13話 テンプレその4 外堀から埋められるスタイル
スゥ……スゥ
といった寝息を立てて、微睡む。夢の中ではマカロン王国とブラウニー帝国の戦争が激化し、マカロン王国の頼みの綱だった、チョコレート将軍がまさかの戦死し…………いや、何の夢なのこれ?
『あー、来夢寝ちゃっているわね…』
『ふっ情けないな我が盟友来夢よ!テストがどんなに悪くても、我はそれを物ともせずに前に進むぞっ!!さぁ行けぇぇぇ!!!』
『汽笛〜うるさいよぉ…来夢が起きちゃうじゃん』
『マチルダよ!ダークホールに落ちし我が盟友を救わずして、それで自分は魔道士を名乗れるのだろうか!?』
『魔道士じゃないし、しかもダークホールってポケットの化け物の技よね?』
なんか男子の視線がこちらに集中している気がします。多分みんな来夢のこと見ているのでしょうけど。起こすべきなのかしら?
『青海川さんかわええ!あの野良猫みたいな態度と表情がマジで萌える!』
『わかるそれな!いやーマジで気があうな』
『太ももが好みでござるっ』
『アゴゴローには引くけど、かなり同意だわー』
なんだか女子の方も…
『あれ素でやってるんだとしたら反則よね……クールすぎて、、、なんかきゅんってなる〜』
『苺ちゃんは明るくて可愛い系だけど、来夢ちゃんはクールで可愛い系だよね〜』
『まだあんまり関わってないけど、不思議な子だよね…今日ちょっと話しかけたいな〜』
来夢、大人気だよ!本人は気づいてなさそうだけど…あ、起きた。それじゃぁ、視点変更で…
………
…………
………………
『う、あぁ?あれ?朝?ご飯食べたっけな?』
『おはよう来夢。一応テストが終わって今お昼休みの時間だよ。よく寝てたね、ふふふ』
『あ、ああ、なるほど。テストに集中しすぎて本日の記憶がない……。じゃぁ今から今日を始めるとしよう』
今日の一連の流れは、テストガチ勢となった青海川来夢ちゃんが、国数英を休憩時間一言も喋らず勉強し、テストをやり遂げ、そのまま昼休みとなった形だ。どうやら周りのみんなは心配してくれていたらしい。男女ともにこちらを見る目が和やかなのは何故かしらないけれど
『それでね、お昼、一緒に食べよ?』
『うむ!食べるぞ来夢!』
〜少女欠伸中〜
『ここが学食か〜』
『結構バリエーションあるのよね。来夢は何にする?』
『僕………カレーでいいか』
『うむ、では我も暗黒物質にするぞ!我が盟友よ!』
『カレーに謝れそのあだ名…』
なんだよダークマター。そういうのってヒロインが焦がした料理を主人公が見たときにつけるあだ名だよね?偏見か…
『席取れてよかったなぁ…なんかもう疲れてて』
『来夢の気怠げなところ結構すきだよ。うん、でも笑ってる顔の方が可愛いっ』
『ははは、僕より可愛い子なんて山ほどおるさね…汽笛も可愛いしさ〜』
『ふふふ、我のことか!ってふぇぇえ?かわ、かわい、い??わ、、わたしが?』
こら、一人称ズレちゃ誰だかわかんないでしょうが…
『でも来夢結構話題になってるんだよ?今年の一年はレベル高い〜ってさ。特に1組と2組はすごいね。1組は本当に可愛い子ばっかりだもの』
う、やっぱり芳樹はハーレムエンドか…
『学年でももうかっこいい子とか可愛い子とかチェックしてる子多いみたいでね、そういうリストがあったの』
ああ、入学式の時に言ってた美人5人衆ね。
『あーそれ知ってるぜ!!先輩たちが話してたやつだろ!?』
お盆の上にカレーを乗せて、気さくに話しかけてきたのは、茶髪ピアスの越路敦
『うわっ、なんだ敦かびっくりした』
『越路くんも学食?あれ、1人?』
『いや、今達矢が並んでるぜ。東夜と翠花も誘ったんだけど、あいつら今日はお弁当らしいからさ〜。なぁなぁ一緒に食べよーれ!席がなくっちまってさぁ…』
『まぁ混んでるし仕方ない…』
親切心から入れてあげることにしました。真知がね?真知がだよ?僕別に優しくないんで。
『んでさっきの話だけど、やっぱこの学年のレベル高いって先輩言ってたし、来夢もその中に入ってると思うべ!やー、同じクラスだって先輩に言ったら嫉妬されるかなー』
『先輩って、もしかしてもう部活入ったの?』
『いやいや、中学の時の先輩がこの学校でな!いい人なんすよ先輩。んでその先輩から情報が入ってくるっと』
『ぬぅ、お主コミュ力とかいうステータスが高いのだな……ぬぅ…』
『褒め言葉っ!まぁそんでさ、やっぱ話題は1組2組の独占だったらしいぜ?1組は相川芳樹っていう超絶イケメンがいるし、うちのクラスも学校来てねえけど、分水響也がいるわけだし』
ていうか入学2日目なのになんでそんな情報が早いのさ…忍者か?忍者でもいるのか?
『あー、芳樹の話題は100パー生徒会長との一件だろうなあ…』
『ほへぇー名前呼び?どーゆー関係なん?』
『ああ、幼馴染ってか親友っていうか。まぁ古くから仲良いんだよ』
『なんだーカレカノかと思った〜』
『何回否定すればいいんだろう…』
そろそろ面倒…
『まぁそんで女子の方も1組は村上絵梨ちゃんに、赤泊 夏乃ちゃんとかが話題になってた感じだな〜。そんで2組は勿論来夢と、月潟アリア!』
よくそんな調べてるなぁ…。まぁ絵梨も人気か………………さりげなく僕が入ってるのが解せない。
『月潟さんはやっぱ人気だろうなぁ、みてて本当に可愛いし、なんかお嬢様みたいだし…』
真知がまるでお嬢様に憧れるように言う。女の子の夢なんだろうなあ、お姫様とかお嬢様とかって。
『まあ後は面白いくらいに1組に美男美女が固まったらしくて、他の5クラスはなんか微妙だーって話してた。せいぜい話題なのは7組の笹神 みなもか5組の沼垂 御簾徒くらいか〜』
またなんかのちに出て来そうなやつフラグを…
『そういやみんなはもう部活決めたんすか?』
あ、そういえば部活について忘れてたな…
『決めてないけど、、どうしようかな…』
『私は料理部に入ろうかなぁって。汽笛も料理部だよっ』
『え、汽笛大丈夫なの?それこそダークマター生み出しそうなんだけど…』
『し、失礼な!我だって卵焼きくらいは作れるわ!!』
『イージーモードじゃん…』
『部活動編成は10日後だし、2週間後くらいには林間学校もあるから班決めもやらなきゃだべ?いっそがしーぜよ!!』
ああ、忘れてたそういえばあったな林間学校、又の名を自然教室。オクラホマミキサーやキャンプファイアーにはろくな思い出がない…
その後も達矢が来るまでずーっと談笑。うーん、学食のカレーのこの甘さが結構好きだったりする。
……
…………
………………
『来夢ー!帰ろうぜ!』
授業終了して直ぐ、芳樹が2組に来た。勿論クラスは大荒れである。
『え、嘘、芳樹くん!?かっこいい!!』
『あの噂のイケメン男子??きゃぁぁあ!本当にイケメン!!』
『てか、来夢って呼び捨て!?もしかして……』
『青海川さん、彼氏いたのか…うぅ』
『やばいやばいかっこいい!アイドルみたい!』
『分水くん居ないけど、これからもやっていけそぅ!!眼福ぅ〜』
『お、俺たちの青海川さんが…』
『相川芳樹に……』
『取られてしまう……』
大荒れである。あと君らのじゃありませんから!
『ねぇ〜来夢。呼んでるよ〜?』
苺ちゃんなんだか楽しそう。確かにこういう話が好きそうな子ではあったけど、楽しそうだ〜(泣)。
『ズバリなんだけどっ!2人は付き合ってる!?』
『ナイナイ』シラ〜
『ち、チゲェよ!!』///カァア
ねぇ芳樹、それだと誤解が広がるから照れずにちゃんも答えてください!
芳樹のテレテレした態度で、クラスの雰囲気は急にガラッと変わる。僕は別にそんなに鈍感じゃないからこういう雰囲気は大体わかる。男子は付き合ってるか付き合ってないかを賭けてるくらいだけど、問題は女子の方だ。もう芳樹にある程度目をつけてる子なんかは特に、
僕を敵視し始める………
中学の時も、絵梨が似たような目にあったからよく知っている。まだその段階ではないけど、そんな目には会いたくないから…
『芳樹、僕部活見に行くから絵梨と2人で帰ってて……苺もいくでしょ?』
『あ、うん、行く行く〜』
苺も、クラスの雰囲気が少し悪い方向に行ったことに気づいているはずだ。ここは逃げるが勝ちではなかろうか?
………ただ、この時を境に、クラスの女子の対応が少しずつ変わって来ることも、今の時点で大体予想できていたことであった。
………
………………
………………………
『ねぇなんか、青海川さんちょっと調子乗ってない?』
『なんか澄ました顔しちゃってさ……どうせ自分のこと可愛いとか思ってんでしょ』
『いや、さ、その言い方はちょっとなくない?』
『芳樹くんと仲良いのかなぁ……1組の村上絵梨ちゃんもすごく仲良いんでしょ?』
教室からヒソヒソと女子たちが話す声がする。
まだ2日目だから、新しい友達を探り探りの状態だ。悪口をいえば自分が嫌われる可能性は大きい。特に青海川来夢は美人だから、敵に回せば自分が痛い目を見る可能性がある。しかし、あそこの4人グループは、もうグループ内だけの悪口大会を始めているらしい。
(俺にはワカンねぇな…ああいうの)
出雲崎東夜は嘆息する。2日目でギスギスし始めるとか嫌すぎる………それもこれも、この時点で既に多くの女子を虜にしている相川芳樹のイケメンっぷりが悪い。そうだイケメンが悪い。うん、そうだきっとそうだあっはっは…
『帰るか………』
高校始まってすぐこんな鬱展開に………長引かせたくないなぁ
私のポリシーは、鬱展開は絶対に長引かせない!です。多分。




