得体の知れない子供
注意事項1(追伸)
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳ございません。
注意事項2
妊婦である事、子供を拒絶するような、かなりセンシティブな内容を含みます。
妊婦さんを馬鹿にしている訳でも、貶している訳でもありません。
気をつけて!! 本当に!!
「大丈夫?気分でも悪いの?」
真夜中に絶叫し、飛び起きた私を抑えるように、そっと頬を撫でる。隣に居るのは愛しい隣人。彼はこんな闇の中で叩き起されたのにも関わらず、穏やかな双眸で此方を見つめている。
対する私は頭上から血の気が引くような感覚に陥っていた。震えが止まらない。見た夢が気持ち悪くて仕方ない。
「ん……落ち着いて。そう、ゆっくり深呼吸……。そう」
「夢を見たの」
あやす様に背を撫でてくれると段々と気分が落ち着いてきた。ようやくまともに物を言えるようになって、私はおぞましい夢の内容を口にした。
「私が妊婦になった夢。周り皆が祝福してくるの。でも私はそれが本当に気持ち悪かった。順序も踏まず、ただ熟した西瓜を腹に詰められたような感触が、本当に嫌だった」
思い出すだけで吐き気がする。何の過程も踏まず、情も交わさず、ただ妊婦のように膨れた腹。中には生命が宿っているようで、中から何度も蹴飛された来たこと。
……愛しい人との子供ならば、可愛いと思うのだろう。情の一つでも湧くのだろう。でも誰かも分からない子供をこの身に宿すなど、本当に気持ちが悪かった。
また血の気が引いて倒れそうになる。口元を押さえて吐き気を我慢した。その話を聞いても彼は過度に拒絶した様子もなく、延々と頭を撫でてくれた。それが一番落ち着く方法だと言うように。
「まずは水を飲もう。喉、乾いているでしょう? あと服も変えようね。そのままじゃ風邪引いちゃう」
そう言うと、彼はベッドから起き上がり、てきぱきと用意を始めた。病人に対する完璧なまでの介抱だ。それを見て、思わず罪悪感が膨れ上がる。
女と言う生き物であるが故、きっとこの身に生物を宿す事もあるだろう。そうなった時、私は今みたいな感情を抱いて拒絶するのだろうか……。
産み落とした癖に、『気持ちの悪い存在』と拒絶するのだろうか。それは……あんまりなのでは…………?
「大丈夫。現に君は一度も□□という言葉を使わなかったもの。だから産まれてくる子を傷つけるような真似はしないよ」
その言葉を聞いて、少しだけ安堵した。拒絶されるかと思った。怒鳴られるかと思った。けれども貴方が受け入れてくれるから、きっとこの先も大丈夫。
今日見た夢の話。
なんの過程も踏まずに、誰の子かも分からないこどもを宿すって、本当に怖かったです。
好きな人との子供なら、まだ違ったのかな……。