Nightmare「1」
悪魔の吐息
人は、知らない間に…それを気にする
人は、知らない間に…それを手にする
人は、知らない間に…それを目にする
人は、知らない間に…それを調べる
人は、知らない間に…それだけを考える
人間は単調な事に、依存してしまうのかもしれない…。
何気ない現象が続いている
何気ない物音が同じ時間に鳴ると四日連続同じ時間に雨が降る
何気ない事に奇妙なほど気になる事がある。
パソコンの画面を眺めながら
文字を並べるように打ち込んでいく
売れない小説家やの卵であって、ルポライターをしていた。
知り合いが心霊もののサイトの管理人をしていて心霊探索コーナーみたいなものがあって
そのコーナーの記事を書くアルバイトをしていた。
俺は、サイトの管理人の友人に頼まれて
ネットとかの噂の心霊スポットや心霊話や都市伝説の奇妙な噂などを噂の場所の現地に向かい色々な取材などをしていた。
少し雨が激しくなっていくと雷の音が鳴り響く
空を窓越しから見つめながら
一本の煙草に火をつけて軽く息を飲み込み
煙草の煙を吐き出した。
昭和の時代から現代の時代まで、この心霊っというものは、固定パターンのような話題ばかりのような気がしていた。
このアルバイトをして6ヶ月ぐらいになるだろうか?
最初は、単調な文章とありきたりな情報と取材写真を掲載するだけだったが…。
だんだんと謎を追い求める文章になっていくと知らず知らず…読者から応援メールやファンクラブなどができてきた頃から
最初は、単調なありきたりな心霊話の記事だったものが、少しミステリー推理小説のような記事みたいになってから読者は、面白いと思ってくれたようだった。
俺は、今朝ファックスされた数枚の紙を見ながら新しい記事の依頼と取材場所が書かれていた。
煙草を灰皿に押し潰すように火を消すとパソコンの画面を見つめながら
文字を入力していく何気ない言葉と表現力で読み手に解りやすく物事を解説しながら
外は、夕暮れになっていくと激しく降っていた雨は止み
薄暗い黒い雲のきれまから神秘的な夕焼けの光の空が広がっていくの眺めていた。
PM20:00
昼間の商店街と繁華街とは違う雰囲気の中を歩いていると若者達が集まってダンスをしていたり商店街の閉まったシャッターの前で弾き語りで唄う者や様々な目的の人達がさ迷うように歩いている人波に流されるように見つめる人を人間観察をするように歩いていた。
昔までは、流行りのドラマやアニメや映画の登場人物の口調や台詞を語るのが多かったのだけど、今の時代では言葉数が少ないというべきだろうか?言葉数が少ない若者が多いような気がしていた。
少し細い道に入りながら
店の看板の灯りを見つめると「アリス」っと書かれていた。
昭和の時代から続くbarで、内装はレンガ造りになっていた。
まるで、ワイン蔵のような店内は、少しレトロの雰囲気で好きだった。
少し年配の男性がワイングラスを磨きながら
店の扉を開けた俺を見ながら無言のまま微笑みながら椅子に手を差しの伸ばす
俺は、軽くマスターに会釈するとマスターが手を差し伸ばし先にある椅子に座ると
「今日は、いつもより早い時間に来たね。何かあったのかい?」
「特に何もないですよ。何か独り部屋に居るのも嫌だから飲みに来たんですよ。」
「雨の続く日は、心が寂しくなるからね…。」
マスターは、ワイングラスを俺の目の前に置き
ワインをワイングラスに注ぐ
「今日は、特別な日でね。サービス独り飲むのも寂しいから付き合ってくれるかい?」
「ええ、いいですよ。特別な日ってなんなんですか?」
「僕の亡くなった妻の命日なんだよ。7月15日のこの時間に亡くなったんだよ。」
「そうなんですか…」
暫く俺は、マスターと会話をしながら人気のない店内に飾られた風景画を見つめていた。
店内に飾られた風景画は、マスターが描いた油絵だという
薄暗い店内の照明に照された風景画は、不思議なほど鮮やかな色合いが見る者の心掴むように本当に美しい風景画だった。
この店に初めて訪れた時は、何気なく歩いていただけだった。
あの頃は、今の自分と違い少し人生放棄になっていたのかもしれない
そんな時に、ここのマスターと話すうちに少しずつ病んだ心が癒えて
立ち止まったままの運命を動かす事ができたのかもしれない…。
そんな出来事があってから
いつしか、心が疲れたり 心が迷ったり 何かの大切な決断をする時には、この店に訪れてマスターと暫く話す習慣がついたのかもしれない
何気ないそんな会話ができる場所なんて
今の時代少ないのかもしれない
人と人が会話する事はあるのだけど
心から話ができる相手は少ないと思う
人は、知らず知らず傷つく事や裏切られる事に恐れて心から会話をしないのかもしれない
俺自身、そんな事が昔にあった…心から会話する事なく生きていく事は、ある意味寂しい事かもしれない。