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雪の道化と  作者: 澑〈りゅう〉
1章
3/12

2話

遅くなりました……(´・ω・`;)

なかなか、時間がなくて……

感想などなど、お待ちしています。

次は、もうちょい、早く更新できればなぁ(´・ω・`)

「で、何なのっ?この子はっ!?」

お世辞にも、広いとは言えないビルの一部屋で、女性の怒声が響く。

「まぁまぁ、落ちつけよ、メグリちゃん」

少し、間の抜けた男の声が、女性をなだめる。

「あんたのことでしょうが!?少しは自覚を持ちなさい!自覚をっ」

先程、なだめた男が、メグリちゃんと呼ばれた女性の怒りの矛先らしい……。

「そんなに、大きな声出すなって、千雪が起きちまうだろ?」

ヘラヘラと笑いながら、男は言う。

「んー……」

「ほらぁ、起きちまった……」

眠たそうに、起きたばかりの少年は眼をこすり、声を上げる。

「ん……?ハルトさん……?」

「おはよう、千雪。この人が、あの、社長のメグリちゃんだ」

ハルトと呼ばれた(先程まで怒鳴られていた)男が千雪と呼ばれた少年に笑いかける。

「ちょっ、この子に私をどうやって説明したのよっ、ハルトっ!」

メグリが、また、ハルトを怒鳴りつけ、腕を振り上げる。

「まてまて、俺の姉さん替わりだって言っただけだぞ!?」

メグリの本気の眼差しで、ハルトは早くも降参する。しかも、諸手を挙げて、だ。

「ね、姉さん!?確かに、小さい頃から一緒にいたけどさ……」

なぜか、メグリは頬を紅く染める。

「おーい、メグリちゃん?何やってんだ?おーいっ」

ハルトは、メグリに声をかける。

「え、えーっと……」

千雪は、どうしたらいいのか判らず、右往左往している。

「おーいっ、メグリちゃん。千雪に色々説明してやってくれぇ」

「ハッ……ゴ、ゴホンッ、えーっと、千雪くんだったわよね?私は、葉桜メグリ。この、〈葉桜対変異種警備会社〉の社長をやってるわ。あなたを雇おうと思うのだけど、あなたの事を教えてくれる?」

頬を赤らめたことを誤魔化そうとし、千雪に問いかける。

「ボクのこと?でも、名前は知ってるんでしょ?」

千雪は、首を傾げる。

「ええ、名前は知ってるわ。私が知りたいのは、能力のことよ」

「能力?でも、ハルトさんに聞いたんじゃないの?」

「ハルトに訊いても、いまいち要領をえなかったのよ」

溜息を吐きながら、ハルトを見るメグリ。

「ちょ、ちゃんと説明したろ?」

心外だ、というようにハルトは叫ぶ。

「あんたの説明が分かりにくかったのよ!あんたはバカだから!」

「バカって言うなぁ!」

まさに、姉弟喧嘩のような言い合いをする。夫婦のじゃれ合いにも見える……。

「えーっと……」

2人についていけない千雪は、またも、右往左往……。

「ああ、ゴメンゴメン。そういうわけで、あんまり、あなたの能力が解ってないのよ……だから、教えてくれる?」

軽くパニック状態になっていた千雪に、メグリは気付き、千雪に訊ねる。

「えーっと、ボクも、感覚で使ってるから、うまくは説明できないんですけど……」

「いいのよ、今は全く解ってないんだから。少しでも、情報欲しいのよ」

「ボク自身の存在を誤魔化すっていうか……ボクだけ、他のモノに見せたり、見えなくしたりするんです。ハルトさんに能力を見せたときは、ハルトさんを驚かせたくて、醜いバケモノのように見せたんです」

「自分の体は変化するの?ハルトみたいに……」

「い、いえ。そう、見せているだけです。間合いは変わりません」

「そうなの……」

「はい。なので、物理的な攻撃力はないんです……」

少し、申し訳なさそうに顔を伏せる。

「何で、申し訳なさそうにするのよ。スゴい能力じゃない……じゃあ、前衛はハルトで……」

ブツブツと、メグリは独り言を言い始めた。

「おーい、メグリちゃーん。また、自分の世界に行ってるぞ?」

そんな、メグリを笑いながらハルトは声をかける。

「へ?」

肩を叩かれて、始めて我に帰るメグリ。

「ボクは……どうしたら……」

不安げな声を出しながら、メグリに訊ねる千雪。

「ああ、ゴメンね。ほら、ウチの会社って私とハルトしかメンバーいないから……千雪が加わった時のシュミレーションをちょっとね……」

気まずそうに、笑うメグリ。それを見ながら、ハルトはケラケラと笑っている。

「うるさいわよ、ハルト!給料減らすわよ!」

そんなハルトに、メグリは頬を赤らめながら、サラッと脅しをかける。

「ちょ、これ以上給料減らされたら、干からびるぞ?」

「どうせ、ウチに住んでんだから、ご飯は食べれるでしょう?干からびないわよ」

ハルトは、すでに給料を減らされているようだ。

「へ?ハルトさんって、社長さんと一緒に住んでるの?」

驚いた千雪が、口を挟む。

「そうよ?言ってなかったの、ハルト?」

「姉弟同然に育てられたって言ったから、判ってるとばかり……」

ハルトは、気まずそうに頭を掻く。

「やっぱりバカね……」

メグリは、残念な人を見る目でハルトを見る。

「だから、バカって言うなっ」

「とにかく、千雪くんは、ウチの屋敷に住んでもらうわ。依頼が来るまでは、まぁ、ゆっくりしてましょう」

なんて、言ってメグリは笑う。

「は、はい!」

嬉しそうに千雪は笑う。

「そういえば、千雪に、色々説明しなくていいのか?」

嬉しそうに笑う千雪を、嬉しそうに眺めていたハルトが不意に呟く。

「え?あんた、何も説明してないの!?」

「ムズカシイ事は、俺も、ちんぷんかんぷんだからな!」

何故か、胸を張ってハルトは笑う。それを見て、肩を落とすメグリ……。

「ハァ、判ったわ。千雪くんは、変異種について、どこまで知ってる?」

「えーっと……異転災の時から現れたってことしか……」

考えるように、視線を宙に漂わせた千雪は言う。自信の無さげな千雪に、メグリは笑いかける。

「うん、一般的に知られているのはその程度ね……変異種は、人のように心臓と、脳があるの。人は、その二つが破壊されると即死するわね?変異種には、〈異心〉と呼ばれる臓器を、基本的には心臓付近に持っていて、そこを破壊しても、変異種は死ぬわ。変異種は能力を行使するものもいるわよね?能力は、異心の性能に大きく依存するわ。」

「そんなものがあるんですね……」

真剣に聞いている千雪を尻目に、ハルトは大きなアクビをする。

「ハルト!あんたも聞いときなさい、どうせ覚えてないんでしょ?」

「ランク分けだけ覚えてれば大丈夫だろ?千雪、理論なんか知らなくても、大丈夫だ!」 ハルトは気楽に笑う。そんなハルトに、

「じゃあ、ランク分け、説明しなさい!」

メグリは胡散臭そうにハルトを睨む。

「え!?わ……わかった……。ゴ、ゴホン……ランク分けってのは、変異種の危険度に対しての指標だ。CからA++まであって、C++とB、B++とAが、同じ位の危険度だな。Cは、能力を使えない個体、Bは、能力を使うが一般兵器で対応が可能な個体、Aは、能力を使い、一般兵器で対応不可能な個体につけられる。+は、それぞれで危険度が上位になるとつけられる……どうだ、メグリちゃん?完璧だろ?」

胸を張って笑うハルト、それを意外そうに眺めるメグリ。

「うん、どうしたの?体調が悪いなら、医者にかからなくちゃっ……」

「何でそうなるんだよっ!?」

意外そうに、ではなくて、心配そうに、だった……。その反応に、ハルトは不服そうに、頬を膨らませる。

「ゴメンゴメン……ホントに意外だったから……でも、惜しいわね」

「……惜しい?」

「ええ、〈鬼〉のような例は?」

諭す教師のようにハルトに訊ねるメグリ。

「ああ!そうだった。一部、人語を介す変異種もいて、ランクの前に『特』の一文字が付くんだよ。〈鬼〉って言うのは、その、特A++の変異種の一部で、ここ、〈旧シコク〉に住んでるヤツらで、友好的なヤツらだ」

嬉しそうに話すハルト。

「え?言葉を喋る変異種もいるんですか?あと、〈旧シコク〉って?」

千雪は、疑問に対して素直に訊ねる。

「ええ、かなり稀なケースよ。〈旧シコク〉っていうのは、日本列島の四国の呼び方よ。他の主な都市は、〈旧サッポロ〉〈旧センダイ〉〈旧トウキョウ〉〈旧ナゴヤ〉〈旧オオサカ〉〈旧ヒロシマ〉〈旧ハカタ〉があるわ。都市ごとに、慣習や法が違うから、もし、行くことがあったら説明するわ」

笑顔で説明するメグリ。

「そんなにあるんですね……」

「どうした、千雪?」

熱に浮かされたような、遠くを見るような目で、千雪は呟く。ハルトは、少し、不安げに、千雪に声をかける。

「い、いや……たくさんの都市があるんだなぁって……」

恥ずかしながら、誤魔化すように千雪は笑う。

「とにかく、ウチの会社は変異種の討伐依頼が、主な仕事よ。危険もあるから、ハルトを盾にして、頑張ってね」

「はいっ」

「まてまてまてまて、俺は盾なのか?」

元気よく返事をする千雪と、突っ込むハルト。

「だって、しぶといじゃない?」

「しぶといって、なんか酷くないか……?」

哀愁の漂う眼をするハルト。

「じゃあ、あんたは、千雪くんに前衛をやらせるの?」

「……スイマセンでした。でも、盾は酷いだろ?」

そんなやりとりを見て、千雪は微笑む。

(ここは、居心地が良いなぁ……ボクは、この人達と、家族になれるんだろうか……)

そんなふうに千雪は考える。

「千雪、屋敷に行こうぜ」

ハルトが、難しい顔をする千雪に声を掛ける。

「屋敷って?」

千雪は尋ねる。

「私達の家よ」

メグリが、笑いながら応える。

「それじゃあ、行くか。メグリちゃん、戸締りよろしくなぁ。いこうぜ、千雪」

車の鍵を指で弄びながら部屋を出る。

「はいはい。さぁ、千雪くん、行きましょう」

そう言って、部屋を出る2人、その2人の、新しい家族について、千雪は歩む。

「ボクは、大丈夫だ……」

そう、呟いて、千雪は部屋を出た。

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