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三人王子と三匹の子ブタちゃん  作者: たらふく
72/94

七十二、ファンクラブ?



「それにしても、紫苑、お前、すげーわ」


私たちはクイズ大会を終え、校庭で立ち話をしていた。


「驚くほどのことでもない。僕にとっては簡単な問題ばかりだった」

「カレーの隠し味には、さすがに驚いたよ。よくわかったね」

「東雲くんも出るべきだったぞ。きみなら全問正解だ」

「いや、むりむり」

「それにしてもでありんす。せっかく花魁に関する問題を作ったでありんすのに、出されなかったのは残念でありんした」

「どんな問題だ。言ってみたまえ」


紫苑さんは、正解してやると言わんばかりにそう言った。


「では問題でありんす!吉原などで大夫に仕えていた子供のことを何と呼ぶでありんすか」

禿かむろ

「せ・・正解でありんす・・」

「禿は将来、遊女になるために修行もしていたのだ」

「そ・・その通りでありんす」


紫苑さん・・ほんと物知りだわ・・


「それにしても紫苑さんが、新喜劇のDVDを持ってたとはな。驚きやわ」

「そうか」

「いや・・マジで参りましたわ。まさか岡八郎のあだ名を知ってるとは思わんかったで」

「他にも、もっと知っているぞ」

「マジで~~?ほな、浅香あき恵が、おっさんみたいになった時に言うセリフは?」

「怒るで、しかし」

「あっはは!マジか~~!すごいわ」

「しかしだな・・僕は覚えはしたが、まだ面白さを理解したわけではない」

「そりゃ~無理ってもんやで」

「なぜだ」

「私なんかさ、大阪で生まれ育ったやろ。いわば吉本に育てられたみたいなもんやねん」

「どういうことだ」

「関西の人間は、みんなそうやねん。前に王子が言うとったけど、これは感覚、センスやねん。だから関東の人にはわからん感覚やねん」

「そうか・・。では僕がいくら理解しようとしても、無理だと言うことか」

「まあ・・無理って決めつけるのもアカンけど、私には身体に染みついた感覚があるんや」

「なるほどな。まあ、そこのところは、今後の僕次第という訳だ」

「ま、そやね」


紫苑さんって、ほんとにすごいわ。

興味を持ったことには、とことん掘り下げて追求するタイプなのね。

すごく好奇心が旺盛なんだわ。


「んじゃ、帰るか」


たけさんがみんなにそう言った。


「私たちは後片付けがありますので、みなさんで帰ってください」

「そっか、わかった。今日はありがとな。楽しかったぜ」

「こちらこそ、来てくださってありがとうございました~」


そして、みんなそれぞれに言葉を交わしていた。


「クイズ大会、なかなか面白かったぞ」


紫苑さんがそう言ってくれた。


「そうですか~!よかったです」

「それじゃ、失礼する」


そして、たけさんたちは学校を後にした。


「さ~~て、片付けしなくちゃね!」

「それにしても紫苑さんって、面白い人やな」

「面白いっていうか、変わってるよね」

「なんちゅうか・・ある意味、偏見のない人っちゅうか・・」

「どういうこと?」

「いや、先入観で物事を見んっちゅうんか・・」

「え・・」

「もっと堅物やと思ってたけど、お笑いに興味を持ってくれて、ほんで、めっちゃ真面目に向き合ってくれて、なんか印象が変わったわ」

「ああ~・・確かにそうかも」

「私は・・お笑いもそうでありんすが、なんと言っても、遊郭にも詳しいことに感激したでありんす」

「紫苑さんって、ほんと物知りよね」

「紫苑さん・・か・・」

「えっ・・紬・・どうしたの・・?」

「ちょ・・ちょっと待ったりぃぃ~~なっ!紬っ!」

「なんでありんすか」

「アンタ・・まさか・・紫苑さんのこと・・」

「なっ・・なにを言うでありんすか」

「マジか・・図星か・・」

「みっ・・美琴っ・・妙なことを言わないででありんす・・」

「紬・・。悪いけど、私も紫苑さんが好きやで」


ええええええ~~~~!

ふっ・・二人ともっ!マジで~~~~!


「えっ・・美琴・・それはほんとでありんすか・・」

「うん。なんかさ~、この間のファミレスの時も、アメマ裁判のこと、私、最初はちょっとからかって言うてみたんやけど、紫苑さん、すごく真面目に聞いてくれたやん?あの時、あれっ?と思っててん」


あ・・そう言えば、静香さんと紬は固まってたけど、美琴だけ嬉しそうにしてたよね・・

そっか・・あの時から、そんな気持ちがあったんだ・・


「そ・・そうでありんしたか・・」

「お互い、抜け駆けは無しな」

「抜け駆けなんて・・とんでもないでありんすよ・・。っていうか・・私は別に・・」

「嘘言いな。モロに出てるがな」

「み・・美琴こそ・・どうなんでありんすか」

「私もそんな卑怯なことせぇへん。あっ!二人で紫苑さんのファンクラブ作らへん?」

「ファンクラブでありんすか・・」

「小春も入るか?」

「えっ・・私は・・遠慮します・・」

「よーーしっ!そうと決まったら、善は急げや」

「え・・もう決まったの・・?紬、なにも言ってないよ・・」

「いやっ!もう決めたんや。紬、それでええな」

「あ・・まあ・・それならそれで・・了解したでありんす・・」


うっそ~~~!

紫苑さんのファンクラブぅぅぅ~~~?

なんか・・また何かが起こりそうな予感しかないんですけど~~


「そこでやっ!早速、ファンクラブ、第一回の会合や」

「えっ・・今から?」

「小春っ!」

「なっ・・なにっ?」

「アンタ、紫苑さんの携帯の番号、知ってるん?」

「いや・・知らないけど・・」

「王子は?」

「あ・・たけさんは知ってる・・」

「ほなっ!指令を言い渡す!」

「えっ!指令って・・私・・会員じゃないんですけど・・」

「王子から番号を訊きだすこと!」

「ええええ~~~!わっ・・私がっ?」

「そやで」

「だから・・私、会員じゃないんだけど・・」

「会員じゃなくても、友達やろ!ここは一肌脱いでやろうじゃねぇか~~と、王子口調で言わなっ!」

「え・・口調はいいんじゃないの・・?」

「まあええわ。ほな、頼んだで」

「え・・マジで・・?」

「小春・・ここは頼まれてほしいでありんす・・」

「げ~~紬までっ・・」


なに~~~!

なによ~~~!この展開。

いきなり過ぎるでしょ~~~

っていうか・・ファンクラブなんて・・紫苑さん、絶対に引くよね・・


「あ・・あのさ・・」

「なんやの」

「ファンクラブはいいんだけど・・その・・あまり押し過ぎない方がいいと思うんだけど・・」

「なんでやの」

「紫苑さんって、なんていうか・・そういうタイプじゃないと思うんだけど・・」

「ほんなら、どうしたらええんよ」

「どうしたらって・・それは・・」

「自分のことが好きやって言うてくれる人に対して、嫌な思いをする人っていてへんで」

「まあ・・そりゃそうだけど・・」

「小春~、心配せんでも、わかってまんがな~」

「え・・」

「行け行けドンドンにするはずがないやん」

「そ・・そうなんだ・・」

「私はもう、紫苑さんの性格わかってるで」

「そ・・そっか・・」

「ほなっ!番号のこと、頼むで!」

「あ・・うん・・」


ほんとにいいのかな・・

そりゃ、たけさんは番号くらい教えてくれると思うけど・・

妙なことにならなきゃいいんだけど・・


私はその日の帰り、たけさんちに寄ることにした。

たけさん・・驚くだろうな・・


「こんばんは~」


私はそう言って玄関を開けた。


「おう、小春。お疲れ」

「いえ~」

「上がれよ」

「はい~、お邪魔します~」


私は部屋に上がらせてもらい、ちゃぶ台の前に座った。


「お前、晩飯、食ったのか」

「いえ、まだなんです」

「ラーメンあるぞ。食うか?」

「あ・・えっと・・その前にちょっとお話が・・」

「え・・なんかあったのか」

「いえ・・特にそう言うわけではないんですが・・」

「なんだよ、言えよ」

「あのですね・・」


そこで私は、美琴と紬が紫苑さんのファンクラブを作ったことを話した。


「は・・はあああ?ファンクラブ?」

「そうなんです」

「なんだよ、それ」

「なんか・・美琴は、紫苑さんがお笑いのことについて、すごく真面目に向き合ってくれたことで印象が変わったらしく、紬は遊郭について詳しいことに感激したらしくて・・」

「あはは、マジかよ」

「それで・・二人とも紫苑さんのことが好きになったらしくて。でもお互いに抜け駆けしないように、ファンクラブを作るって話しに落ち着いて・・」

「あはは。紫苑が聞いたら気絶すんじゃねぇのか」

「それでですね・・紫苑さんの携帯の番号を知りたいらしく・・」

「へぇー」

「たけさん・・教えていただけませんか・・」

「番号なぁ・・」

「ダメですか・・?」

「許可なく教えるっつーのもなぁ」

「そ・・そうですよね・・」

「紫苑に了解とってからでいいか?」

「はい、もちろんです」


そうよね・・やっぱり勝手に教えるのは、ダメよね・・


「今から電話してみるわ」

「え・・いいんですか」

「うん」


たけさんは携帯を手にして、紫苑さんに電話をかけた。


「おう、紫苑。今日はお疲れ。ああ、うん、別にいいじゃねぇか。そうだよ、今は家だよ。あのさ、お前の番号、そう、携帯な。知りてぇやつがいんだけど、教えてやってもいいか?うん、うん、ちげーよ。なんで俺が怪しいやつに教えんだよ。お前も知ってるやつだよ。ええ~~、えっとな、美琴と紬だよ。そうそう。なんか話がしてぇみたいだぜ。さあ、お笑いの話じゃねぇのか。そうだよ。んじゃ教えてやってもいいな?うん、うん、わかった。じゃあな」

「どうでした?」

「うん、いいってさ」

「そうですか~、よかった~」

「ちょっと待ってろよ。書くからな」


そしてたけさんは、メモとペンを用意し、番号を書いてくれた。


「ほらよ」

「ありがとうございます」

「それにしても、美琴と紬は考えることが面白れぇな」

「まあ・・殆どが美琴の提案なんですけど・・」

「あはは、あいつは性格がはっきりしてるっつーか、姉御肌だよな」

「そうですね」

「さっぱりしてて、気風きっぷの良さもいいよな」

「はい~、そうなんですよ」

「紬は結構、大人しいよな」

「あ・・まあ、そうですね」

「まあ、なんにせよ、いいんじゃね?紫苑も勉強ばかりじゃ、社会勉強できねぇしな」

「そうですね」

「あ、お前、ラーメン食えよ」

「あ・・はい」


私は台所へ行き、ラーメンを作った。

たけさんは、ああ言うけど・・

私はなんか・・不安なのよねぇ・・

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