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三人王子と三匹の子ブタちゃん  作者: たらふく
13/94

十三、特別な関係



E高校前に着き、時雨王子と和樹王子は降りて行った。


さっきのは・・なに・・?

えええ~~・・あの二人って・・本当にそうだったんだ・・

和樹王子に彼女がいるって・・あれはやっぱりカムフラージュだったんだ・・


「小春・・?どうしたでありんすか」

「え・・」

「せっかく時雨王子と話ができたでありんすのに」

「いや・・あの・・」

「マジで、どうしたでありんすか」

「時雨王子と和樹王子・・手を繋いでたの・・」

「えっ・・本当でありんすか・・」

「やっぱり・・そうだったのよ・・」

「手を繋いで・・。しかも満員電車の中で・・。小春の言う通り、これは決定的でありんすな・・」


私たちが話をしていても、美琴は漫画を読むのに夢中になっていた。

やがて駅に到着し、私たちは下車して学校へ向かった。


「ああ~~おもろかった!」

「えっ・・美琴、もう読み終わったの?」

「そやで。次は何を買おうっかな~」

「美琴・・」

「なに?紬」

「時雨王子と和樹王子・・やはり、そうでありんしたよ・・」

「えっっ!それって、そういうことやんな?」

「そうでありんす・・」

「え、なになに?なんでわかったん?」

「小春が見たでありんすよ・・決定的瞬間を」

「えええ~~~!どういうことなん?」

「時雨王子と和樹王子が・・手を繋いでいたでありんす・・」

「げ~~~!マジかいな!小春っ!ほんまなん?」

「うん・・見ちゃったの・・」

「っんもう~~、なんで言うてくれへんかったんよ~!」

「いや・・美琴、本に夢中になってたし・・。で、私・・あまりにショックで・・」

「そっかあ~~!やっぱり私の勘は的中しとったな」


美琴・・めっちゃ大喜びしてるけど・・

私は複雑なのよっ!

だって・・これでもう・・私の恋は儚く散ったのよ・・


「もう・・時雨王子を諦めた方がいいよね・・私・・」

「そら~しゃあないわな」

「そうでありんすなぁ~・・こればっかりは、致し方がないでありんす・・」

「だよね・・」


はあ~~・・せっかく三次元のイケメン王子と出会えたと思ったのに・・

こんな最悪な結果になるとは・・

やっぱり神さまっていないのね・・


「小春・・」

「なに・・紬・・」

「明日からどうするでありんすか」

「どうするって・・」

「同じ電車に乗るでありんすか・・」

「それなのよねぇ・・」


例え時雨王子と話ができたとしても、「それ以上」は望めないもんなぁ・・

友達という選択肢もありっちゃあ・・ありだけど・・

でもそれじゃ・・空しいだけだもんなぁ・・


「私は同じ電車に乗るで」

「えっっ!美琴、なに言ってるの」

「せやかて、私、決定的瞬間、見てへんもん」

「え・・」

「見たいやんかいさ~~。リアルBLっちゅうやつ」

「それは・・そうでありんすな・・私も見たいでありんす・・」

「げ~~二人とも、なに言ってんのよ」

「小春はもう、見んでええやん」

「は・・?」

「見たくないやろし」

「そりゃそうだけど・・」

「でも電車で一緒になることくらい、かめへんやん」


はあ~~~・・この二人は・・まったく・・

完全にそっちへ行っちゃってるし・・


「私・・ヤダな・・」

「小春・・そんなに嫌でありんすか・・」

「だって~~!好きな人が目の前で男子と手を繋いでるとこなんて、見たくないもんっ!」

「・・・」

「私・・前の時間帯ので行く」

「あらら・・それでは淋しいでありんすよ・・」

「別にいいじゃない。学校で会えるんだし」

「そうでありんすか・・」

「小春。ほな悪いけど、私らはいつもので行くで」

「うん、わかった」


こうして私は、一人で通学することになった。



その後も美琴と紬は、王子たちと同じ電車に乗ってるけど、決定的瞬間をまだ見れないでいるらしい。

そりゃそうよ・・

いくらそういう仲だって、そうそう頻繁に人前で露骨なことするはずないよね。

私だって時雨王子に会いたいけど・・でも会ってどうなるのって話だし・・


私はそんなことをボ~ッと考えながら、朝の通学電車に乗っていると、なんと乗り過ごしてしまったのだ!

ぎゃあ~~~ここって、どこっっ?


「次は~K駅~K駅でございます」


車内アナウンスが流れた。

げ~~~K駅って、もう三つも乗り過ごしてるじゃない!

ひゃ~~これは・・遅刻は確実だ・・


そしてK駅に到着し、私は一旦下車し、向かいのホームで電車を待った。

早く引き返さなくちゃ~~


「おや・・きみは」


そこで私は誰かに声をかけられた。

見ると、あのモヤシ男子だった。

そう・・E高校の文化祭のカラオケ大会で、司会を務めていたあの男子だったのだ。


「あ・・」

「きみ、この駅から乗っているのか」

「いえ・・ちょっと乗り過ごしちゃって・・引き返すところなんです」

「そうか」

「えっと・・紫苑さん・・でしたよね」

「そうだが」

「紫苑さんはこの駅から・・?」

「そうだが。なにか?」

「いえ・・別に・・」

「そういえば、きみ。その後、時雨くんとはどうなってるんだ」


げ~~・・それを訊く・・?


「どうって・・別に、どうもなってません・・」

「そうか。あの告白は無意味だったのだな」

「無意味って・・」


なによ~~・・このモヤシ・・

無神経な人ねっ・・


「あの・・」


私は時雨王子と和樹王子のことを、訊いてみようと思った。


「なんだ」

「その・・時雨さんと東雲さんって・・どういう関係なんでしょうか・・」

「どういう意味だ」

「いや・・その・・お友達・・なのかなぁ~って・・あはは・・」

「そうだが、単なる友達ではないぞ」

「えっっ!!」


私は思わず大声を挙げた。


「なんだ、いきなり」

「いえ・・すみません・・」

「あの二人・・いや、朝桐(あさぎり)くんも含めたあの三人は特別な関係だ」

「朝桐って・・翔さんの苗字ですか・・?」

「そうだ」

「ええええ~~~~!!」

「きみっ!朝の通勤通学として利用する乗客の多さに気がつかないのか」

「え・・」

「そんな大声出して、はた迷惑だと言ってるのだ」

「あ・・はい・・」

「それと、ある意味、僕も特別な関係であった」

「・・・」


ちょ・・ちょっと・・

なんなんですかぁぁ~~~この展開!

よ・・四人っっっ!?


「関係であった・・って過去形ですよね・・。ってことは、今は違うんですか・・」

「そうだが」

「そ・・そうですか・・でも・・過去には関係があったのですよね・・」

「そうだが?それがなんだと言うのだ」

「マジ・・ですか・・」


げ~~~・・どう理解したらいいの・・?

えっと・・ペアとしては・・やっぱり時雨王子と和樹王子でしょ・・

ってことは・・翔王子と紫苑さん・・?

ぐはっ・・なんか・・気持ち悪くなってきた・・


「紫苑さんは・・やっぱり翔さんと・・」

「うーん。僕は時雨くんと行動を共にすることが多かったな」


げぇぇ~~~~!!し・・時雨王子とっっ!う・・嘘でしょ・・


「しかし、時雨くんは強引な面があってな。僕は何度も彼を制したよ」

「ひぃ~~~・・」

「なんだ」

「い・・いや・・ちょっと・・露骨っていうか・・」

「聞いてくれるか。彼は僕の女装姿を見て笑ったのだぞ。しかもすぐに僕の頭を触り「かわいい」とか言うのだ。失礼なやつだ」


いやああああ~~~~!もうやめて!

それ以上は聞きたくな~~~~い!


「しかし・・一時はどうなるかと思ったが、東雲くんもやっと落ち着いて、今では学園生活を謳歌しているぞ」

「え・・」

「僕には友達など必要ないが、彼らはいつもつるんでいる」

「ケンカでもしたのですか・・」

「ケンカ?誰が」

「いや・・紫苑さんが・・時雨さんたちと・・」

「バカな。僕は自分のすべき役目を終えただけだ」

「え・・」


なんか・・頭がおかしくなりそう・・

役目って・・それって・・女性としての役目を終えたってことよね・・

女装とか言ってたし・・ぐはあ・・


「電車が来たぞ」

「あ・・はい・・」


そして私たちは並んで座席に着いた。


「きみ、その制服はC高校だな」

「はい・・」

「生徒会長の長谷部(おさべ)くんに、よろしく伝えてくれ」

「え・・どういうことですか?」

「僕は彼と親戚なのでね」

「そ・・そうなんですか・・」


それからほどなくして、電車が駅に到着し、私は紫苑さんと別れた。

しかし・・衝撃的な話だったわ・・

まさか・・翔王子もそうだったなんて・・

これは・・美琴が聞いたら・・どうなるか・・

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