離婚してあげるよ
夫は仕事のことばかりで私のことはおろか、子供のことも家事も何もしてくれない。
たまに気まぐれで何かしようとするようだけれど、「あれはどこだ」「これは何だ」と言って、やらない方がむしろ助かるから無視している。子どもたちも、無視して相手をしていない。
そして最近、ようやく末っ子が小学校を卒業した。
中学生ならもう私も余裕ができて少しは働けるでしょう。離婚するぞ!わたしには何の非もないんだから、得しかないのだ。
しかし夫は世間体を気にしているのか、ことの他嫌がり家裁を利用するかどうかという話までもつれ込んだ。
まずその前に子供の意見を聞いておこうという話になり、子供たちに意見を聞いた。
大学生の長男は意外にも「ちょっと考えさせて」というが、次女は予想通りお母さんにつくという。
そして次の日に次男が言うのだ。
「ここまできたら正直に言うけど、俺はお父さんは嫌い。でも、お父さんを家族ぐるみでいじめるように子どもを誘導して、家事をしようとしても何一つ引き継ぎをしないお母さんも結構嫌い。俺バイトしてるけど、家事が仕事って言うなら申し送りも教育も相談も必要だろ。それをさせないのは世間ではパワハラって言うんだよ。」
「お母さんのことはある程度わかってるから、関わってこなかったお父さんとしばらく話をさせてくれない?それが無理なら俺は大学を辞めて就職して家を出るよ。千里は本当にお母さんでいいのか、もう一度考えた方がいいよ」
「え、わたしお兄ちゃんはお母さんと一緒かと思った。わたしはお兄ちゃんと一緒がいいんだけど」
それから一週間が経つと、息子は夫を選ぶ。そして夫からは離婚を考え直すように言われた。
私は離婚できなかった。
子どもたちがわたしを見捨てた。男の考え方はおかしいと思う。わたしは我慢し過ぎたのだ。もうちょっと早く切り出せばよかった。