1/7
Prologue
最初は、ただ野次馬のように興味本位で見ていただけだった。
でも、本音を言えば惹かれたと言った方が正しいのかもしれない。
雨に濡れた体に。
水がしたり落ちる濡烏の髪に。
そしてそこから覗く紅い、光の灯っていないその瞳に。
いつも見ていたキラキラとした瞳とは違って、何もかもを拒絶するような暗いそれは、既に絶望に満ちているようにも見えた。
それを希望と言う色に塗り替えたくて、俺は彼女の濡れて冷たくなった手を取った。
***
これは、ちょっと変わった人間三人と、一匹の妖怪が送った、ある夏休みの物語。
ツンデレ、天然、毒舌、変態と様々な個性と様々な怪異が行き交う中、はたして三人と一匹はまともな夏休みを送る事が出来るのか?
「その瞳にひかりを」略して「ひとひか」
この妖怪絵巻、見たい奴は寄っといで……