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鍾繇一族  作者: 涼風隼人


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第38回 鍾毓、法の改正に着手する

 太傅の司馬懿がとうとう第一線を退いた。

 

 その後を担うのは、長男の司馬師である。

 

 中護軍から衛将軍に昇進し、軍権の全てを握った。

 

 その最中、鍾毓は法の改正に着手した。

 

 まずは、「誹謗罪」の改正である。

 

 この頃は、政争が凄まじく、政敵を陥れるための誹謗中傷や、言論の統制というのが厳しく行われていた。

 

 統制の厳しさから、「諫言」さえも「誹謗」と扱われる恐れがあり、その当たりの明確な線引きを鍾毓は行おうとしたのである。結果として、明らかな虚偽の流布を目的としたものを誹謗と定義し、これによって、ある程度の言論の自由が確保された。

 

 この時代にこういったことに着目して、実際に法改正を為したところは、さすがと言えよう。

 

 そして、もう一つ取り組んだ法改正が「婚姻制度改革」である。これは、庶民の婚姻には関係ない話なのであるが、魏では「侯」に報じられた者が、その地位に見合う新しい妻を迎えるために離縁する、という慣習があった。

 

 この慣習は、人倫に悖る者であり、直ちに是正すべき、としてこの慣習を禁じたのである。

 

 儒学的に見ても妥当であり、この改正は鍾毓の名を高めた。

 

 鍾毓が法改正に邁進している間も、当然に時代は動いている。

 

 まず、司馬懿がとうとう亡くなった。享年、七四歳。

 

 既に司馬懿の生前から、権力の集中化を目指して動いていた司馬師は、衛将軍から、撫軍大将軍と進み、最終的には大将軍に昇りつめたのである。そして、曹芳は、完全に傀儡となったのである。

 

 司馬師との距離が近くなっていた鍾会は、本格的に軍政に関与し、その流れで政治全般にも関わる様になり、若き俊才の名をほしいままにしていた。


 この間、鍾毓と鍾会のやり取りはほとんどなく、お互い、自分の見定めた道を進んでいったのである。

 

 そして、一つの事件が起きるのである。

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