第27回 鍾繇、太傅に任ぜられる
鍾繇は文帝に呼ばれた。
「元常、私はまだ正式に太子を立てていないが、そなたには太傅になって、我が子の教導を頼みたい。」
「私が太傅、でございますか。」
「ああ。そなたは、礼は当然として、法にも、そして書にも通じておる。この様な者は、魏が広いといえども、私はお前しかいないと思っている。お願いできようか。」
「わかりました。誠心誠意、つとめさせて頂きます。」
曹丕が鍾繇に教育を頼んだのは「曹叡」であった。
この話が曹叡のところにいったのであろう、曹叡が鍾繇のところに挨拶に来た。曹叡は拝礼する。
「元常様。この度、太傅として私をご教導いただけるとのこと、父より聞きました。何卒、よろしくお願い申し上げます。」
「曹叡様。ご丁寧なごあいさつ、ありがとうございます。私に何が出来るかわかりませんが、精一杯、つとめさせて頂きます。」
曹叡はこのとき一九歳で、正式な太子に立てられるかどうかの、非常に大事な時期であった。鍾繇もそれはわかっており、まずは父である曹丕に子として孝を尽くすことと、大きな失敗をしない様に慎重に暮らすようにと指導した。
曹叡は鍾繇の言いつけをしっかり守り通した結果、後に正式に太子に立てられることになるのである。




