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まさかの三人目の仲間!?謎の幼女現る

 どうも皆さんこんにちわ、私、はやてって言います。はじめましての方は初めまして、おはようの方はおはよー、キラッ。この前まで女子高生やってたんですが、今は魔法幼女なるものをやってます。

 前回、妹のサーヤちゃんが連れ去らわれそうになった時、まさかまさかの魔法幼女に変身しちゃいまして、間一髪で助けることができました。でもこの世界にはサーヤちゃんみたいに、ピンチに陥っているロリ幼女がたくさんいる。

 というわけで、私とサーヤは旅に出ることにしました。世界を救う旅にね。


「うーん、と言ってもどこに向かったらいいんだろうねえ」

 魔法幼女となって、旅に出たはいいものの、私は転生してきたばかりでこの世界のことなんて右も左も分かんないって状態だからね。見たところ魔物はさっきやっつけた豚さん一匹で、ほかにはいないみたいだけど。

「もうお姉ちゃん、しっかりしてよ。お姉ちゃんはあの伝説の魔法幼女なんだからね。そんなんでどうするの」

「いや、しっかりしてって言われてもなあ」

 実際魔法幼女とか分けわっかんないのにさ、しかも伝説らしいんだよ。そしてサーヤちゃんみたいな真面目な子がめっちゃ真剣に、伝説の! とか、あの! て感じのテンションだから、よけいシュールで笑っちゃう。

「この温度差がウケるのかなー」

 まあ、知らんけど。

「何言ってるの? お姉ちゃん」

 うう、サーヤちゃんににらまれてる。ちょっと黙っておこう。

 とことことこ……。とことことこ……。

 二人になっても歩くスピードは一緒だねえ。当たり前だけど。私とサーヤちゃんは姉妹らしいけど私は金髪で、サーヤちゃんは銀髪なんだよね。金髪ロリも定番で可愛いけど、銀髪もありだねえ。あれ、耳に何かついてる。髪で隠れてるけど耳で何か光ってる。

 ぱさっ

「きゃあ、ちょっとお姉ちゃんー、急に髪の毛触らないでよお」

 サーヤが顔を膨らませる。

「あはは、ごめんごめん。ちょっとサーヤの耳が気になって。ってああこれピアスか」

 耳元で光ってたのはピアスだったみたい。星形のピアスだ。めっちゃ可愛い。

 ……って思ったけどさ、ピアスってちょっと早くない?え、まだロリだよね。子供だよねえ。そういう文化なのか? ここでは。

「このピアスっていつ付けたの?」

 そう聞くと、サーヤはきょとんとした顔で不思議そうに首を傾げる。そして、はあ、と軽くため息をつく。

「お姉ちゃんもしかして、記憶失くしちゃった? 魔法幼女に変身した代償なの?」

 ああ、このピアスって割と共通認識だったものなんですね。ちなみに記憶失くしちゃったっていうのはあながち間違いじゃないよ。正確には何も知らないだね。この世界のことについて何も知らない。

 あそれでも算数はできるよ。教えてあげようかー、お姉ちゃんがー。……いや、どうでもいいか。

「このピアスは五歳の誕生日の時にお姉ちゃんと一緒に着けたやつでしょ。ほら見て、お姉ちゃんにもついてるじゃん。誕生日の大切な思いでなんだからさ、忘れないでよね」

「え、うそ。あっホントだ。ついてる。」

 たしかに私にもピアスが右耳についてる。私のは、なんだろ形が、うーんなにこれ、触ってもよくわかんないなあ。

「お姉ちゃんのはお月様の形で、あたしのはお星さまの形ね。左耳についてるのがあたしで、右耳についてるのがお姉ちゃん」

 へー、そうなんだね。誕生日に一緒にピアスつけるなんて、ちょっとエモいねえ。あーでもピアスってつける位置によって意味があったような。どっちがどっちなんだっけ? ……どっちがどっちってなんだ?

「左耳のピアスは、あなたを守るって意味でー、右耳が守られるって意味なんだよ。つまりあたしがお姉ちゃんを守るってこと。」

 ふーん、って、いや逆じゃない? 普通。え、私が守るんじゃないんだ。何考えてたんだ昔の私。

「まっ、今となっては、守るっていうより、お姉ちゃんの面倒を見てるけどね」

 なんかすんません。

「でもそれじゃあなんでお姉ちゃんが魔法幼女になったんだろう?ふつうあたしでしょ」

「まあそれはお姉ちゃん特権ということで」

 あー、にらまれてますねー。納得いかないって顔でサーヤちゃんににらまれてますねー。はは。

「……でもさっきはかっこよかったけど」

「ん、何か言った?」

「なっ、なんでもないよ!」

 そっぽむいちゃった。

 

 とことことこ……。とことことこ……。

 ところで今私たちはどこに向かってるんだろうか。とりあえずサーヤちゃんの後をついて行ってるんだけど。私はこの辺の地理について全く無知だからね。道案内をサーヤちゃんにしてもらってるよ。

「ねえ、サーヤ、私たちって今どこに向かってるの?」

 とことことこ……。とことことこ……。

 あ、あれ。聞こえてないのかなあ、立ち止まる気配がないな。

「おーい。サーヤー」

 肩を触ろうと手を伸ばす。

「つきました!」

 その瞬間サーヤがクルッと振り返る。急に振り返られたものだからはやては止まることが出来ず、ゴチーンッ! サーヤの頭とはやての頭がぶつかり、鈍い音が響く。そして互いに目をバッテンにしながら頭を抱える。

「いったーーー! ちょっとお姉ちゃん、ちゃんと前見て歩いてよね! ぶつかっちゃったじゃん」

「いたたー。いや急に振り向いてきたのはサーヤのほうでしょ。そっちこそ気を付けてよね。車は急に止まれないんだよ」

 頭をぶつけた痛みと驚きでサーヤが怒り出す。はやてのほうも急に振り向かれ、そのはずみでぶつかったためか、同じく言い返す。

「車って何! わかんない! お姉ちゃんは車じゃなくてお姉ちゃんでしょ!」

「なんで車が分かんないの!」

「わかんないものはわかんないんだよ! そんなこともわかんないの」

「分からないよ! 車が分からない子なんていないもん」

 互いにじっと見つめあい一歩も引く様子はない。はやてのほうは、中に女子高生が入っているとは思えないくらいの文句だが、いたって本気で返している。

 しばらくにらみ合いが続く。サーヤの視線はすごく尖っていたがはやても負けてはいなかった。

「……っは」

 しばらくの間見つめあった後、はやてはふと我に返る。

 私何やってるんだ。なんでちゃんと怒ってるんだ。中身女子高生なんだよ、私のほうは。しかも相手は妹だし、大人げないっていうか、恥ずかしい。

 なんか心までロリになってきた気がするよ。

「ねえ、お姉ちゃん。何そっぽむいてるの。ちゃんと謝ってよね」

「……ええっと、ごめん」

 なんか我に帰ったら、スーッと怒りがなくなっちゃったよ。ごめんねサーヤちゃん。

 一方サーヤはというと、急に冷静になって謝って来たはやてに対して、戸惑いの表情を隠せないでいた。

「え、え、なに? こわ。なんか大人な対応された気分。すこし、腹立つ」

 うーん、謝ったのに、なんかそれはそれで不機嫌そうな顔してるなあ。ま、これがJKの対応力ですよ。

 ガチャ。扉が開く音がした。

 あれ?ああ、私たち誰かの家の目の前で言い争いしてたんだ。それはちょっと迷惑なことしちゃったなあ。多分うるさかったよね、謝らないと。

 はやてが謝ろうと深呼吸をしようとした瞬間、

「あっ、サーヤちゃんだぁ。それにはやてお姉ちゃんもいる。どうしたのぉ、急に」

 やわらかくおっとりとした声が二人の耳を通っていく。

「あ、シユウちゃん。あー、ごめんうるさかった?」

 シ、シユウちゃん? この子の名前かな。

 サーヤが私の袖を引っ張る。

「あたしたち、これから旅に出るじゃん、お姉ちゃん。だからその前にシユウちゃんにあいさつしとこうと思って」

 ああー。そういうこと。親友とかなのかな。わかんないけど、とりあえずこの子もめっちゃ可愛い。とっても可愛い。おっとりとした喋り方に、丸くて垂れた眉。それと眠たそうな眼をしてる。あと、髪めっちゃ長い。太ももくらいまで伸びてる。ちょっと天パも入ってるのかな。これはめっちゃ可愛いよ。可愛い。というよりやっぱロリが可愛い。えへ。

「旅? それってぇ、どういうこと?」

 え、まって。ちょっと待って。喋ると八重歯が見えるんだけど。あー、なるほどそういう感じね、理解。そういう感じだ。おっとり天然系だ。可愛いよーこれは。可愛がってあげたいよーう。

「なんかお姉ちゃん、きもい」

 うぐっ、キモいはやめよう。キモいは。傷つくから。

「もしかして、シユウちゃんのことも忘れちゃったりしてないよね?」

 いやごめんなさい。全く知らないです。でも分かりました。シユウちゃんは可愛い。それだけは分かってます。

「はあ、しっかりしてよね。お姉ちゃん。シユウちゃんはあたしたちの昔からの親友だよ。何度も三人で遊んだじゃん。今日だって家に帰ってくる前、あたしはシユウちゃんと遊んでたんだよ。お姉ちゃんは寝てたけどね」

「ははは」

 なんかごめん。

「ごめんね、お姉ちゃん今日ずっとこんな調子なのあんまり怒んないであげてね」

 さっきめちゃめちゃ私に怒ってたけどね。サーヤちゃん。

「まぁ、いつもこんな感じだからねぇ、はやてお姉ちゃんはぁ。怒ったりなんかしないよ」

 なんか私って、どんなだったんだ?すごい不安になってくるけど、逆に助かってたりもするなあ、これだと。

「それで早速なんだけどなんだけど、さっきの続き。あたしたち世界を救う旅に出ることになったの。主にお姉ちゃんがだけど。だからお別れの前にあいさつしたいと思って。今日はシユウちゃんの家に来たの」

 シユウは首を斜めに傾ける。

 さっきからぼーっとしてるみたいな表情だったけど、さらに分かんない、みたいな表情になっちゃったなあ。

「世界を救うってぇ、どういうことぉ?」

「あー、えっとね。信じられないかもだけど、お姉ちゃんあの魔法幼女になったの、ついさっきね。ほんとびっくりだよね。だから魔法幼女の伝説の通りに世界を救う旅に出ることにしたの。あたしと一緒に」

 あの伝説のね。なんかくすぐったいなあ。

「えぇー。はやてお姉ちゃん魔法幼女に、なったのぉ」

「そうなの、びっくりだよねー」

「だから、ごめんね。シユウちゃん。しばらく会えないんだ」

 サーヤが悲しそうな顔を浮かべる。先ほどまでのぷんぷんしていた顔はどこにもなくなっていた。

「そぉなんだあ、それはさみしくなるねぇ。でも世界を救うためなんだもんね」

 サーヤとシユウは互いに下をむいてしまい、気まずい沈黙が流れる。

 うーん。これはどうしたもんかね。やっぱりサーヤちゃんはここに残していったほうがいいのかな。

「そおだぁ! いいこと思いついた」

 シユウが手をポンと一つたたく。

「いいことって?」

 不安そうな顔でシユウの顔を見つめるサーヤ。

「私も一緒について行けばぁ、いいんだよぉ」

「あー、なるほどー」

 たしかにそれなら、寂しい思いをしなくて済むね。単純だけど核心をついてる。でも危なくないかなあ。

「いや、でもこれはきけんなことで、大変なことなんだよ。シユウちゃんを巻き込めないよ」

「何言ってるのぉ、私たちはぁ、いつも一緒に遊んでたじゃん。いまさらぁ、仲間外れなんてひどいよぉ」

「いや、でも、ほんとにこれは遊びとかではなくて……」

「大丈夫ぅ、はやてお姉ちゃんもいるしぃ。問題ないよ」

 うんうん。サーヤちゃんの悲しい顔は見たくないからね。おねえちゃんに任せなさい。

 どうしたらいいかわからず、上目遣いではやてに視線を送るサーヤに対して、はやては無言の笑みと親指を立てて、返事をする。

「……あはは、ありがとうお姉ちゃん」

「いいってことよ。それじゃあ三人で世界を救う旅に出ますか」

「「おおーー!」」


 そんなこんなで、シユウちゃんという私とサーヤちゃんの親友が一緒に来ることになりました。さてさてこの旅はどうなることでしょうか。

 次回まさかの最初の草むらで魔王様降臨!?果たしてレベル上げは間に合うのか?です。次回も見てね。



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