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第1話





俺が、ミオを守り脱出してみせると決意した日から一年はたとうとしていた


当初、暴動の起きていた始まりの木も、今では穏やかな様相を見せている


この半年間そうなるまでに色々と起こった


それが今では大まかに分ければ四通りの人々に別れ動いている


一つ目は、組織を作り上げ暴動を起こした人々を纏め上げて救出を待とうという比較的規模は大きく・・・しかし、消極的な組織(本拠地は始まりの木のすぐ南辺りにある街ゴルトパスという街)


二つ目は、これもまた組織を作り上げPK・強盗を取り締まり攻略なども行うという自警団も兼任した組織。だが、彼らは自警団と言うよりは自分達こそが護ってやっていると幅を利かせており余りいい噂は聞いていない(始まりの街より西側にある中堅Lvの多い街アルビスが本拠地だ)


三つ目は、独自にクエスト攻略を目指し小・中規模なパーティーやギルド(と呼ばれている)を作り出し動く人。ちなみに俺とミオは一応これに当たる(始まりの木東のアブニュートより更に東の街ブレンストに多くいる)


四つ目は、PKや強盗を行い自分の私利私欲を満足させる人たち。PKを行えば赤の犯罪者シグナルがつくためPKは殆どないようだが強盗を行っているものは結構多いようだ(それでも決闘以外でダメージを与えるためオレンジの犯罪者シグナルがつく)


今ではそれらに分かれて日々生活を行っているがここに至るまでに7万はいたプレイヤー達は今では4万前後へとその数を減らしていた


さて、今俺達は前述のとおり攻略最前線と呼ばれてる街ブレンストを中心に活動している


この町には最上位の武器と防具を作り出すための必須素材が売られており独自攻略を行う者とそれらの武器防具を創り出す者達でにぎわっている。(自警団組織は大人数で動く事が多いためLvがここまで追いついてない者が圧倒的に多い)


俺とミオも相談した結果クエストや討伐をこなしクリア条件を探し出すという方針で決まった為ここにいることが多い


現在、俺達はバーラック遺跡で金稼ぎのためのクエストをこなしている


「ミオ!」


俺の剣をよけたガーゴイルがミオにせまるがその前にすでにミオの触媒魔法は完成していた


「サンダーソード!!」


サンダーソードを喰らったガーゴイルは見る間にHPを減らし消滅する


今俺達の行ってるクエストはガーゴイルのくちばしを30個集めるというもの。このガーゴイルは集団で現れるものが多く、それでいてブレンストでうけることができ報酬が高めの連続可能クエとして攻略組みの中では結構人気の高いクエストだ


「これで全部かな?」


「そうだな、じゃあ帰るとしますか」


俺とミオは帰還用の巻物を取り出しテレポートをしてブレンストへと帰っていった








ブレンストに着いた後報酬を貰った俺達は酒場で軽く食事をしながらこの後をどう過ごそうか相談していた(五感の一部は再現されておりこういった本来ならば無駄なことでも味覚があるため自身を満足させることは出来る)


「お、ユウヤとミオじゃねぇか!」


「よう、久しぶり」「こんにちはー」


背中にでかい斧槍を背負った俺達の知り合いが声をかけて来た


当然、ここに留まっていれば攻略組みや職人の知り合いは増える


今声をかけてきた彼も攻略組みの一人だ


「そうだ、お前ら聞いたか?」


「「なにを(だ)?」」


「今度、自警団がユーリットでホワイトドラゴンの討伐をするらしい」


「あんな化け物を・・・本気か?」


ミオは驚きで声を失っていた


「どうやら、本気らしいぜ。ユーリットまで偵察に来ているところを見た奴がいるようだ」


「・・・」


今度こそ俺も声を失う、ユーリットはここから少し離れた所にある雪原でそこに現れるクエストボス・ホワイトドラゴンはフルメンバーでのPT討伐推奨Lv95のドラゴン系なのだが実際の所Lv110はないと全滅必死のとんでもない化け物だ(クエストボス戦では専用フィールドで戦う事になるので最大PT数の18以上は入れない)

HP・攻撃力も相当に高く攻略組みの俺達もいまだに倒すことができずに手間取っている。


自警団の平均Lvは約90らしいしおそらくではあるが、100を超えているものは少ないと思われる。正直、正気かと疑ってしまう

ちなみに、攻略組みの平均は120台と言われている、俺とミオは共に130を少し越えたあたりにいる(発売前のサイト情報では最大Lvは180らしい)


「カイス、お前はどうするつもりだ?」


「俺はとりあえず静観ってところだな。下手に関わって恨まれるのはごめんだ」


「だな、ミオ」


ずっと黙って少しばかり沈んでいるミオに声をかける


「私は・・・出来れば助けたいよ」


「そっか、じゃあ情報を少しばかり集めようか」


「うん」


少し沈んでいたミオの顔がぱっと笑顔になって返事をする


「お、おい、マジかよ」


「ん、ミオがそう言うなら俺はそう動く」


ミオの気持ちを俺は最優先で動いてやりたいと思う。守るってことはその心も守ってやるってことだと思うから


「はぁ、相変わらずだなユウヤ」


「そういう自分を俺は、それなりに気に入っているからな」


「ユウヤも、優しい人だから」


そんなことをはにかみながら言う小柄なミオの頭を照れ隠しに撫でる。どうもあの日以来なにかとミオの頭を撫でるのがくせになっているらしい


「ま、情報ききたきゃ虎さんとこにいけ。俺はこれからバーラック遺跡だからよ」


「わかった、ありがとうなカイス」


「おう」


「またね」


情報収集は早い方がいい。早速移動を開始した


ブレントスの店にはプレイヤーの開いた店が圧倒的に多い、このCAOは店や家を買い取って自分の手で店を開くことができる。バザーも開けるのだが店を持つことで名前の宣伝を行うことができるようになるため店を持つと言うことは非常に重要だったりする。特に職人達はそうやって素材やレシピ、アイテムや武器防具、食事などの買取や売り上げが一気に変わるため必死だ。錬金で全てを作り出せるこのCAOならではのシステムの一つだと言えるだろう。


攻略組みなどは店はないが変わりにアトリエを持ったりまったくそういうことをしていなかったりすることが多く店に世話になる者が多いため職人との交流は必要不可欠だ


そんなブレンストの片隅に情報とレシピを取り扱った珍しい店がある


この店の主人は元攻略組みの一人だったのだがある事件をきっかけに店を持ち自身の持っているMAPデータやレシピ、噂や探し物などの情報を提供しはじめそれがいつの間にか商売として成立した職人の中では一風変わった人物である


「虎さん、いる?」


「はいはい、いますよっと」


虎と呼ばれてるためよく男であると思われがちだがこの店の主人、虎さん(正式プレイヤーネーム虎ノ子)は女性だったりする


「ありゃ、ユウ坊にミオちゃんじゃん。どったのさ」


「自警団がホワイトドラゴンに挑戦するって聞いてな。情報求めにきたってところ」


「はっはーん、さてはミオちゃんに頼まれたな」


結構付き合いが長いせいかあっさりと見抜かれた。けど俺は気にしない


「そ、そそれで、あるのか?」


訂正、結構気にしてたかもしんない


「はは、まぁっあんた達ならどっかで聞けば来ると思ってたしね。きっちり集めといたよ」


どうやら行動すら読まれていたらしい。さすがCAO1の情報通である


その情報を情報料を早速払って教えてもらった


スニーキングやインビジマントを装備した人達からも情報を買い取っていたいたらしく、その情報は多岐に渡っていて結構細部にわたって書かれた情報紙面(聞いたことや保存しときたいクエストのNPC言動などを保存するアイテム)だった


簡単に要訳すれば決行は日時は明日の早朝であるということがわかった


「明日って・・・もうそんなに時間ないよユウヤ」


「ああ、これは思ったよりもまずいな」


クエストボスフィールドはその特殊性ゆえに一回誰かが倒してしまえばそれ以降現れる事はないたった一度だけの本当の意味でのボスなのである(特典はなくこれをクリアすることによってワールド全体に新たなクエストが現れるキーのようなもの)


「今から人を集めて挑戦するにしても準備も時間も取れない・・・見てるしかできないのか?」


ミオの為にも何とかしてやりたいと思うが


「ふふ、心配はいらないよ」


「え?どうしてですか?」


ミオは不適に笑う虎さんをみて小首をかしげる


「あんたらと同じような奴が何人かいてね。すでに人を集めてる奴がいたのさ」


「なに?」


「今、そいつに連絡してやる。少し待ってな」


虎さんはそう言って奥の方へ一度引っ込み俺達は少しばかり待つこととなった


「まさか、ミオと同じような考えの奴がいたとはなぁ」


「それ、どういう意味よ」


思わず呟いてしまった一言にしまったと思うがときすでに遅し。ミオさんは大層ごりっぷくなようでぷいっとそっぽを向いてしまった


「ごめんごめん、俺が悪かった」


そういいながら俺はミオの頭を撫でてやりながら宥める


「もう、ユウヤはしょうがないなぁ」


何とか機嫌を治して貰ったその時虎さんは戻ってきた


「ほい、この場所に2時間後集合して欲しいってさ。どうも思ったよりメンバーが集まっていなかったみたいでね。凄い喜んでたよ」


「わかった、助かったよ」


「ありがとうございました」


「ああ、あんたらも気をつけなよ」


その言葉に頷き情報屋『虎』を出る


「さて、ちゃっちゃと準備するとしよう」


「うん、急がなきゃいけないね」


俺とミオは頷き一気にブレンストの街を走りぬけることとなった



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