◇super短編story◆*嘘つき*
大好きだった人に
大嫌いだと言われた。
約束をしたのに、その約束は…何処かへ消えてしまった。
駅のホームの雑踏で
千切れそうな心を抱えて
夕闇に染まりそうな空を見上げて
私は、私を責める。
どうして?もっと可愛い女の子になれないの?
鞄に入れてある
水玉の折りたたみ傘を片手に持って
小雨の降る帰り道を
1人とぼとぼ歩き出す
湿った空気に湿っぽい女の私
閉店した店のショーウィンドウに映る
プリンセスになれなかった私…
道端の
段ボールに捨てられた真っ白な子猫
雨に濡れて あなたも悲しそうね?
こんな時は、何か温かい飲み物でも飲もうかな?
でも、今は
ほろ苦いコーヒーより
甘いチョコレートなんかが食べたい
どうせ、独り身なんだから
少しくらい太ろうと、誰も気にしやしないでしょうし。
いっそ1人でホールケーキでも食べようか?フハハ…。
「んー。お金、いくらあったかな…?」
鞄に入れた私の手が財布を探す
カシャ…
手の先に触れたのは
かつて好きだった人がくれたお揃いのキーホルダー
「…………………………。」
ーああ、神様ー
人生はなんて
時にこのような切なさを
一体全体どうして用意しているのです?
ヒロイン役は
いつになれば出来るのです?
ーああ、神様ー
今はもう…
叶うことの無い
あの誓いを…
「ずっと一緒にいよう」
ーああ、どうかー
思い出せないで……
「うっ。」
そして、泣きべそ鼻垂れのまま
水玉の傘をさして歩きました。
1人とぼとぼ帰り道を
「嘘つき、嘘つき…」
そう私が呟いた声など
誰も知らないでしょう
ーいつか、また
誰かを好きになれる日はくるのかな?ー




