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第26回 鍾繇、書の才能を発揮する
若い時より、「文字が美しい」などと褒められることは多くあった。それが嬉しく、一時、文字の練習ばかりをしていた時期もある。
鍾繇の文字は非常に読みやすく、柔らかな雰囲気の中に剛毅さも兼ねており、年を追うごとにその評判は高くなっていった。
そして、鍾繇七一歳の時に上奏した「薦季直表」という、かつての功臣が罪に服して困窮しており、その許しを請うために書いた上奏分が評判となり、書家としても名を広めるようになったのである。
その著す文字は「鍾繇体」と呼ばれ、当時まだ呼び名が決まっていなかった後の「楷書」につながるものになったのである。
この鍾繇体は、歴史に名を刻む書家たちにも大きな影響を与え、鍾繇は書でも多大な貢献をした稀有な存在となったのである。




