20話 テンプレその5 百合っ子妹キャラ 香澄ちゃん
それは洗面所での出来事。お風呂に入る準備をしているなう
『う、なんか胸がきつい………』
ガラリッ
『おおお!来夢姉!そ・れ・は、おっぱいが大きくなった証拠だよ!』
……………それマ?ていうか入ってくるな
『え、いやいや、嘘でしょ?そんな簡単に成長するわけないじゃん!なんなら一ヶ月だよまだ!?』
『じゃあ恋?』
『断じてない』
『じゃあやっぱおっきくなったんだよ。ほら、お姉ちゃんのおっぱい大きくなってるぅ〜もみもみ〜』
『やぁっちょっ、何してんの!?香澄お前、洗面所で、、うひぁぁあ!』
香澄の手つきが非常にあかんやつ。香澄貴様、僕今だに自分の裸を見ないようにタオルで隠しつつお風呂に入っているのに、、そんなことしたら、見える……
(ああ、やばい、、隅々まで見えてる…)
その女性らしい体つきが少し曇った鏡にぼんやりと映る。はしゃぐ妹に後ろから抱きつかれ、少し乱れた茶色の髪は、赤くなる頬を隠すのには充分でなく、恥ずかしさで震える女の子の繊細な表情がよく見える。僅かな高揚感とおそらく感じてはいけないはずの快楽に似た何か。それらが急激に僕の全身余すことなく襲いかかってくる。いや、羞恥心が多いに勝るだろう。それは今まで僕が意図的に意識しないように心がけてきた、僕の男としての何かを失わせるものだった。
『や、やめっ』
『ふふ、ビクビクしてるぅ。お姉ちゃんかぁわいい〜』
『か、香澄!?』
『お姉ちゃんやっぱ慣れないんだよね?この身体。それならあたしがお姉ちゃんに女の子のこと教えてあげるよ。あたしがお姉ちゃんを「女の子」にしてアゲル♡』
『香澄!?なんか変なスイッチ入ってない!?ひゃぁぁ』
これ以上は不適切な表現になるんでイベントスキップだ。ふぅ、これで一安心、、とか思ってたらそのすぐそばから香澄は自分の服を脱ぎ始めた。
『う、うわぁ、香澄何してんだ!』
『お姉ちゃん!今日お風呂一緒に入ろ!』
『香澄ちゃん、君はもうそんな年ではないはずだよ!?』
『いいじゃーん!伊奈姉とは結局一緒に入らなかったもん!あたし、お姉ちゃんとお風呂に入るの夢だったんだー』
『い、一回入ったでしょ!?ほら、あの、春休みの時………』
『あー、あの髪の洗い方とか教えてあげた時?でもあの時は〜お姉ちゃんの体を堪能できなかったからさ〜。ね、いいでしょ?』
『その言い方だと今回は堪能する気のようですけど』
『いいじゃん!ほら入った入った〜』
半ば強引に浴室に入らされる。あの、香澄、貴方のお胸が僕の背中にぴったりくっついてるのですが…………やばい、これは、のぼせる…
『あれ〜?お姉ちゃん顔真っ赤だよ?あはっ、もしかしてあたしに裸見られて恥ずかしいの?』
『うぁ、えと……その』
『ほら、座って座って。背中、流してあげるから』
立ち込める湯気、浴室を照らす電球、雨のように細かく降るシャワーの音、そして、香澄の泡だらけの手。あのぶくぶくがついた手で、今から全身を触られるかと思うと僕の心はまた、変な気持ちに切り替わる。ぞくぞくとする感覚。やばい、僕って結構変態なのかもしれない…。
『お姉ちゃんの肌すべすべ〜。こんなのクラスの男子からエロい目で見られちゃうでしょ〜。そう見られて、どう感じちゃうわけ?』
『……………………ば、ばっかじゃないの、、』
『あー、顔背けて誤魔化したー。ほら〜男の子たちから今のあたしがお姉ちゃんを眺めるような目で見られてるんだよ?興奮、しない?』
『し、しないし!僕、ホモじゃないし……』
完全に香澄のペースに乗せられて、頭の中で言葉が噛み合わない。言いたい言葉、言うべき言葉の選択肢はたくさん浮かぶはずなのに、それがうまく機能しない。慣れない状況すぎて、頭はショート寸前、思考回路がめちゃくちゃになるのも無理はないのだ、と少しの理解が得られたら喜ばしい。
『ふふっ、可愛い♡でもさ、今のお姉ちゃんは、女の子なんだよ?いつか男の子に、あんなことや、そんなこと、されちゃうんだよ?別にホモじゃない、自然で普通のことなの。どう?ちょっと、興味ない?』
な、ない!と、直ぐに断言ができない。そんなことはしたくない………でも、僕は、、オンナノコだから………自然なことだから、、ああやばい思考がおかしい。
『髪、洗ってあげるね』
気づけばもう体の泡ははシャワーのお湯で洗い流されていて、そこにはまた綺麗な肌が姿を現していた。薔薇の香りが花を突き抜けてくる。
そこからまた、泡で満たされた髪が丁寧に洗われていく。この感覚は心地よい。1000円カットでは味わえない丁寧な手つき。次行く時は美容室に行くように言われたが、今は香澄に勝てる美容室があるとは想像できない。その美しい茶色の髪はより一層輝きを増して僕の胸を隠すように垂れてくる。鏡には、直視できないほど色気に溢れた女の子が映っている。前髪から滴る水が桶へポタポタ垂れて、波紋が広がる。周りから見える自分を再認識した瞬間であった。
『ほら、できた。お姉ちゃんやっぱ綺麗だね。あたし、お姉ちゃんのこと大好き!』
香澄の胸の感触が気にならないほど、僕の心は自分の姿への驚愕で満ちていた。
………
…………
………………
『あたしお姉ちゃんが「お兄ちゃん」だった時から好きだったじゃん?でもお兄ちゃんが「お姉ちゃん」になってから、もっと好き!』
浴槽に浸かりながら、香澄は僕の肩に寄りかかる。サラサラのショートの髪がとてもくすぐったい。しかしなんか複雑な気持ちだな。
『これからお姉ちゃんと恋バナとか色んな話が出来るのが楽しみでしょうがないんだ。男の子だったお姉ちゃんが女の子とかして恋をするとかもう大好物すぎて、えへ、えへへへ』
『趣味が丸出しすぎる…隠せ隠せ』
香澄は実は結構アニメや漫画が好きだったりする。といっても、マニアックなものはあまり好まず、ツイットーとかで話題になるようなものが好みだ。なぜならそれをネタに男子と話せるから。女子怖い、怖いよう
『お姉ちゃん、ちょっと恋バナごっこしようよ』
『また変な思いつきを始めたね。なにそれ、ごっこあそびの一環?』
『お姉ちゃんがまだ女の子として男の子に恋が出来るなんて考えてないもん。でもねお姉ちゃん、来週から林間学校あるんでしょ?』
『おや香澄ちゃんよくご存知で』
『林間学校のお風呂や夜の部屋の女子のノリってこんな感じだよ?まぁぶっちゃけ恋バナは無くてもある程度他の子に合わせられるようにしなきゃいけないの。これはその練習みたいなもの』
『む、一理ある…』
『だからさ、ちょっとやってみようよ。えー、こほん。あのさぁ、来夢って、好きな人とか、、いる?』
うわぁ、なにその上目遣い可愛い…。不覚にもドキッとしてしまった。
『い、いないけど、、』
『はいアウト』
なんでや!!!
『取り敢えずいるってことにしといてよ〜。じゃもっかいいくよ?ねぇ、来夢って、好きな男の子とか、、いる?』
あ、ダメだ……これを口に出したら、、僕はこの時だけでも女の子になってしまう。ごっこ遊びだとわかっていても、この瞬間だけは恋する乙女なのだ。でも、それでも、いいかと思ってしまって。あぁ、やはり風呂は苦手だ。
『い、いる、、、よ』
『へぇ〜いるんだぁ。どんな子がタイプなのぉ?』
『……………………普段はクールだけど、いざという時には頼りになる人……とか?』
ん?これ、意識していった言葉なのか?それとも無意識…
『えへへ、お姉ちゃん、、それってお姉ちゃんの本心?』
『え、、あ、あははっ、演技に決まってんじゃん!』
『そっかー(にまにま)』
『なんで笑ってんだよ……』
『別に〜。じゃあ来夢は、どんな風に告白されたいの?やっぱ告白してすぐキスとかしたい?』
『ききききききキスゥ!?いやいやいや、なにいって……』
『(ニコニコ)』
『う、……………し、したい、、かな?』
『ふふ、よくできました。じゃぁ今日はこれくらいにしといてあげよっかな。また入ろうね、お姉ちゃん』
そういうと、香澄は直ぐに体を拭いて出ていってしまった。後に残された僕は、先ほど自分で言った言葉を反芻し、恥ずかしさのあまり顔を浴槽に沈めて泡をぶくぶくする。
なに言ってんだよ僕!正気!?キスとか、ほんとなに言ってんの!?勢いと場に流されたからって、、それが僕の本心だったりするの?
疑問は絶えないけどただ1つ誓ったことがある
僕、林間学校の夜は早く寝ようっと……




