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道化上等!  作者: 本間 甲介
第一章
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登校中

「あ、巧……」


 学校へと向かう途中で、俺たちは見知った女子に出くわした。というよりも、待ち伏せられていたという方が似合っているだろうか。


 今日の第一号もやはりこいつか……俺はニカっとその女子に向かって笑みを浮かべ、


「よー八原! 今日も相変わらず可愛いな!」


 開口一番、俺はその女子、八原加々美に事実を込めた言葉とともに、そう元気よくあいさつした。


「おはよ、巧」


「うん、おはよう加々美。今日もいい天気だねえ!」


「そうね。……そういえば巧、今日の放課後は暇?」


「え、今日? ……うーん、ごめんちょっと今日は用事があるんだ」


「あ……そうなんだ……」


「なにかあるの?」


「……あ、ううんなんでもない! 気にしないでいいよ!」


「――俺のことは気にしてくれよぉ!」


 無視されているとわかり、俺はツッコミを入れる。いやひどくね? マジでスルーしてたよこの二人。


「……ああ、いたんだ佐治。壁に同化していて見えなかった」


「どんな色で見えてんの俺!?」


「うっさいわね、はいはい『さようなら』。これでいい?」


「お、やっとあいさつしてくれたか! じゃあな、また明日――って待て待て!」


 よどみも何もない、ごく普通の言い方だったので、危うく騙されそうになった。せめてそこは「またね、また明日!」とマイルドに言ってくれ!


「はは、相変わらず二人は仲がいいね」


 そんな俺たちのやり取りを、巧はにこやかな顔で見つめてくる。


「まあな!」


「冗談、犬と戯れているようなものよ」


「ワンッ!?」


 せっかく良い返事をしてやったのに、当の本人からはひどい言われようだった。しかも八原は本気で言っている。


「そろそろ行こうか、遅刻したら困るし」


「そうね、行きましょう。それで巧、今日の昼食なんだけど……」


 再び談笑し始める巧と八原。俺は少し後ろを歩きながら、黙ってそれを見続ける。


 ……いや決してハブられたとかじゃないからね? 誰に言うわけでもなく、俺はそう胸中で弁解した。


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