城着いた
「じゃあ城行くぞ。」
「はい!」
ロスマンと私は城へ向かうため家を出た。家の外は大勢の人で賑わう街だった。
さすがは首都と言うだけあって、明るいオシャレな店が多い。綺麗だなぁ~。
そして大通りをロスマンと通っていると
「お~い!ロスマンそれ彼女かぁ~!?」
「ロスマン、また出来たのか?」
「今回あの子かぁ~」
いろんな獣人や人間が話しかけてくる、けど皆さん違います、彼女じゃないです。
「あぁクソ·····裏行っときゃ良かった。」
ロスマンがボソッと呟いた。なら何故裏道を使わないんだよ。
「じゃ裏道行きましょうよ!」
「お前が行けるならな。」
「へっ?」
「仕方ねぇ、背中にのれ。」
ロスマンが背中に乗るように促してきた。とりあえず乗るしかないな。
「あっありがとうございます!」
「じゃあ行くぞ!」
「イヤアアアアアァァァ······」
ロスマンは私を背負って飛んだ、そして屋根から屋根へ飛び移っていく。
ロスマンは結構デブ....太い体型なのだがかなり素早く動く。
「おい!大丈夫か!」
「えぇ!普通に!」
全然大丈夫じゃないけどね。着地の衝撃がモロに伝わるから私はもう振り落とされそうだ。
こうして必死にしがみついているうちにロスマンの目的地に着いた。
「ここがお前が働く職場だ。」
「は!?ここ!?」
さっきまでの激しい移動でフラフラな私の目の前には廃墟としか言い様のない大きな石造りの建造物があった。
「お、ロスマン来たか~、あれ?後ろの子は?」
「あぁ、コイツは昨日拾った子でな。今後ここで働くつもりだ。あとで全員に紹介する。」
「へぇ~、よろしくな!」
門番とおぼしき茶色の馬獣人が私の頭を撫でてきた。
「よっ、よろしくお願いしますっ!」
「じゃあ後は頼む。」
ロスマンは城の内部に入っていった。
こうして現在、私と門番の二人きりです。
「あ、名前教えて無かった。僕はステファン。君は?」
「サナエです、これからお世話になります。」
「アハハ、よろしくね~。君が働くのは城の中だと思うからあんまり関われないけど。」
「ステファンさんだけが門番なんですか?」
「あ~うん。今はね、ここ数年の間でどんどん城で働く人が減っていっててね。それで今は僕一人なんだ~」
「へぇ~何ででしょうね?」
「さぁね~、こんな綺麗な所なのに~」
そう言いながらステファンはとても満足そうな顔して辺りを見回した。
「ですよね~!!」
そうは言ったものの、どこが綺麗なんだ?門は傾いてるし、近くの木造の小屋は木が腐って崩れかかっている。肝心の城は····一部が崩れて無くなっているし、森の中にあるから、周りの木々に城が覆われかけている。
「素直に言ったほうが良いよ?少なくとも君の本心は違うんじゃない?」
何故バレた。
「いやいや、本心ですよ~!」
「そうかな~···」
「お~いサナエ~、随分仲良さそうだな。すまんが、仕事だ。」
ロスマンが城から出てきて私を呼んだ。
はーい、と私は返事をしてロスマンの元へ向かう。
「じゃあ仕事の説明な。今からサナエには物を運んでもらうんだが、そこに木材が大量にある。」
と、ロスマンは崩れかけた小屋を指さして言った。
「それでその木材は薪として使うから、サナエはその木材を割って城の裏口に置いてきてくれ。分かったか?」
「はい。」
「じゃあ初仕事だからな、頑張れよ。」
そう言ってロスマンは私の背中を優しく叩いた。