表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三人王子と三匹の子ブタちゃん  作者: たらふく
40/94

四十、美琴と紬



「小春、一人暮らしはどうや?」


お昼休み、美琴がそう訊ねてきた。


「うん・・まあね・・」

「なんやの~、元気ないやんかいさ」

「バイトはどうでありんすか」

「うん・・」

「小春、どうしたでありんすか」

「私・・あまり役に立ってないんだぁ・・」

「は?どういうことなん?」

「覚えが悪いっていうのかな・・。迷惑かけてばかりで・・」

「っんなん、まだ一週間やろ」


私がバイトを始めて、一週間が過ぎていた。


「そうなんだけどね・・」

「そんなん大丈夫やって」

「時雨王子は、なんと言ってるでありんすか」

「時雨さんも気にすんなって言ってくれてるんだけどね・・」

「元気出すでありんすよ~小春」

「そうやで~」

「せっかく日本に残れたのに、小春がそんなんでありんしたら、私たちも辛いでありんすよ」

「うん・・ごめん・・」

「あっ!そやっ。小春の家に泊まりに行ってもええ?」

「おおお~、それはいいでありんすな」

「えっ!来てくれるの?」

「っんな、あったり前田のクラッカーやがなっ!」


私は二人が泊まりに来てくれることで、幾分が気持ちが明るくなった。


「来て来て~~」

「よっしゃー、ほな、早速、今日の帰りに行こか」

「えっ・・そんな突然で大丈夫なの?」

「私は家に電話するわ」

「紬は?」

「私もするでありんす」

「やったぁ~~!嬉しいな」


こうして美琴と紬が、泊まりに来てくれることになった。


そして放課後になり、私たちは家に向かっていた。


「そういや、小春。ご飯とかはどうしてんの?」

「うん・・出来合いの物とか・・ばっかりで・・」

「あかんがなっ!」

「えっ・・」

「ちゃんと作らな」

「そうでありんすよ。栄養が偏るでありんすよ」

「わかってるんだけど・・私、作ったことがなくて・・」

「もう~~しゃあないなっ。私が教えたる!」

「えっ!美琴って料理できるの?」

「バカにしたらあかんで。うちさ、両親が仕事で忙しいやろ。だから妹のご飯、私が作ったりしてるんやで」

「ええええ~~~!そうだったんだ・・」

「それは私も初耳でありんした・・」

「ほな、食材とか家にないんやな?」

「うん・・」

「ほな、スーパー寄ろか」


そして私たちはスーパーに寄り、食材を購入した。

そのお金は全部、私が出した。


家に到着し、美琴は早速キッチンに立って料理をし始めた。

私はそれを横でずっと見ていた。


アスパラを豚肉で巻いて・・焼くのね・・ふむふむ。

最初にアスパラを茹でてて・・なるほど・・


「美琴、ちょっと待って」

「なんやの」

「ノート取ってくる」


私は鞄からノートを取り出し、鉛筆を持って美琴の元へ戻った。


「アスパラって・・何分茹でたらいいの?」

「まあ~・・アスパラの太さにもよるけど、五分くらいやな」

「五分ね・・なるほど・・」

「んで、これが茹であがったら、豚肉で巻くんや」


美琴はアスパラを半分に切り、何本かを束ねて豚肉で巻いていた。


「それでな、後は炒めるだけや」

「へぇーそうなんだ」

「味付けは、醤油と砂糖で甘辛く、もええんやけど、私は塩コショウが好っきゃねん」

「なるほど・・」


私はそれらを全部メモした。


「小春、レタスをお皿に乗せて」

「あ・・はいはい・・」


私は袋からレタスを取り出し、それをちぎってお皿に乗せようとした。


「あかんあかん。洗わな」

「え・・洗うんだ・・」

「水でササッと洗ろて」

「はい」

「水切り、ちゃんとしぃや」

「はい」

「ほな次や」


美琴はそう言って、人参とシイタケと高野豆腐と子芋を取り出した。


「高野豆腐は水で戻すんやで」

「へぇー」

「ボールないん?」

「あ・・えっと・・」


私は流し台の下からボールを取り出した。

美琴はそれに水を入れ、高野豆腐を戻していた。

すると、ほどなくして高野豆腐は大きく膨らんできた。


「わあ~~・・こんなになるんだ」

「そやで」


そして美琴は慣れた手つきで、それぞれの食材を適当な大きさに切り、鍋に水を入れて食材も入れていた。


「味付けやけどな、出汁、醤油、みりん、料理酒や。まあ・・砂糖ちょっとだけ入れてもええけどな。そこはお好みや」

「なるほど・・」

「一旦煮立ったら、後は弱火で三十分くらい煮たらええかな」

「なるほどぉ~」


私はもう、夢中になってメモをした。


「えっと・・豚肉のアスパラ巻は・・焼かないの?」

「アホかっ。今から焼いたら冷めるっちゅうねん」

「ああ・・そっか・・」

「煮物が出来上がってからで、ちょうどええねや」

「なるほど~!」

「小春・・」

「なに・・紬」

「ご飯は炊いたのでありんすか」

「あああ~~~!忘れてた!」

「あはは、今から炊き」

「わ・・わかったあ~~」


美琴って・・すごいな・・

まるで主婦みたいだわ・・


「それにしても・・美琴にこんな特技がありんしたとは・・」

「特技ちゃうっちゅうねん」

「いやいや・・立派な特技でありんすよ」

「そうだよ~。もう尊敬しちゃうわ」

「アホな。こんなん慣れやって」

「そうなの・・?」

「毎日のようにやってたら、嫌でも覚えるっちゅうねん」


そっか・・

そうよね・・

私もバイト・・きっと慣れるよね・・

毎日の積み重ねが大事なんだね・・


「美琴・・今度、ハンバーグの作り方、教えてくれない?」

「ええけど」

「やった~~!時雨さん、ハンバーグ好きなの」

「そうかいな~。ほな、和風ハンバーグっちゅうのん、教えたるわ」

「おおお~~和風~~」

「時雨王子、喜ぶでありんすな」

「うんっ!」


なんか・・元気出てきた。

やっぱり美琴と紬は・・私にとってかけがえのない友達だわ・・


そして私たちは夕食も済ませ、テレビを観ながら(くつろ)いでいた。


「小春・・」

「なに・・?紬」

「ところで・・時雨王子は・・部屋に来ないでありんすか・・」

「え・・なによ、それ」

「いや・・別に・・」

「なんかね、お風呂に入りに来てって言っても、そんな軽はずみなことできるか!って言われちゃってね」

「ほぅ~~・・」

「私・・安易に誘っちゃったんだけど、時雨さん・・私の母に約束したからって言って。私を守るってね・・」

「まさしく王子!これぞ王子やな!」

「え・・」

「貧乏とか風呂がないとか、ボロアパートとか関係あらへんっ!これぞ本物の王子やっ!」

「そんなにはっきり言わなくても・・」

「いやっ!私、時雨王子、見直したわ」

「ほんとでありんすなぁ・・でも・・時雨王子・・辛いでありんしょな・・」

「え・・辛いってなによ・・」

「みなまで言わせるでありんすか・・」

「な・・なによ・・」

「まさに・・餌を目の前にして・・お預けを食らう犬のようでありんす・・」

「い・・犬って・・。んで・・餌って・・」

「例えは悪いでありんしたが、そういうことでありんすよ」

「そやな~。おっさんならともかく、十八やで!十八!そらもう・・鼻血出まくりやがな」

「あのね~~、時雨さんはそんな人じゃないの」

「バカをお言いでないよ・・」

「紬・・おかみさんになってるよ・・。ありんすはどうしたでありんすか・・」


ぎゃ・・私までつられちゃって・・なに言ってるんだろう・・


「小春は子供でありんすなぁ・・。時雨王子は耐えているでありんすよ」

「そ・・そんなことないって!」

「まあ・・こればっかりは・・成り行きに任せるしかないでありんしょ・・」

「成り行きって・・そんなこと絶対にあり得ない!」


まったくもう~~・・

まあ・・この類の話になるとは思ってたけど・・

時雨さんは絶対にそんな人じゃないのよ。


「小春はどうなんよ」

「え・・どうって・・」

「その気がないんか」

「その気って・・そんな・・ないって!」

「王子の胸に抱かれたいと思わないでありんすか」

「む・・胸って・・なに言ってるのよ」

「胸は胸でありんす」

「そ・・そんなっ・・ないって・・」

「もし・・王子が求めてきたらどうするでありんすか」

「も・・もっ・・求めてって・・なに言ってるのよ~~」

「求めては求めてでありんす」

「あのねっ!話が飛躍しすぎなのっ!」

「え・・ということは・・キスもまだでありんすか」

「えっ・・」


キスって・・紬はもう~~・・なに言ってるのよ~~!


「まだなん?」

「美琴まで~~」

「それくらい教えてぇな」

「そっ・・そんなことっ・・」

「私、料理教えたったやん~。give&takeやん?」

「それって・・こんな時に使う意味?」

「そやで」

「ったく・・まだよ・・」

「えっ!そうなん?」

「まだでありんしたか・・」

「別にいいじゃない!そんなことしなくったって・・時雨さんは時雨さんだもん・・」

「まあ、やるとしたらやっぱりこの部屋やな」

「やるって・・」

「そうそう。決行の場所はここでありんす」

「決行って・・もう・・二人とも・・」

「やったら言うんやで」

「え・・」

「私らの今後の参考にせなな」

「参考って・・」

「時雨王子と小春が・・あら~~・・意外と照れるでありんすな」

「変な想像しないで~~!」


というように・・話はもうそっち系に傾いてしまったけど、私は改めて、二人の存在に救われる思いがしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ