プロローグ
非常事態のサイレンが鳴り響き、慌ただしく城内を駆けまわる兵士たち。
不可視化の魔法で彼らをやり過ごすと、互いに合図を送り一気に目的の部屋へと突っ切っていく。
「エンチャント:ウインドソード」
俺は持っていた得物に風魔法を付与すると、剣を強く握りしめ目標を狙い定める。
――絶対に逃がしはしない。
湧き上がる感情。
決して風化する事のない鬱憤。
歯を食いしばり、怒りと共に剣を振り抜く。
攻撃と同時に不可視化の魔法の効果は切れ、突如目の前に現れた侵入者に衛兵たちは慌てて臨戦態勢を取るが、俺は構う事無く扉ごと彼らを一刀両断してみせた。
「――相変わらずスーリオンは容赦ないね」
男はそう言い放つと思わず床に転がった死体に手を合わせた。
「ロイバーさん、よそ見なんてしてると危険ですよ」
「おっと、ミーヤちゃん。俺の事、心配してくれるんだ。やっぱりミーヤちゃんは優しいね」
男は何かを懐にそっと仕舞い込むと彼女を見て嬉しそうに笑みを浮かべた。
「ミーヤ、こんなクズの心配をする必要はありません」
「クズってのは流石に酷くねぇか? カルカ」
「ふんっ、これ以上あなたを的確に表す言葉もないと思いますが」
女はただただ冷淡な目つきで男を見下ろす。
「もっと色々あるだろうよ。ほら、イケメンとか色男とかよ」
「そう呼んで欲しいのならいい加減死体から金品を漁るのは止める事ですね」
「おっと、バレてたか。いや、でもよ。こいつらに金目の物なんかもう必要ないじゃん? だったら俺様が折角だから有効活用してやろうってそういう訳よ」
「やはりあなたはクズですね」
「相変わらずカルカは厳しいこって」
お手上げのポーズでワザとらしくガッカリしてみせたロイバーだったが、カルカはまるで気にする様子もなく奥へと進んで行く。
「ナビ、この先に敵の反応は?」
「ちょっと待ってね。――えーっと、この先の大部屋で待ち伏せしてる」
「そうか。捕虜の反応は?」
「捕虜、捕虜っと。――大部屋を抜けてさらにその先の隠し通路を下った先に幽閉されてるっぽいね」
「わかった。ロイバー、ミーヤ、彼らの救出は二人に任せた」
「はい、お任せください」
「おっ、ミーヤちゃんと二人っきりか。こりゃ張り切ってお仕事しないとな」
「――みんな、頼んだぞ」
「「「了解!」」」
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