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道化上等!  作者: 本間 甲介
第二章
16/47

昼食終えて

 教室に戻った俺は、そのまま机に座った。昼休みが終わるまであと十分近くある。俺は携帯を開き、「ドキらぶ!? ミュウミュウパラノイア」という、携帯アプリをすることにした。


 このゲームの内容を一言でいうなら、「主人公が主人公でない」というところにある。


 しかし、ネットでは「クソゲー」だと評価はあまり高くなく、キャラ絵もアクが強すぎて一般向けではない。だが、俺はこのゲームをすごい気に入っている。


「ひゅう、やっぱり最高だぜ!」


「何がじゃ?」


「うおうっ!」


 今まさに始めようとして、ゲーム画面を起動した携帯と、ケツが椅子から床に落ちた。携帯の電池パックが落ちた拍子に外へ飛び出た。まだ弁当を食べている女子生徒たち、食べ終わりトランプをしている男子生徒たちが、音のした方向、俺に顔を一斉に向けた。


「……な、なんでもナッシング、ドレッシング!」


 慌てて立ち上がり、俺はみんなに弁解した。しかしクラスメイトたち

はすぐさま興味を失せたかのように、食事やゲームを再開した。


「……ドレッシングは意味がわからんと思うぞ?」


「ほっとけ! ……ーキ食べてえなあ」


 無理のある誤魔化し。だがそれ自体別に意味はなかった。今度はクラスメイトは誰も反応しなかった。これはこれでさびしい……。


「虚しいのお」


「………」


 俺は携帯を拾い上げ、電池パックを再挿入し、電源ボタンを長押しする。画面が光り出したところでポケットにしまい込んだ。無言で座りながら、再びノートを取り出し、黙々と書き込んでいく。

『なんのようですかあ? 月草さん?』


 いつの間にか、窓の外へ浮かんでいた月草に、俺は苛立ち交えた文字を見せた。


「それはこっちのセリフじゃ。我をずっと無視してからに」


『お前がいきなり消えたんだろ! どこ行ってたんだよ』


「……授業中は人気が無いからの。いちいち神社へ帰るのも面倒なので、学校内を回っておったのじゃ」


 なんともものぐさな答えだ。まあ気持ちはわからんことはない。俺も同じような立場ならやっているかもしれない。


「それで何か進展はあったか?」


『進展も何も、そんな簡単に恋仲にできたら苦労はねえよ。』


「何をそんなに苦労する必要があるのじゃ? ……さてはお主、何か勘違いしておらぬか?」


 勘違い? いちいち書くのが面倒になった俺は、首を傾けることで疑問をぶつける。


「我は別にお主に『木城巧に特定のおなごを好きになってもらうようにしろ』とは言っておらんのじゃ。お主にそんなことができるとも思えぬしな」


 悪かったな。ってかそもそもそんなこと言われた記憶が無い。だが、たしかにそう考えていたふしはあった。


「我がお主に頼むのは、『木城巧を好きなおなごに、告白させるようにそそのかす』ということじゃ」


 俺の考えていたこととは、逆転の発想だった。だが、そのやり方には疑問を抱いた。


『そんなもん、もしできたとしても、巧がその女子と付き合うとは限らねえだろ』


 好きでもない女に告白されて付き合うなんてことは、普通じゃ考えられない。俺だったら断るね。


「いや、それでよい」


 だが月草ははっきりと断言した。おいおい、根拠は何だ根拠は?


『わかったよ、それじゃその線で動いてみるよ』


 などと訊いても、こいつがちゃんと応えるとも思えない。まあ神っていうくらいだ。何か人智を超えた考えがあるんだろう。――まあ、そう思っておこう。


「頼んだぞ。サジ」


 そう言い残し、月草はエレベーターに乗ったかのように、垂直に上空へ上がっていった。


「や、やあ謙也……!」


 いつの間にか巧が戻ってきていた。巧は引きつった笑みを浮かべながら席へと座った。


「……心中、お察しするぜ」


「ありがとう……うぷっ!」


 口元を押さえ、、さらに顔色を悪くする巧。まったく、無茶しやがって……。少しして、満足気な顔をして、八原、北出、波照間が戻ってきた。


「おなごの方をか……」


「な、なにか言った?」


「……なんでもねえ。というか無理に喋んな」


 今にもリバースしそうな巧の背中を、俺は優しくさすってやる。トイレに直行せずに我慢するところは流石と言わざるを得ない。


 とりあえず、放課後になってから動いてみるか。どうせ何も案がなかったんだ、俺は月草の言葉に従うことにした。

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