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鍾繇一族  作者: 涼風隼人


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第22回 鍾繇、荀攸の死を見送る

 曹操の軍師として、仕えて以後、ほとんどの戦に帯同していた荀攸が亡くなった。享年、五八歳であった。まるで曹操が魏公になるのを見届けてからの様な死であった。

 

 死因は病死である。

 

 荀彧を亡くし、荀攸まで亡くした曹操は、悲しみのあまり涙を流した。以前、曹操はこの荀氏の両人を指して、一番が荀彧、二番が荀攸と評しているほど、参謀、軍師として信頼していたのである。

 

 荀彧とは考え方にすれ違いがあったが、荀攸は曹操の思いを汲んで、何とか実現するために策を練る軍師であった。

 

 決して曹操に阿っているのではなく、曹操の理想と自分の理想がまるで同じであるかのように曹操の考えを理解し、それを実現するために邁進するという働きぶりであった。

 

 どれだけ曹操が荀攸を高く評価していたかと言えば、息子の曹丕に荀攸を見習う様に言ったことだけでも理解をすることが出来る。

 

 この様に、曹操にとってはかけがえのない人を亡くしたことになる。

 

 鍾繇にとっても、同郷の二人が近時に亡くなったことにより、一抹の寂しさがあった。しかも、二人とも自分より若いのである。

 

 曹操が鍾繇に言う。

 「元常よ。人の命とは、はかないものだな・・・。」

 

 「はい・・・。文若殿に続いて、まさか公達殿にまで先立たれるとは思っておりませんでした。同郷の、それも私より若く才のある二人に・・・。」

 

 「文若には文若の、公達には公達の、そして元常、元常には元常のお前にしかない才がある。お前には申し訳ないが、これまで以上に励んでもらいたい。」

 

 「畏まりました。どこまでできるかわかりませんが、私の体が動く間はこの元常、死力を尽くして励む所存でございます。」

 

 「元常、頼りにしているぞ。」


  鍾繇は荀攸が晩年つとめた尚書令になることが決まった。

 「まだまだ、私は働かなければならんな。」

 

 鍾繇は、心の中で呟いた。既に六三歳となったが、まだまだ溌溂と動ける自分の丈夫さに、亡くなった両親と族父であった鍾瑜に感謝をした。

 そして、日々、魏国の為の制度設計という仕事に邁進するのである。 

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