表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鍾繇一族  作者: 涼風隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/48

第33回 鍾毓、鍾会の冠礼の儀を執り行う

 鍾毓は、かつて「神童」と呼ばれていた。

 

 しかし、更なる「神童」が身近にいることに気付いた。

 大きく年の離れた弟、鍾会である。

 

 鍾会は今年、一五歳となった。

 まずは五歳の時、ある人物に「この子は大物になる」と言われた。父の鍾繇より早く、評価を受けたことになる。

 

 そして幼年期より、「孝経」、「論語」、「詩経」にはじまり、「尚書」、「易」、「春秋左氏伝」、更には「国語」、「礼記」、「周礼」と学び、父の書である「易書」も暗唱できるほどに学んだのである。

 

 その学識たるや、まさに神童そのものであった。

 

 鍾毓は自分の少年時代を思い出し、過去の自分は鍾会の足元にも及ばない、と思った。そこで鍾毓は、鍾会を太学に入れて、更なる学びの環境を整えたのである。

 

 しかし、太学でも学ぶことが無いと言えるほどの俊才ぶりを発揮し、一六歳にして「秘書郎」に登用をされることが決まったのである。

 

 官途に就いたのは、鍾毓は一四歳と鍾会より早かったわけだが、ここまでの学識は持ち合わせていなかった。

 

 鍾毓は、秘書郎に登用される前に、鍾会のために冠礼の儀を行った。

 

 洛陽周辺の名士はこぞって参加し、この将来有望な俊才を一目見ようと、集まったのである。

 

 鍾毓の字である稚叔は、父の鍾繇が決めたが、鍾毓は鍾会には自分で字を決め、それを冠礼の儀で発表するように伝えた。

 

 まだ、少年と青年のはざまとも言える鍾会は、字を決めることに大いに悩んだ。そして一つの結論を出したのだ。

 

 そして、字を発表する段になった。鍾毓は言う。

 

 「会よ。皆様のまえで、お前の決めた字を披露しなさい。」

 

 「はい。私の字は、“士季”と致しました。」

 

 「その理由も、お伝えしなさい。」

 

 「はい。父がつけてくれた“会”という名でございますが、私が歴史上、最も尊敬する人物と同じ名であります。」

 

 「会・・・。士会、かな。」

 

 「はい。その士会の字が“季”でございますので、士と季を繋げて士季としました。」

 

 周りの名士たちはざわついた。

 

 士会は、春秋時代一番の大国の「晋」で活躍した、政治、軍事の天才と言って差し支えない人物である。しかし、最終的に戻ったとはいえ、当時敵国であった「秦」に一時亡命し、母国の「晋」を撃破していることから、能力的評価は問題なくとも、忠義の部分で嫌気を感じる人もそれなりにいた。


 鍾毓は、事前に確認をしなかったことを少し後悔した。


 聞きようによっては、かなり野心的な字である。

 

 しかし、この場で発表した以上、もう後戻りはできない。


 幸い、「さすがは神童らしい字の付け方だ」と周りの人々は言い出したので、鍾毓はこれ以上、何も言うまいと決めたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ