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2022年 光の家庭  作者: ヒトミ
第二部 日本の陰陽結び
14/26

アマノウズメと千葉での陰陽結び

 二月の天と地の陰陽結びから数か月がたとうとしていた。三月から五月は自分の充電期間のような時間を過ごしていた。教会の中で示された一つの人生行路からはずれてしまった私が辿りつく、夢を見られる場所とはどこなのだろう。そんなことをぼんやり考えめぐらしながら、六月を迎えていった。


 六月に入ると、再びメッセージを受け取った。

「アマノウズメと国家的尊厳の回復……」

 アマノウズメとは日本神話の天岩戸神話に出てくる神様である。岩戸に隠れた天照大御神を外に誘い出すために、岩戸の前でアマノウズメは激しくおどった。踊りを見ていた大勢の神様達が大きな歓声と笑い声をあげ、気になった天照大御神が外を覗いてみたところ、外に引き戻されて、世界に太陽の光が戻ったとされる話だ。

 ちょうど世の中は二○二○東京オリンピックを開催するか否かで揺れ、また、それに伴う度重なる緊急事態宣言の中で、混沌としていた時期だった。私にはそれがまるで天照大御神が岩戸に引きこもり、太陽の光が隠されてしまったように感じたのだった。

 また、神社巡り行こうかなと明子とやりとりしていたところ、明子からラインでメッセージが届いた。

「アマノウズメの話をしてたじゃん。だから、ここ行ったよ。あと、千葉神社も行った。神社は良かったんだけど、なんか周辺のエネルギーが重く感じたな」

 そういって、東京新橋にあるアマノウズメを祀る烏森神社と千葉神社の写真を送ってくれた。

 彼女は根っからの感覚人間で、やりたいと思い立ったら、すぐ行動するし、感じたことや夢見たことなど何でもオープンに話してくれる。私より十歳以上年上という年齢差を感じさせず、いつしか気楽になんでも言い合える男兄弟のような仲になっていた。

 千葉神社周辺の重たいエネルギーと聞いて、ふと大叔父さんが千葉の陸軍歩兵学校に行っていたことを思い出した。私の祖父の兄である大叔父は太平洋戦争のインパール作戦で戦死した。仏前にあった兵隊服姿の遺影を見て、祖父が「兄は本当に賢く、立派な人じゃった……」と言っていたのが懐かしい。

 その大叔父さんが書いたはがきを一枚持っていたのを思い出した。数年前、祖父母の家で遺品を整理していた時に出てきたものだった。大叔父さんが若かりし頃、祖父に送ったはがきを記念に一枚こっそり持って帰ったのだった。

 そのハガキを早速探してみた。──あった!

 大叔父さんが千葉の陸軍歩兵学校に通っていた時に静岡の清水商船学校にいた祖父に送ったもので、祖父への激励と自身の近況と卒業の喜びについて書かれていた。文章からも長男らしい真摯な気概が伝わってくる。

 早速、陸軍歩兵学校のことを調べてみた。千葉市稲毛区天台にあった学校は、元々は陸軍戸山学校内で創設されたが、その後すぐに千葉の地に移転されたらしい。稲毛区天台は千葉神社から三キロメートル圏内にあり、その辺り一帯には陸軍関係の学校や施設が多数あったことがわかった。

 驚いたことはもう一つあった。

 移転前の陸軍戸山学校についてである。この学校は現在の東京都新宿区戸山、都立戸山公園箱根山にあったようで、この公園は私の散歩コースで頻繁に足を運んでいるお気に入りの場所だった。

 昔、誰かから陸軍の訓練場所だったと聞いたことがあったけれど、こんな繋がりがあるとは思わず、不思議な縁で導かれてるんだなと感じた。

 明子が感じていた重いエネルギーの正体はこれかと思い、旧陸軍歩兵学校跡と千葉神社の陰陽結びをしに、行ってみることにした。


 六月十一日、西千葉駅で降り、そこから大きい道なりに沿って歩き、旧陸軍歩兵学校跡地へ向かった。途中、周辺には千葉大学や千葉経済大学といった学校があり、そこをこえて行くと跡地はあった。作草部公園という小さな公園の敷地内に石碑があるのを見つけ、公園のベンチで一息した。

 天気が良い午後のひとときで、幼い子供たちが賑やかに駆け回っていた。子供たちを見守りながらおしゃべりをするお母さん達の姿も見える。周りは住宅地だった。

 ここに歩兵学校があって、私より若い青年だった大叔父さんが訓練を受けていたのかと思うと感慨深いものがあった。石碑に向かって、今ある平和に感謝しながらお祈りをし、千葉神社まで約三十分の道を歩いて向かった。

 千葉神社に到着した。この神社は通称「妙見様みょうけんさま」と親しまれている北辰(北極星と北斗七星)の御霊である神様を主祭神としている。全ての星と方位方角を守護掌握する特殊神であるらしい。

 正面入口には「尊星殿そんじょうでん」と呼ばれる二階建ての楼門と社殿が組み合わさった朱塗りで艶やかな建物が構えている。建物は左右と中央の三方に分かれていて、中央の「福徳殿」には八角形の大きな柱の側面に、方位、十二支、人間の身体各部等の役割が書かれた八つの星宮がある。そして、左側の「日天楼」では太陽、右側の「月天楼」では月を表す柱があり、陰陽のパワーをいただける場となっている。

 尊星殿を通ったその奥に、朱塗りで上下に二つの拝殿がある本殿が堂々と佇んでいるのが見えた。国内初の重層社殿だそうだ。

 本殿の左隣には菅原道真を祀る千葉天神、さらには十四社の末社もあり、盛り沢山である。全てを参拝して、たくさんのパワーを頂きながら、千葉での陰陽結びを終えた。

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