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狂気の魔導工学者  作者: 風白狼
番外編
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14/14

溶ける薬に踊らされ

本編をこちらに掲載したので、短編を再掲します

 いつものようにルビネスの部屋を訪れたサファイ。しかし、彼女は媚薬を飲んでしまっていて…? これは、そんな夜のお話。

 茶髪の女性がデスクにもたれてかかっていた。その髪も呼吸も乱れ、頬も熱を帯びて紅潮している。コンコン、とノックの音が響いた。女性は息を整えようと懸命になりながら、深紅の瞳をドアに向ける。彼女の見る先で、ドアが開いた。

「ルビネス? いないのか?」

 黒髪の男性が怪訝そうに中をのぞき込む。その藍色の瞳がルビネスの視線とぶつかった。

「サ、ファイ…」

 息を切らしながら、ルビネスは彼の名を呼ぶ。彼女の様子に異変を感じ、さっとサファイは表情を険しくした。

「ルビネス!? どうしたんだ、一体?」

 サファイは慌てて駆け寄ろうとする。が、ルビネスは片手でそれを制した。ギロリと睨むその剣幕に押されて、サファイは一瞬立ち止まってしまう。が、すぐに気を取り直してそばへ寄った。

「熱でもあるんじゃないのか?」

 そう言って、ルビネスの首のの辺りにサファイの手が触れたとき。

「ひゃぁう!?」

 ルビネスは素っ頓狂な声を上げてびくりと体を震わせた。突然のことに、サファイは慌てて手を引っ込める。息が荒いだけじゃない。触れた体温は普段より高く、じっとりと汗ばんでいた。これは相当ひどいと確信し、サファイは眉根を寄せる。

「無理はするな。今はとりあえず休んでくれ」

 彼女は自分の体を省みない。やるべきことがあると、いつも寝食を抜いてしまう。しびれを切らしたサファイは、無理矢理にでも連れて行こうと彼女の腰に手を掛けた。と、また大げさなほどにルビネスは体を震わせた。半分抱き寄せた格好のまま、サファイは硬直する。ルビネスはすがりつくように彼に抱き付いていた。浅い息と共に肩を上下させ、わずかに震えている。

「…どこか痛むのか?」

 訝しげに問いかけても、ルビネスはふるふると首を横に振るだけ。はあ、と湿った息を吐いて、顔を上げた。熱をはらみ、潤んだ深紅の瞳がサファイを捉える。顔を赤く染めしがみつき、何かを求めるように見つめてくる。その様子に、サファイはどきりとした。赤く色づいた唇が誘っているようにも見える。

「るるルビネス? いいいったいどうしたんだ……?」

 過度に混乱して、サファイの声がうわずる。彼は完全に硬直してしまっていた。ルビネスはそんなサファイの服を掴み、つと腰を押し当てる。誘われるがままに、サファイは彼女を抱き寄せた腕を滑らせる。

「んっ――!」

 ルビネスは体を震わせ、甘い声を漏らす。それがさらにサファイを煽る。

「ルビネス――」

 ふわりとサファイの顔が覆い被さった。お互いの唇が触れあう。それは溶けるように甘く、深く。静寂は二人を包み込んでいた。

Twitterのほうでネタを頂いて書いてみた作品です。

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