売られる・・・ 4
「はじめまして。私は奴隷商人のブッパと申します。この度は私どもの商品をご落札いただきありがとうございます。」
「これはご丁寧に、私は第24主要都のエドアード・ディアスと言う。彼は私の息子のミリアム・ディアスだ。挨拶は?」
そう言うと客人の一人、エドアードは隣に座る私と同じか少し上くらいの(肉体)年齢の少年に言った。
「・・・ミリアム、です。」
少年ミリアムは人見知りなのか目を合わせずにぼそりと、でも聞き取れるぐらいに言った。
「やはり貴族のお方でしたか。失礼ながら何しにこちらへ?」
「今回は息子の就学祝いも兼ねてのちょっとした旅行に来た。それ以外には何もない。」
「さようですか。学校と言いますとやはり騎士学校ですか?」
「・・・いや、冒険者学校になる。」
エドアードがそう言った瞬間、ミリアムは今までの退屈そうな顔からいきなりひどく驚いた顔になった。
「貴族の方が冒険者学校とは珍しい。」
「息子のわがままでな。」
会話はこの後もしばらく続いた。
そして驚いた顔から退屈そうな顔に戻ったミリアムが今度は眠そうにウトウトし始めた頃に世間話は終わりを迎えた。
「奴隷の事はご存知ですか?」
勿論この質問は、奴隷という言葉の意味ではなく、奴隷という物の役割、在り方についてだろう。
「主の命令に従うゴーレムみたいな者じゃないのか?」
「大体あってます。ですがゴーレムと奴隷は役割は大体同じでも決定的に違う部分がいくつも有るのです。分かりますか?」
「生命の有無か?」
「それも有ります。」
「あとは・・・思考力か?」
「そうですね。確かに人造のゴーレムと人間の奴隷とじゃ思考能力に雲泥の差があります。まだ有りますよ?」
「物と人という所か?」
「いえ、その点においては同じです。あまり認識されてないのですが人は奴隷になるとその主の所有物となるのです。つまり人という生物から奴隷という物に変わるのです。大事な部分があと1つ有りますよ?」
「なんだ?」
「それはですね。感情です。」




