第1章 勇者の剣 第1話 生き返り子
こんにちは。
今日は2回目の投稿です。
よろしくお願いします。
………暗いなぁ……なんだか苦しいし……
ん?
痛たたたた‼
急に狭くなって苦しいよ⁉
あ……
ふと、思いついた。
もしかして……
あ、少し緩くなった。
……うん、ここは―――
ててててて‼
間違いなさそうだな、ひ~~~
ここはお母さんのお腹の中。今、出産中、産道の途中かぁ……
普通はさ、小さな子供のころとか魔力が高まった時とか、そのタイミングで魂がやってくるもんじゃないの?
こんなの誰が想像する?
転生ってさ。
まぁ、前世でもこんな記憶はないから、ありがたく母親の偉大
さを堪能しましょうかね。
出産って大変なんだよね~
私は帝王切開で麻酔効いてたから、産みの苦しみってわかんないんだけどね。
頑張れ頑張れ、お母さん‼
…………何時間経ったんだろう………
もう二十四時間以上経っているよね?
産声上げる準備はとっくに出来てるんだけどな……
……ぎゅっ、ポン!―――
あっ、生まれた⁉
ん?
まだ苦しいよ?
さかさまだ。
両足首持たれて、お尻べしべしされてて。
息をしたいよ、苦しいよ………
私は意識を失くした―――
ガタガタガタ………
ふ……っと意識がもどった。
…………
暗い…………
ガタガタ……ガッタン‼
「…………ァ……」
「ン? なんだ? なんの音かよ?」
「……あ………」
ガタガタガタガタガタガタ……
私はおもいっきり産声を上げた―――
「‼ おいおい、大丈夫か? 生き返りやがったか……」
ガッタン‼
荷車が急ブレーキをかけて……
私の小さな小さな体が跳ねて―――
「おっと、アブねぇ、とっとっ……」
この男の人、お手玉のように私を受け取って。
「よしよし、今、楽にしてやるからな、よっ」
巻かれていた布をくるくるとほどいてくれる。
「ちょっと待ってろよ、すぐにおっぱいの所へ連れてってやるからな」
おっぱい‼
その時、私はお腹が空いてることに気づいて。
「ひー! ひ……ひくっ……」
力いっぱい泣きたいのに声が出なくなってきた………
マジでやばいかも……
ドンドンドンッ‼
「おばさん‼ 村長さん‼」
私を抱えたまま、おじさんはドンドンと扉を叩き続けた。
「なんなんだい? そんなに慌てて、カスバ……」
ガタンッと扉の開く音とかすかな光。
「って……それは‼」
おばさんはカスバおじさんの手から私を奪うように、そっとひったくって。
「あんた、お湯をたらいに入れて‼ ぬるま湯だよ、急いで‼」
「あいよ‼」
「村長さん、すいません、夜中に」
「緊急事態だ、気にするな!」
「おばさん、オレに手伝えることは?」
「寝室の棚にきれいな布があるから、なるべく柔らかいのをたくさん用意しておくれ!」
「わかった!」
しばらくは声も出せなかった。
生まれたとたんに、生死の境をさまようとは……
死女神さま、ひどくない?
ン?
大騒ぎで私を生き返らせようとしている人たちの陰で、くすくすと笑いをこらえているような声が……
死女神さまっ‼
覚えてなさいよっ‼
あははは……
また笑い転げてるのね!
呪い殺せるかしら?
そんなことを考えているうちに、用意がととのったみたい。
「さあ、待たせたわね、赤ちゃん」
優しい慣れた手つきで、私を産湯にゆっくりと入れてくれる。
気持ちいい……体温がゆっくり上がっていくのを感じる。
「ぁ……あ……」
「おっ、息吹き返したぞ。やったな、母さん」
「……ふう……もう大丈夫だからね」
ぴしゃ、ぴしゃ……
助けてくれたおばさんは、優しく何度も柔らかな布で体をぬぐってくれる。
柔らかくて優しくてあたたかい布で、私を包んでくれたおばさん。
「さあ……お待ちかねのおっぱいよ」
おっぱい‼
「おばさん、ハンスが泣き始めたよ⁉」
「ありがと、あんた、ここは大丈夫だからハンスをよろしく。あとカスバは、たらいとか片付けてくれるかい?」
「もちろん! 何でも言いつけてくれ」
男の人たちはそれぞれ動き出したみたい。またバタバタしてる。
「ん……」
おっぱいだぁ‼ 柔らかい、あったかい豊かなおっぱいが
私の小さな口に優しく……
それから私は、もう本能の赴くまま、おっぱいをいっぱい、でもほんのちょっとっつ吸い続けて。
あっま~~~~い‼
おっぱいって、こんなに美味しかったんだ。知らなかったなぁ……
「んぐんぐ……」
しばらくは静かな時間がゆっくり過ぎて………いつの間にか。私は眠りについていた―――
そして、5年―――
月2回、第2・第4土曜日の14時ころに、更新の予定です。
また読んでいただけたら、嬉しいです。