プロローグ 転生地獄 フラグ立てとこ。
(こんな自己満足作品を読んでくださるかたがいるかどうか不思議ですが)
拙いですがどうぞ……。
「じゃ、君達には異世界に転生してもらうからソコんとこ宜しく!!」
「「「は??」」」
やっぱこういうことは突然にして起こることで、そして当たり前のように起こることなんだろう。
突然校内に響いたその声を聞いて固まるクラスメイトの中、俺はそんなどうでも良さげなことを考えていた。
俺、御影海人、17歳、童貞。
親は、小学生の時に二人とも死んだ。今は親戚のおばさんのところに厄介になっている。兄弟が居るわけでもない。
友達は、いない。欲しいっちゃ欲しいんだが、如何せん地味な上に近寄りがたい雰囲気らしく(どゆことや)、誰も近寄ってこない。女子には逃げられ、男子には睨まれる。どう友達を作れと?
と、今の俺の状況をざっと説明してみたが……わかるだろ? この世界に未練なんてないのさ!!
「ふっふっふ~大分困惑してるみたいだねぇ~いいよいいよ、もっとボクを楽しませて」
しかしこの声の主…………大分気持ち悪いな。
周りを見てみると、クラスメイトのほぼ全員が目を丸くして固まっている。その「ほぼ」に含まれないのはどうやら俺だけのようだ。
「ボクは君たちで言うところの神というやつさ! この世界は人が増えすぎなんだ。でもまぁこの前やったように世界対戦引き起こすのもあれだからってことで、転生、って方向に落ち着きました! はいはくしゅ~!」
「コイツすげーめんどくせー! かまってちゃんかよ!?」
思わず叫んでしまったが、数人こちらを見やるだけで何も起こらなかった。神とやらを怒らせてみようかなー、なんて考えたんだが。
因みに今校内には俺らのクラスしかいない。もうとっくに下校時刻は過ぎている。何故か。うちの担任教師が糞だからである。俺らのクラスは全員が部活に所属しているわけだが、それの大抵が運動部だ。必然と帰るのは遅くなるが、それに加えて担任のどうでもいい運動講義が始まる。担任は体育科も担当している、からかもしれんがどうでもいい。因みに俺はバスケ部。
「何か今聞こえたような……まぁいいよ、世界を渡る存在は得てして特殊な力を得るんだけど、君達の得るものを少しだけ強力にしておいたよ。後は運次第さ。一応同じ異世界に送るつもりだから。ああ、後言い忘れてたね、異世界ってのは剣と魔法の~ってやつだよー。じゃそゆことだから。1分後に転生を開始するから心の準備は今のうちに。ではでは~♪」
え?1分?早いな、結構。
「お、おいまじかよ、い、異世界だぁぁああああああああああああッ!!」
「やったああああああああああッ!!」
うおっ!?
急に一部の男子生徒が騒ぎ始めた。びっくりしたわぁ……。ていうかまだ本当にそうなるとは決まってないだろ。只の悪戯って可能性も……
と、暫くして教室の床が鈍い光を放ち始めた。その光は奇妙な紋様の形をとっている。驚いた。悪戯説滅消。魔方陣ってやつかな?
そして、生徒達が段々と消えていく。速いなおい。と、目の前が急に暗転する。目は開けているのに何も見えない。奇妙な感覚だ。俺も消えた、ということなのだろうか。
ん~、それにしても異世界か。まさかこんなことになるとは…………まぁ、自分でも驚くほど冷静なわけだが。ふむ。世界を渡る存在は得てして特殊な力を得る、ねぇ………。何か願いも影響したりしないだろうか。はっ!そうだ。死にたくない、うん、これだ。俺は死にたくない。いいね。この願いが影響したりとか、ないかな~頼む?
どうでもいいことを考えていると、不意にごわごわした、粗悪な布に包まれているような感覚に包まれた。何だ?いつの間にか閉じていた目を開いた。
すると……
「お、おおおおおお!!う、うまれた!生まれたぞおおおお!!」
何やら叫ぶむさくるしそーなおっさん。
でかい。いや、俺が小さいのか。おっさんに抱き抱えられている。
どうやら本当に転生した模様。
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と、まぁそんなわけで俺は転生し、ぬくぬくと村人の両親のもと育ったわけですよ。
いや、チートは期待しましたよ、そりゃ。でも神の言ってたような特殊な力なんて現れなかったし、魔法も特別凄いというわけでもなく、小さい頃からやって村人からすると凄い中級魔法が使える、という程度。何を期待しろと??
結局こっちでもショボいな、俺。等と日々を過ごしていたある日。
出会ってしまった。
熊に。といっても角生えてるし目ぇ赤いし体毛めっちゃ尖ってるし。
いわゆる魔物、ってやつ。
ちょーーびびった。
いや、ていうか全身から血の気が引いていくのをはっきりと感じたね。
わかる?只山で山菜採ってただけなのに気付いたら熊さんたってんだぜ?びびらん方が無理な話だろうがよ。
魔法で必死に応戦したけどな、かなり強くて、腕食いちぎられた。気分最悪だったぜ。当時14歳。前世より生きてないのに死ねるか!って全力で逃げ回ったんだが…………世界は俺に厳しかった模様。呆気なくゴキャッ、と熊パンチ貰いました。
はい、しゅーりょー。
と、思っていた頃が、私にもありました。
再び感じた何かに包まれるような感覚。それも、以前のそれとは比にならない、ふわふわとした極上の触り心地だ。そう。
いつの間にか閉じていた目を開く。
「おお!無事に生まれたようだ、よかった、よかった……!」
デジャヴっ!
俺は二度目の転生を果たした。
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二度目は王族の家に生まれた。
そして、大量の書物を読むうちにわかってきた。この世界は、前の世界とは違う。
そして、この世界にはステータスなるものがあった。そして、そこにはあったのだ。謎を握る鍵が。
『永続転生』
死んだ際別の世界に転生する。全ての能力、技術もそのまま引き継ぐ。但し前世の記憶が曖昧になる。
常時発動。封印不可。
事実、俺は一回目の世界で覚えた中級魔法を使えたのだ。
すげえ………俺、もんのすごいチートじゃね??
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だが、何十回と転生を続けていて思った。
自分は死なない(?)が、回りの人間は死んでいく。つまり………
辛い。精神的に。
何十回と、親の死を経験し、友の死を経験し………もう、俺は疲れていた。
そして、決意する。よし、死のう!
が、時すでに遅し。
もう俺は死ねないぐらい、強くなりすぎたのだ。
俺は俺を殺してくれるような強者の存在を願いつつ転生するようになった。
そして、そんなやつなんていない、とそうわかったとき、俺は考えることを放棄した。もぅいいや、と。
転生する度に徒に強くなっていく。
始め嬉しかったあの能力が呪いに思えてしかたがなかった。
もう、死ねないなら仕方がない。
俺は、何度目になるかわからない天寿を全うした。
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目を開く。この感覚にももう慣れっこだ。
俺を抱き上げたのは父となる男ではなく、女性だった。恰幅がよく、元気そうなおばさん、という印象が強い。
その女性が泣いているのである。初めは嬉し泣きかと思ったが、直ぐに気付いた。
俺の母親は、死んだのか。
暫くしてから、寝かせられた俺を幾人かの人々が囲んだ。名前決めの談義であるようだ。だが、それは決めさせない。
俺は不自由な口を懸命に動かして言った。
「カイ…ト」
この世界で死ぬ。
フラグになってくれよ、とやけくそ紛れにやったことだった。
こうして俺、カイト=マクスウェルはこの世に生を受けたのだ。
ってか名前が苗字に競り負けてんじゃねぇかッ!
更新は亀速度になるとおもいますがそれでも読んでくださるという方はよろしくおねがいしますです。