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2022年 光の家庭  作者: ヒトミ
第一部 本然の自分に還る
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天からのメッセージ

 多恵ちゃんのご両親と会ってから一か月後のことだった。

「ねぇ、お姉さん、見たい映画があるんです。今度一緒に見にいきませんか」

 と多恵ちゃんに誘われた。映画は普段から時々見る方だったけれど、多恵ちゃんが見たい映画は聞いたこともない監督だった。ちまたでは話題の映画らしい。

「いいよ、行こう」

 仕事後、多恵ちゃんと待ち合わせ、映画館に向かった。館内はほぼ満席に近く、平日なのにたくさんの観客が入っていた。人気の映画なのだということを目の当たりにし、私達も席に座った。まもなくして映画が始まった。

 上映開始後、数十分立った頃だろうか、突然、不思議なことが起こった。

 よどみのないはっきりとしたメッセージが私の心の中に落ちてきたのだ。こんなにも直球で突き刺さるような感覚は未だかつてなく、強烈で異質な体験だった。


「こんなことをやっている場合じゃないよ。あなたのアダムはちゃんといるのだから──」


 映画や本などを通してメッセージを受け取ったことはこれまでにもあった。けれど、そういう場合、映画のワンシーンで起こった情景や登場人物達のセリフといった一部、もしくは、本の本文の流れの中で出てくる文章であることが多かった。自分が実生活で向き合っている事象と重なりあい、それらが心に響いて、心が動かされるというものだった。

 けれど、今回は明らかにそんなものではなかった。映画のシーンはまだなんてことのない序章の場面で、物語はこれから徐々に展開していくところだった。よくわからないまま、思わず辺りを軽く見回し、多恵ちゃんにも横目をやった。彼女は何も起こった様子もなく映画を見ている。私だけがこの思いもよらない出来事にどぎまぎしていたのだった。

「いやぁ、本当によかったですよねぇ」

 鑑賞後、多恵ちゃんは清々しいほどの満足顔で言う。映像も綺麗で、確かに面白かった。けれども、序盤の不思議な体験がひきずり、物語には完全に入り込めずに、あっという間に終わってしまった。

 あれはなんだったのだろう。自分でも理解できないものを、多恵ちゃんに話すことはできなかった。そのまま消化できずに、メッセージは翌日も翌々日も私の頭の中をぐるぐると駆け巡るのだった。

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