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鍾繇一族  作者: 涼風隼人


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第15回 鍾繇、李傕、郭汜をたしなめる

 荀攸は無事に脱出をし、「曹操」に仕えたと風の噂で聞いた。鍾繇は荀攸をひそかに心配していたので、ひとまず胸をなでおろした。

 

 曹操というのは有能であると聞いたことがあるが、詳しいことまでは知らなかった。荀攸が身を寄せたというのであれば、きっとそれなりの人物なのであろう、と鍾繇は思った。

 

 ここからは、群雄割拠の様相を呈してくる。

 

 まず、曹操が檄文を発し、諸侯に打倒董卓の連合軍を結成することを呼びかけた。その呼びかけには、各地の群雄たちは答えて立ち上がった。

 

 袁紹を盟主として、総勢一〇万以上の兵が集結し、洛陽に向かった。しかし、その進撃はすぐに止まった。

 もし、この一〇万以上の連合軍が一丸となって洛陽に突撃していれば、また違う歴史が展開された可能性がある。

 

 しかし、諸侯たちはここにきて自分の利害のみを考え、進軍を止めてしまったのである。

 

 これに嫌気したのが、檄文を発した曹操である。

 しかし、曹操の率いるのはわずか五千の兵力に留まる。

 多勢に無勢で、董卓軍の将軍「徐栄」に叩きのめされる羽目になってしまった。諸侯は曹操の失敗をせせら笑ったが、笑わなかった者が一人だけいた。

 

 南方より遅れて参じた「孫堅」である。

 孫堅は汜水関にて、董卓軍の勇将「華雄」を討ち取り、そのまま洛陽に突入。腰の重かった連合軍もようやく動き出した。

 

 それに対して董卓は、何と洛陽を焼き払う焦土作戦を決行、長安に強引に遷都をしたのである。もちろん強欲な董卓である、焦土にする前に略奪やら墓の盗掘で金銀財宝を確保したのは言うまでもない。

 

 連合軍はここで、董卓追撃戦を展開せず停止。結局、連合軍は解散となり、各地に戻った諸侯たちによる群雄割拠の時代に突入するのである。

 

 この頃、鍾繇はどうしたか。

 長安の遷都に同行し、献帝の側近くに仕えていた。

 

 側近く仕えていても、周りはほとんどが董卓の息のかかった者たちであり、何もすることが出来ない自分が、非常にもどかしかった。

 

 長安に遷都しても、董卓の暴政は続く。

 まず、自らが退位させた少帝、現在の弘農王を、反乱分子たちに政治利用させないために毒殺した。

 そして、自らを「太師」とし、ほぼ天子と変わらない存在となったのである。

 

 ここで一人の男が動く。

 かつて、董卓暗殺の密談を行い、現在は三公である司徒となっている王允である。

 

 王允は、当時最強の武将といっても差し支えない、董卓の義理の息子の「呂布」を言葉巧みに誘い込み、何と、董卓をあっさりと殺害することに成功したのである。

 

 王允は、董卓亡き後の権勢を握るべく躍起となり、呂布は長安城内にいる董卓の一族郎党を殺害して回った。

 

 このとき、城外に布陣していた「李傕」と「郭汜」は軍を解散して涼州に逃げ帰ろうとしたが、智謀の士である「賈詡」の助言により、長安に攻め込み、呂布には逃げられたが、王允を殺害し、長安を制圧した。

 

 以後、李傕と郭汜が献帝を擁して長安を支配することになったが、この二人にその様な度量は無く、結局、二人で権力を争う内戦状態になる。


 しかし、この状況は思いの外、長く続く。


 董卓の死から三年、今や兗州牧となった曹操から、使者がやってきた。その上表文には、現在の天子である献帝に忠誠を尽くす旨の言葉が散りばめられていた。


 李傕と郭汜は、その使者をそのまま追い返そうとしたが、これを止めたのが鍾繇であった。


 「何故、曹操の使者を受け入れないのですか。この上表文を読めばわかる通り、曹操は今の天子が正当な天子であるということを認めているのですぞ。これを受け入れずにして、どうなさるおつもりか。」


 名士鍾繇の言葉により、李傕と郭汜は曹操を受け入れることにし、曹操と朝廷の関係が新たに創られた。

 このことは、近い将来、曹操に大きな恵みを与えるとともに、鍾繇の人生の転機にもなるのである。

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