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日記、始めてみました。  作者: 小島秋人
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2020/02/26

2020/02/26


 ウイルス性感冒、要は風邪だが、を罹患するにあたり毎度有り難いのは食欲だけは減衰しない事で、「自分も未だ未だ若い身空よ」と悦に入りながら布団に入る姿は我ながら滑稽の極致だ。


 さておき、消化器に異常のない限りは欲するまま食事の献立を考える。無論病人らしく粥や饂飩の類が殆どにはなる訳だが、ひき始めの頃合いには全くの逆打ちに走る事も屡。最たるは「豚骨醤油らーめんホウレン草マシマシ油少な目味玉トッピング」、東日本小規模チェーン魂心家が驚異800円で提供する文字通り魂の一杯で


 「待てや」

 「なんだ、話の途中だが」

 「いつからラーメンレビュー日記になったわけ?」

 「いや、これが存外にバランス栄養食であるとネットニュースでは一頃話題になったわけよ」

 考えてみれば病人に不足しがちな炭水化物、脂質にタンパク質、少量ではあるが海苔と野菜でビタミンミネラルの補給も可能と言われればそんな気がしてくるものだ。

 「要はプラセボじゃん」

 「馬鹿にしたもんでもない、俺は割と単純な思考回路を自負しているからな」

 「どの脳味噌が言うんだか…」

 呆れ顔の彼、言われてみれば今日は其れを話題とする心算であった事を思い出す。横槍は良い契機でもあった、正直長々と食レポを書き綴る気は初手から失せていたのだ。


 話をガラリと引き戻し今日語りたかったのは、どうもこの日記の意図を再度周知せねばならないらしいことが発覚した次第なのだが。正味な話、そんな小恥ずかしい事態に何故なったのか初日の日記を読み耽るに自身の迂遠な文章運びが最たる原因に思えてならない。考えてもみれば傍から見れば独り語りも甚だしい空想相手の独白を「愛しのだぁ様とのラブラブ会話集」が如く世間一般様に公開する神経を疑われるのは反論の余地なく仕様の無い事ではあるのだろうけれども、それにしてもどう読み解けばこれが新しい彼氏との新生活を綴った日記に見えるのだらうか。


 「…自分で言ってて空しくないの?」

 「…言うな、無用な誤解は俺だって本意じゃねぇんだから仕方ねぇだろ」

 どうにも気拙い雰囲気が漂っている。とまれ、今日の内容を皮切りに正しい認識が得られることを切に祈りたい。


 「それはそれで痛い目で見られると思うけど」

 「それは元からだから俺に痛手はねぇよ」

 「生き方が難儀すぎるよ…」

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