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三人王子と三匹の子ブタちゃん  作者: たらふく
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十四、深まる謎



ああ~~・・それにしても、とんでもない話を聞いてしまった・・

紬と美琴になんて話そう・・

美琴の喜ぶ顔が目に浮かぶようだわ・・


でもさ・・揃いも揃って・・いや、約一名例外もあるが、みんなイケメンでBLってあり得るの?

なんかどこかで・・ボタンの掛け違いとかしてない?

いや・・でもな・・

紫苑さんは、はっきり言ってたし・・

女装とか・・言ってたし・・


「小春~~」

「あ・・美琴・・紬・・」


私が教室で座っていると、美琴と紬が廊下で私を呼んだ。


「小春、今日はお弁当なん?」

「あ・・そうだけど・・」

「ほな、外で食べよ」

「うん、そうしょっか」


今朝のこと・・二人に話さなきゃね・・

そして私たちは、校庭のベンチに座ってお弁当を食べることにした。


「今日も、王子たちと会ったの?」

「うん。会うたで」

「それで・・どうなの・・?決定的瞬間・・」

「それでありんすが・・未だに未確認飛行物体でありすんよ・・」

「飛行物体って・・」

「そら、なかなか上手いこといかんわな~」


話した方がいいよね・・

でもなあ・・


「小春、どうしたん?」

「え・・いや、別に・・」

「あらら~・・変でありんすな・・なにかあったでありんすか」

「いや・・えっと・・その・・」

「なによ~~小春。言いさ」

「あのね・・王子たちのことなんだけど・・」

「なんでありんすか」

「やっぱり王子たち・・そっち系、確実みたいなのよ・・」

「えっ・・どういうことなん?」


そして私は、今朝、紫苑さんから聞いたことを話した。


「マジかーーー!翔王子もっっっ!?」

「え・・それで・・あの紫苑という人も、仲間でありんしたか・・」

「そうみたいなのよ・・」

「それにしても・・女装って・・これまた新発見やな・・」

「いや・・発見してないし・・」

「それを言うなら、新事実でありんしょ」

「そんな細かいことええがな。いやあ~~しかし、まいった!」

「それで・・時雨王子と紫苑さんが・・でありんしたか・・」

「意外やなあ・・。時雨王子と和樹王子やと思てたけどな」

「ということは・・和樹王子と翔王子・・ということでありんすな・・」

「いや、それはなんとも言えんで」

「どういうことでありんすか」

「四人全員で・・ということもあり得るで・・」

「そっ・・それは・・あまりにも節操がないでありんしょ・・」


やっぱり・・二人はこうなると思った・・

妄想を膨らませることは、わかってた・・


「でも、紫苑さんは役目を終えたと言ったのでありんしょ?」

「うん・・そう言ってた・・」

「ということは・・現在は三人王子でありんすな・・」

「やっぱりな・・。私は最初からそう思てたわ」


そこに、生徒会長の長谷部さんが目の前を通った。

あ・・そう言えば・・紫苑さんは親戚だって言ってたよね・・


「あの・・」


私は長谷部さんに声をかけた。


「え・・?僕・・?」


長谷部さんは、知らない女子に声をかけられ驚いていた。


「はい・・」

「こ・・小春・・いきなりどうしたん・・?」


美琴と紬も、驚いていた。


「うん・・ちょっとね・・」


「なにか用かな・・?」


長谷部さんと紫苑さんは親戚というだけあって、見た目も小柄で細くて、モヤシみたいなところが似ていた。


「E高校の紫苑さんって、知ってますか?」

「ああ~、慶太(けいた)のこと?」

「慶太って名前なんですね、紫苑さん」

「うん、そうだけど」

「今朝、電車で一緒になって、長谷部さんによろしくと言ってましたよ」

「ああ、そうなんだ。わざわざありがとう」

「親戚なんですよね」

「うん。いとこなんだ」

「そうなんですね・・」

「なあ、生徒会長」


美琴が話に入ってきた。


「なに?」

「紫苑さんって、どんな人なん?」

「どんなって・・どういう意味かな」

「いや・・ちょっと、なよなよしてるし・・女子っぽいなとか思って」


美琴・・また変なこと訊きそう・・


「見た目はそうかも知れないけど、あいつは女子どころか、男子の中でも男っぽい方だよ」

「へぇーそうなんや」

「何事もはっきりものを言うし、頭もよくて、親戚の間でも評判なんだよ」

「女装の趣味とか・・あるんちゃいますの・・」

「ええ~~あり得ないよ。絶対にあり得ない」


長谷部さんは、半ば呆れた風にそう言った。


「しかし・・その可能性も捨てきれないかも・・」


完全に否定した後、長谷部さんはそうも言った。


「どういうことですのん?」

「うん。慶太は猪突猛進っていうか・・目的達成のためなら手段を選ばない一面があってね。つまり・・女装してでも問題を解決する必要に迫られたことがあったとしたら、慶太なら迷わずそうすると思うよ」

「目的達成・・でありんすか・・」

「うん」

「そ・・それは・・女性役として相手を落とす・・という場合にも当てはまるでありんすか・・」

「女性役って、例えば?」

「え・・それを私の口から言えと言うでありんすか・・」

「私から言うわ!えっと、男子同士の恋愛のことやねん」

「えっ・・」


長谷部さんは、顔を引きつらせていた。


「つまりやな、紫苑さんは女性役として、えっと、その世界では「受け」というんやけど、受けをすることで恋愛を成就させようとしたんちゃうかな」

「それは・・いくらなんでも、あり得ないよ・・」

「なんでそう言えるん?」

「慶太は、恋愛なんかに全く興味がないやつなんだよ。っていうか・・極論を言えば、慶太は恋愛どころか友達すら作らないやつなんだよ。っていうか・・そういうことについて、慶太は時間の無駄だと考えるやつなんだよ」

「なんや、変な話やなあ」

「あの・・紫苑さん自身が・・女装したって言ってたんです・・」


私がそう言うと、長谷部さんは驚いていた。


「慶太の口からそう言ったということは、それは事実なんだろうな。しかしそれは、さっきも言ったように、何か問題を抱えていたのだと思うよ」

「え・・女装しなければ解決しない問題って・・なんでしょうか・・」

「それは僕にもわからないよ。だが、恋だの愛だのとは、絶対に違うよ。ましてや男同士なんて、あり得ないよ」

「そ・・そうですか・・」


そして長谷部さんはその場を立ち去った。


「どういうことなんやろな・・」

「うーん・・わからないでありんすな・・」

「でも、紫苑さんは違ったってことは確かよね」

「まあ、そうやなあ」

「でも役目って、なんだったのでありんしょか・・」

「でもね・・女装を時雨王子に笑われたって言ってたのよ。ということは、その「問題」とやらに、少なくとも時雨王子は関わっていたということよね」

「ふーむ。「問題」でありんすか・・」

「な。その問題とやら、確かめてみぃひん?」

「げっ・・美琴は、またそんなことを・・」

「せやかて「そっち」じゃないのに女装って、これ、ある意味、興味深い話やで」

「確かに、そうでありんすな・・」

「もう~~・・紬まで・・」

「紫苑さんに直接訊いてみよか?」

「ええ~~・・美琴、マジ・・?」

「うん、マジマジ」


それから私たちは放課後、E高校へ向かった。

それにしても・・「なんで女装したんですか」とか訊いて、答えてくれるのかな。

そこに時雨王子も関わってたんでしょ、なんて・・訊きにくいよ・・


私たちはやがて、E高校の校門のところまできた。


「王子たちに、見つからないようにしないと・・でありんすな・・」

「ほんまやな」

「なんかもう、私たち、目的が違ってきてない?」

「小春、どういうことでありんすか」

「だってさ、美琴も紬も、もう王子のことなんて好きじゃないんじゃないの?」

「私は、はっきり言うて、そうかな。いや、好きは好きやけど、BL男子として好きっていう方が近いかもな」

「やっぱり・・。紬はどうなの?」

「そりゃ・・好きでありんすが・・でも女子に興味がないのでは、どうにもできないでありんすし・・」

「やっぱりある程度、気持ちは薄れたってことよね」

「まあ・・そうでありんすかな・・」


まあ・・二人に気持ちがあまりないってことは、もうわかってたけど・・

私は・・やっぱり時雨王子のこと・・好きだな・・

だからこそ、知りたくないし・・見たくないし・・

でもやっぱり・・会いたいよ・・


「あっ、来たで」


美琴がそう言い、三人王子が歩いてきた。

きゃあ~~!時雨王子~~!久しぶりだわ~~・・

相変わらず素敵~~~!

やっぱり・・かっこいい・・


三人王子は私たちに気づくことなく、駅の方へ向かって行った。

それから五分ほど経って、紫苑さんが歩いてきた。

わあ~~・・きた・・


「紫苑さん」


美琴がそう声をかけた。


「あっ・・きみたち」


紫苑さんは驚いて私たちを見ていた。


「今朝はどうも・・」

「ああ。で、どうしたのだ」

「ちょっと紫苑さんに訊きたいことがあるんやけど」

「訊きたいこと?それはなんだ」

「あっちの公園に行かへん?」


美琴は近くにある公園を指してそう言った。


「別に構わないが、急を要する内容なのか」

「そうそう、急を要しますねん」


それから私たち四人は、公園で話をすることになった。

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