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スカートは膝下!

「やっほー、堅物風紀委員さん」


そう言って風紀委員に所属している柴野しばの 安彦やすひこに声をかけたのは校内で一番人気があると言っても過言ではないギャルの彩乃あやの 充希みつきだった。


「ん?また君か…どうしてそんなに俺に話しかけてくるんだ?それとスカートは膝下まで下げろ。スカートをそんなに短くする意味がわからん。シャツのボタンも開けていいのは第一ボタンまでだ」


安彦は充希に呆れた目を向けながらスカートの丈とシャツのボタンを指摘した。


「えー?なんでか分からないの?柴野くんは女心が分かってないなぁ」


充希は綺麗に整えられた眉を八の字にしながらそう言葉を返す。


今は朝の登校時間。風紀委員である安彦は朝の巡回の時間だった。巡回と仰々しく言っているが実際していることと言うと先程安彦が指摘したように女子生徒のスカート丈が校則に違反していないか確かめたりたまに抜き打ちの荷物検査をしたりするだけである。


朝の巡回は基本強制であるため風紀委員は群を抜いて人気がない。だがそんな人気のない風紀委員に自ら進んで立候補したのが安彦だった。


「女心なんぞ分からんでも困らん。それよりさっさとスカートを膝下まで伸ばせ。シャツもボタンを閉めろ。それと何度も言っているがピアスやネックレスは身につけてはいけないと言っているだろう」


そう。安彦の指摘通り、充希の耳にはキラキラと煌めいているピアスが付いている。左耳に二つ、右耳には一つ。左右の耳の一つはリング型、左耳の二つ目のピアスは小さな丸いピアスが付いていた。校則で禁止されているとはいえ、そのピアスたちは充希が身につけることで真価を発揮すると言われても納得してしまうほど似合っていた。


「えー、多めに見てよー。似合ってるっしょ?」


充希は着崩した制服を治すことなくそう言った。


「確かに似合ってはいる。だが校則は校則だ。いくら可愛いからと言ってもダメなものはダメだ」


安彦は顔色を一つも変えることなくそう告げる。


「か、かわいい…」


充希は煌めくピアスが付いている耳を赤くさせながらそう小さく呟いた。


「へ、へぇー?う、うちの事可愛いと思ってるんだ?」


充希は恥ずかしさを押し殺しながら安彦に対して優位にたとうと挑発するように言葉をかける。


「あぁ、そうだが?」


だが安彦は照れることなく平然とそう言ってのけた。


「…」


充希は赤かった耳の熱が顔を広がってくるのを自覚する。


「まぁピアスやネックレスを付けているのは君だけではないがな。確かに皆可愛いがそれをするのは学校外だけにして欲しいな」


安彦がそう言ったのを聞いて充希は今まで感じていた顔の熱さが一瞬で引き安彦をジト目で睨めつけた。


「…そういうとこがだめなんじゃん」


「ん?なんの話だ?」


安彦はキョトンとした顔で充希の顔を見る。


「はぁー…これはなかなか手強そうだなぁ」


充希はこれからのことを思って深くため息を吐きながら肩を落とした。


「手強いと言うなら俺よりも風紀委員長の方が何倍も手強いぞ。何せ校則違反を見つけたら何がなんでも直させるからな」


安彦の所属している風紀委員会の長。彼女はこの学校では鬼の風紀委員長と呼ばれて恐れられていた。校則違反を見つけ次第地獄の果まで追いかけてくると噂されてる。


まぁ充希が手強そうだと言った言葉の意味は全くの別物なのだが…安彦はそれに気づけるほど鋭くはなかった。というか安彦は鈍感である。それはもう悲しくなるほどに。


「…ほんとにこれは手強いなぁ」


充希は落としていた肩を更に深く落としこれからの計画を練るのだった。

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