたら危ないわよっ!!ていうかおいでかないでよぉ〜!!』

達矢と汽笛が逃げ出したのをきっかけに、全員が蜘蛛の子を散らしたように逃げ始める。その正体は全く確認できていないのだが、人間誰かが逃亡を図って大声をあげると、それにつられてしまう習性があるらしい。それが果たして幽霊であったのかという疑問を一度捨て、驚いて動悸の収まらない心臓を落ち付けようと茂みの影に隠れ、様子を伺おうとして……










そこが崖の側であることに気づいた。



『へ?』


崖の付近には苔が生えていた。それはもうとてもとても滑りやすい苔でして……

『う、嘘嘘嘘!!きゃぁぁあ!!』


必死に土に爪を食い込ませ、指の力でなんとか這い上がろうとする。色々な考えが脳裏によぎる。なんでこんなところに崖!?確かに正規のルートを外れていたけど、、こんなのってあり!?くっ!おち、る……


『や、いや、だ、、』

痛い。腕が、ちぎれそうなくらい痛い。


『まっ、て……タスケテ………』


それでも自分の腕の力に限界がきた。必死になってへばりつこうとするも、腕が痺れてきてこれ以上登れない。下を見るのもこわかった。呼吸が荒くなって、擦ったのか脚がジンジンと痛くて、目眩がして、霧が全てを覆ってしまって………







滑り落ちて、ゆっくりと落ちていくその瞬間、確かに見えたのは、


覗き込んでいるダレカの顔と、真っ赤に染まった枯葉であった。


ホラーですね…。

すみません。諸事情により、あまり定期的に更新ができなくなってしまいました。なるべく続けたいとは思いますので、何卒お付き合いください。

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