第31回 鍾毓、宮廷の増築を止める
魏の都は、文帝の時に洛陽に移された。
漢の都と言えば洛陽であり、その後を継ぐ正当性からも、洛陽にする意味があったのであろう。
しかし、洛陽を都に定めたからと言って、文帝は派手な宮廷の増築などは行わなかった。
明帝はどうか。
今の洛陽は都にふさわしくない、と判断をし、宮廷の増築を行うことを決定したのである。それを諫めたのが鍾毓であった。鍾毓は言う。
「陛下、今はまだ華美な宮廷の増築を行う段階ではなく、民の生活の安定を図るべきで、宮廷増築の費用を関内の荒れ地の開墾に回すべきと思慮致します。」
「稚叔よ。私も別に無駄に華美な宮廷を作るつもりはないぞ。ただ、この洛陽が帝都というのは、今後、外国の使者などを迎えたときにも恥ずかしかろう。」
「おっしゃることはごもっともです。しかし、私の聞いた話では、このまま宮廷の増築を続ければ、国庫の金が全て無くなるとのことです。せめて、一部でも計画を縮小するなどのご配慮をお願い申し上げます・・・。」
「わかった。全面的に止めるわけにはいかないが、これから始める一部増築については中止を検討し、そして、稚叔の言う通り、関内に捨て置かれている荒地の開墾費用に回すことにしよう。」
この諫言の功により、鍾毓は「散騎常侍」となり、正真正銘、明帝の側近として取り立てられたのである。




