売られる・・・ 2
連れて来られたのは演劇に使う舞台の舞台袖みたいな場所だった。
「さあ、他にはいませんか?・・・ではこの奴隷は140万円での落札となります!!」
そう言って舞台の端の方に居る司会者らしき人は目の前に置いてあるお腹ぐらいの高さの台に、手に持っている木槌を2回叩き付けた。
すると、舞台の真ん中に立っていた自分と同じように手枷、足枷を付けられた14、5歳ぐらいの女の子がどこからか現れたゴツイ男に連れられて私がいる側とは反対側の舞台袖の奥に連れられて行った。
それを確認した司会者は、声を会場の隅々まで届くように声を張り上げて、さあ、と言った。
「いよいよ本日最後の奴隷です。」
司会者がそういうと、どこからともなく現れた男に私は先ほど少女が立っていた場所、舞台の中央に立たせられた。男はどこかへ消えていった。
舞台の上に立つと、今までそこまで感じなかった危機感とも不安とも言えない何かがどっときた。
目の前には巨大なドームの半分程の空間にまるで映画館のように程々の間隔を開けながらも映画館の数倍の量の座席が有り、そのほとんどが埋まっている。
そしてそのほとんどがこちらを値踏みするような、もしくはギラギラとした目で見てくるのだ。
その視線を浴びた私は思わず吐きそうになるが、みっともない姿を見せまいとどうにか踏み止まった。どうやら男としてのプライドを完全には棄てきらなかったらしい。たぶんこの場に立てているのはソレのおかげだろう。
「皆様、お気づきの方も居るかもしれませんがこの奴隷、本会場では約8ヶ月ぶりの上級奴隷で御座います。なので8ヶ月ぶりにちなんで80万円から始めます!!」
司会者がこう言った直後、一斉に番号が書かれたプラカードのような物が掲げられ、思い思いの値段を言う声が響きわたった。
だがその声も値段が上がるにつれて段々と少なくなっていき、気付いた時には2組が値段を競い合っていた。
片方は少しくたびれた服を着た悪く言えば山賊、良く言えば野生的な顔をした二人組で、もう片方は豪華な服を着た中年の男性と11、2歳くらいの少年の親子だった。
そしてある程度値段が上がると両者の競り合いは終わった。
「ただいまの値段は1420万円です。もう上げる方はいませんか?・・・それではこの奴隷は1420万円での落札となります!!」
そう言い、司会者は台に木槌を2回叩き付けた。
そして私はどこからか現れた男に先程の少女と同じように来たのとは反対側の舞台袖の奥に連れて行かれた。