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嘘
今回は小林汐希様とのリレー小説「夢はひとりみるものじゃない」から小林汐希様に許可を得て書きました。
今日、よつ葉は看護師としての初日を迎えた。初めて袖を通した純白の白衣。
夕方、ロッカーで着替えようとしていたとき、病棟から来ていた河西看護師長がよつ葉を呼び止めた。
「菜須さん、小林さんの病室に行って! 早く!」
「はいっ!?」
その気迫に、よつ葉の心臓が早鐘を打ち出すと同時に、廊下を通い慣れた部屋へ急ぐ。
『お願いパパ、無事でいて!』
そう、今日からよつ葉はもう学生じゃない。
パパが本当に苦しんでいるなら処置をしなければならない。
緊張しながら扉を開くと、病室の中で花束を持ったパパが笑顔で立っていた。
「就職おめでとう。よつ葉」
「…もぉ、パパの意地悪ぅ」
二人だけの病室。最高の嘘に騙されたよつ葉でした。
小林汐希さまへ
この度は、この作品を快く許可していただき本当にありがとうございました。




