表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

3話 武力をもって

 しばらく経った聖玉宮は静寂に満ちていた。セラフィオン右宰相やリオネル左宰相ら要人の右耳から脳を通らず左耳に抜ける有難ーい?お話が終わり、加冠の時が来たからだ。加冠するのは無論、アステル。授けるのはセラフィオン右宰相だ。

 加冠すると正式にこの国王と、国内外に知れ渡り、混乱に乗じた大侵攻が始まる。先王が死んでから次の王が即位するまではその国を攻めない、それはこの300年間の間に作られた各国の暗黙の了解だ。でも、その一時の安全神話はもうそろそろ音を立てて崩れ始める。

 他国の冠は知らないが、この国は金の輪っかだ。ゴツゴツした冠ではない。

 スッと、冠がアステルの頭にのった。加冠‥‥ついに、加冠したのか。あの、ひ弱そうだった温室育ちが‥‥。

「ここに、第679代聖竜国国王アステルの即位を宣言する!」

 セラフィオン右宰相の力強い声が本殿に響いた。儀礼通りであれば、次にアステルの宣誓だ。アステルが壇上にあがり‥‥

「第679代聖竜国国王アステル、武力をもって、この2000年続いた戦争に終止符を打って見せる!」

 は?は?は?は?何々何々何々?武力で2000年続いた戦争を終わらせる?馬鹿にしてんの?ここ何所か知ってる?聖竜国だよ?大陸最弱の!

 冷汗が止まらない俺はいろんなところを見た。まず文官席、宰相ら要人は涙を流して喜んでる。なんでそうなるんだよ!次、武官!ダメだ、こっちもだ。俺と同感なのはノエルくらいなのか⁉来賓席は従者に向かって小声で何かを話してる。多分、国に帰ったら戦支度だ、とか言ってんでしょうね。

 国民は分からないけど‥‥、考えたくもないな。

「よ、よくぞ言われましたな‥‥大王」

 北部指令あんたまで‥‥。あんた、今一番の常識派でしょうが!そしてだ、なぜこんなことを言ったんだ、アステル!




 え?俺なんかヤバいこと言った?原稿の内容ぶっ飛んだからなんかいいこと言わないとと思って、2000年続いた戦争を武力で終わらせるとか言っちゃったけど。

 す、少なくとも、自国サイドの反応はヨシ!結果オーライよ。

「‥‥‥‥」

 で、だ、ど、どうすればいいだろ。




「フッ、王がやるというのなら、やるしかないな」

「な、何言ってるん?リシュアン」

「王命は絶対、だろ?」

「あ、ああ。そう、だな?」

 友達の願いは、聞いてやらないわけにはいかないしな‥‥。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ