助けを求める声
月曜日の朝、山裾にある集落から警察署に応援を求める電話が掛かって来た。
「タスケテ ハアハア セマイハコニトジコメラレテル クルシイ ハアハアハア タスケテ」
夏休みに入り涼しい朝に宿題をやっていた小学生がラジヲのスイッチをONにしたところ、何時も聞いている音楽と共に助けを求める声が流れて来たのがその理由。
出動した警察官等は直ぐに助けを求める者が埋められているらしい場所、小学生の家から300メートルほど離れた山際の粗大ゴミが不法投棄されている周辺だと特定した。
粗大ゴミの中に送信ランプが瞬いている携帯用無線機があり、その無線機の電波の最大到達範囲がそれ程広くないからだった。
重機が投入され不法投棄された粗大ゴミの周辺が掘られ、地中から金属製のロッカーが掘り出される。
ロッカーの扉をこじ開けると、中から殆んど白骨化した遺体が発見された。
白骨化した遺体が何故助けを求める事が出来たのかは謎だが、今日の朝に突然助けを求める声が聞こえた理由は分かっている。
不法投棄されていた携帯用無線機が捨てられたのは昨日の夜から今日の早朝だと思われるから。
昨日、集落に住む人たちが全員参加して周辺の山際に不法投棄されている粗大ゴミの片付けが行われていたからだった。