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2022年 光の家庭  作者: ヒトミ
第二部 日本の陰陽結び
12/26

鹿島神宮での陰陽結び

 遊就館と鹿島神宮の繋がりは特になにもない。ただ遊就館にふと行ってみようと思うきっかけがあり、たまたま友達と予定していた初詣がその翌日で、行き先が鹿島神宮だったからだけだ。

 けれども、この時の私は「陰陽結び」といったものを自分なりに始めていた。自分が気づいたり受け取ったりした、報われなかった想いや感情を、神社参拝等で神聖なエネルギーに繋げ、天に還していくというものだった。極と極の性質のものを繋げていくという意味で、「陰陽結び」と個人的に呼んで、やっていたもので、特別な技や術ではない。

 はじめは自分の個人的な想いや感情だけだったが、次第に場のエネルギーや他人や先祖からの想いも受けることもあり、重たくなったエネルギーを感じれば、神社や自然の中に行き、天に還していくのだった。


 翌日、一月十四日、私は友人三人と鹿島神宮へ向かった。

 鹿島神宮は茨城県鹿嶋市にあり、日本建国・武道の神様である武甕槌大神たけみかづちのおおかみを祀った神社である。敷地面積約七十ヘクタール、東京ドーム十五個分に及ぶ境内の半分以上は樹叢じゅそうに覆われている。周辺から見ると森のようだった。この敷地だけでも広大なのだが、ここには鹿島神宮を中心として東の一之鳥居を二等辺三角形の頂点に置いた南北に広がる東西南北の一之鳥居もあり、それらも回ることにした。

 まずは西の一之鳥居に行く。北浦湖畔の鰐川の中にあり、川底から高さ十八・五メートル、幅二十二・五メートルという日本最大級の水上鳥居である。鳥居の背に高くかかった太陽から射しこまれる光は、水面にキラキラと反射してとても綺麗だった。

 次は東の一之鳥居だ。こちらは太平洋に面する明石の浜にあるのだが、鳥居のすぐ前に堤防があり、鳥居から海が見えるわけではない。西の鳥居とは打って変わって、コンパクトな木の鳥居である。けれども、くすんだ茶色木と灰色の堤防の先に見える、雲一つない澄んだ青空は、くすんだ色との絶妙なコントラストを描いていた。

 二つの鳥居を回った後で、いよいよ本ちゃんの鹿島神宮だ。入口には境内の森から切った四本の杉から作られた大きな大鳥居が構えている。そこを通って先に進むと、日本三大楼門の一つと数えられている大きな丹塗りの楼門が見える。その奥へ進むと、右手に入母屋造、檜皮葺屋根で素木造りの拝殿と、三間社流造、向拝一間で檜皮葺、漆塗りで極彩色が使われた華やかな本殿が見え、そして本殿の奥に樹齢約千三百年で高さ約四十メートルの御神木があった。

 そこで参拝し、昨日の遊就館で受け取ったものも天に還したのだった。

 杉並木の奥参道を行くと、鹿園もあり、その先には奥宮、要石、御手洗池と続く。杉並木の木漏れ日と澄んだ空気は実に気持ちが良かった。

 境内を全てまわり、参拝を終え、残りの一つ、北の一之鳥居へ向かった。こちらの一之鳥居は神戸のごうどのもりと呼ばれる小さな森の中にあった。そこには、静かにひっそりと戸隠神社の社殿が佇んでいる。無人だが、境内はきれいに掃き清められていた。この一之鳥居はまだ新しいらしく、鳥居も戸隠神社の社殿も鮮やかな朱色を放っていた。木々の緑と鮮やかな朱色が、東の一之鳥居とはまた違ったコントラストをみせてくれるのだった。

 そして、最後は南の一之鳥居へ向かった。東国三社の一つである息栖神社の一の鳥居も兼ねている鳥居で、この鳥居は一味違う。大きな鳥居の両隣に小さな鳥居が並んで立っているのだ。忍潮井おしおいと呼ばれる四角い井戸が大きな鳥居の両脇にあり、そこに小さな鳥居が立っているのだった。

 南の一之鳥居に着いた頃には、ちょうど夕暮れ時となっていた。だいだい色をした深く濃い夕日が利根川の対岸にまさに沈んでいくところだった。

 今日の陰陽結びと全ての参拝が終わった。一日の終わりに天が見せてくれた風景は、神様が私達を暖かく包んで、「よく、やったね!」と言ってくださっているようだった。

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