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## 第一話 ### 「大丈夫の魔法」

# 『宇宙一の励ましの教師』


## 第一話


### 「大丈夫の魔法」


春。


桜が風に舞っていた。


希望ヶ丘小学校。


今日から新学期。


そして――


新米教師、


**星野太陽ほしの たいよう**の初出勤の日だった。


---


「よーし!」


「今日から先生だー!!」


校門の前で両手を広げる太陽。


しかし次の瞬間。


---


ズルッ!!


---


「うわあああああ!」


ドサッ!!


---


盛大に転んだ。


しかも顔面から。


---


通りかかった児童たち。


「先生転んだー!」


「朝から派手ー!」


「大丈夫ー?」


---


太陽は立ち上がった。


鼻に桜の花びらが付いている。


---


「だ、大丈夫!」


「先生は転ぶのも仕事だから!」


---


児童たち。


「絶対違うー!」


---


大爆笑だった。


---


職員室。


校長先生が優しく迎える。


---


「ようこそ希望ヶ丘小学校へ」


「緊張していますか?」


---


太陽は笑った。


---


「はい!」


「めちゃくちゃ緊張してます!」


---


校長は吹き出した。


---


「正直ですね」


---


その時だった。


---


「失礼します」


---


職員室に入ってきた女性。


黒髪。


整った顔立ち。


落ち着いた雰囲気。


---


月島美咲。


---


太陽は思わず固まる。


---


(きれいだ……)


---


美咲は頭を下げた。


---


「月島です」


「よろしくお願いします」


---


太陽。


---


「ほ、星野です!」


「よろしくお願いします!」


---


勢いよく頭を下げた。


---


ゴン!!


---


机に頭をぶつけた。


---


職員室。


静まり返る。


---


美咲。


「……大丈夫ですか?」


---


太陽。


「大丈夫です!」


---


美咲。


「そうですか」


---


(変な人……)


---


そう思った。


---


そして始業式。


太陽は三年一組の担任になった。


---


教室の前。


ドキドキ。


心臓がうるさい。


---


(先生になれた)


(夢だったんだ)


---


深呼吸。


扉を開く。


---


ガラッ。


---


子どもたち三十五人。


一斉に見る。


---


太陽。


---


「おはようございます!!」


---


声が大きすぎた。


---


児童たち。


「うるさっ!」


---


教室が笑いに包まれる。


---


太陽も笑った。


---


「今日からみんなの担任になります!」


「星野太陽です!」


---


自己紹介が始まる。


---


好きなもの。


カレー。


読書。


子どもたちと遊ぶこと。


---


そして最後に言った。


---


「先生には夢があります」


---


みんなが聞く。


---


「宇宙一の励ましの教師になることです!」


---


教室。


沈黙。


---


児童A。


「宇宙って広くない?」


---


児童B。


「無理じゃね?」


---


児童C。


「世界一でも難しいのに」


---


大爆笑。


---


太陽も笑った。


---


「そうだな!」


「でも夢は大きい方が楽しいだろ?」


---


子どもたちが少し笑う。


---


その時。


教室の隅。


一人だけ笑っていない少年がいた。


---


山田翔。


---


下を向いている。


---


自己紹介の時間になっても。


---


「……」


---


何も言わない。


---


教室が静かになる。


---


太陽は近づいた。


---


「どうした?」


---


翔は小さな声で言った。


---


「僕……」


「話したくない」


---


教室の空気が重くなる。


---


普通なら注意するかもしれない。


---


だが太陽は笑った。


---


「そっか」


---


翔が顔を上げる。


---


「話したくない日もあるよな」


---


翔は驚いた。


---


怒られると思った。


---


でも違った。


---


太陽は優しく言う。


---


「無理しなくていい」


「でもな」


---


翔を見る。


---


「先生は君と仲良くなりたい」


---


翔の目が少し揺れた。


---


「だからいつか話してくれたら嬉しいな」


---


それだけだった。


---


昼休み。


---


太陽は校庭で子どもたちと遊ぶ。


---


全力で走る。


---


そして。


---


五分後。


---


転ぶ。


---


「先生またー!!」


---


大爆笑。


---


太陽。


---


「教育的転倒だ!!」


---


児童たち。


---


「だから意味わかんない!」


---


夕方。


---


教室の掃除をしていると。


---


窓際に翔がいた。


---


帰っていない。


---


太陽は隣に座った。


---


「なあ」


---


翔は黙っている。


---


すると太陽が言った。


---


「先生な」


「小学生の頃、自分が大嫌いだった」


---


翔が見る。


---


「勉強できない」


「運動できない」


「失敗ばかり」


---


苦笑する太陽。


---


「毎日落ち込んでた」


---


翔が小さく聞く。


---


「今は?」


---


太陽は笑った。


---


「今も失敗する」


---


翔。


---


「してるね」


---


初めて笑った。


---


太陽も笑う。


---


「だろ?」


---


そして。


---


静かに言った。


---


「でもな」


---


夕日が差し込む。


---


「失敗してもいいんだ」


「失敗したって価値はなくならない」


---


翔の目が揺れる。


---


「大丈夫」


---


太陽は笑う。


---


「君には君の良さがある」


---


その言葉は。


---


翔の心に少しだけ届いた。


---


その夜。


---


翔は家で初めて思った。


---


(あの先生……)


---


(変だけど)


---


(嫌いじゃないかも)


---


そして。


---


太陽は帰り道で空を見上げる。


---


満開の桜。


---


夕焼け。


---


「宇宙一の励ましの教師か」


---


自分で言って少し笑う。


---


「まだまだ遠いな」


---


それでも。


---


一歩ずつ。


---


誰かの心を照らせる先生になりたい。


---


そう強く願った。


---


### 次回予告


## 第二話


### 「僕は何をやってもダメなんだ」


翔が抱える秘密。


自信を失った少年。


そして太陽は、


初めて教師として大きな壁にぶつかる――。


「大丈夫。君はまだ、自分のすごさを知らないだけだ。」


感動の学園物語、第二話へ!


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